僕は、スクアーロの腕に上って聞いて見た。
「スクアーロは結婚しないの?」
そんな疑問に、スクアーロはなんだかすごく驚いていた。
スクアーロは、もう結婚してもいい年頃だし、隠してるみたいだけど求婚は山のようにあるらしい。
前も、ルッスーリアがゴミ箱につっこまれたラブレターをやれやれと捨ててるのを見た。
それに――
「しねえよ」
「なんで? だって、ボスはスクアーロのこと好きだよ?」
スクアーロが、もっと驚いた。
ちょっと顔を赤くして、僕を睨む。
なんで知ってるんだという目だけど、はっきり言って僕からはばればれ。
あのボスの目は、きっとずっと、それこそ僕が知り得ない程昔から好きだったんだろう。
いつからなんて知りはしない。
でも、ボスは好きなのだと、スクアーロがほしいのだと思う。
「……ガキがいってんじゃねえ」
子供扱いしながらスクアーロは目をそらした。
頬の赤はとれてない。
僕としてはスクアーロもボスなら満更じゃないと思う。
けど、何かスクアーロには譲れないものがあるらしい。
変なの。
「あのなあ、俺、結婚してるぜ?」
思わず、スクアーロの腕から落ちそうになる。
それくらい、驚いた。
スクアーロが、結婚してた?
これからじゃなくて、もう、過去に。
何でかわからないけど、頭がぐらりとする。
胸が、熱い。
「ルッスーリアと?」
思わず口をついて出たのは同僚の一人。
口にしてからありえないと思ったけど、それ以外に候補がいない。
僕の知らない相手なんかとスクアーロが結婚してると思うと今度は頭痛がする。
「なんであいつなんだよ!!」
不服そうに怒ると、スクアーロは僕を近くの机の上に置いた。
そして、いつもしている手袋をのけると、僕に義手を見せる。
何度か見たことあるので驚かないが、これほど近くでじっくり見るのは初めてだった。
「あっ」
そして、気づく。
その義手には。
「まあ、」
スクアーロは笑った。
「未亡人だけどなあ」
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