ツナと骸の話、あるいは神様の失敗。


 神様が世界を作った時、右に心優しい茶色の髪と瞳を持った少年を置きました。左には色違いの瞳と黒い髪を持つ残酷な少年を置きました。
 そして、神様は言います。

「奪い合え」

 すると、右に置かれた少年は、真っ先に左に置かれた少年の、心を心臓ごと奪っていきました。
 神様は、失敗だったと気づきました。

 あーあー。
 めでたしめでたし。

 と、言ってもちっとも左に置かれた少年にとってはめでたくありません。
 神様は失敗したからと言って失敗を消しも直しもしませんでしたし、右に置かれた少年は心臓を持ったままどこかへいってしまいました。
 困った左に置かれた少年は追いかけるしかありません。
 心臓を求めてぐるぐると。るぐるぐと。

「というわけで、奪った僕の心臓を返してください」
「訳わかんないこと言うな電波」
「ほら! いつもいつもいつもいつもそうやって話をはぐらかすんですよ貴方は!!」
「はぐらかしてない!!」
「貴方だって僕に付きまとわれて迷惑かもしれませんがね! 僕だって心臓を奪われて迷惑なんですよ!!」
「だから、それが意味わかんないんだよ!! お前心臓ないの!? あるだろ生きてるんだから!!」
「違うんです。今の概念の心臓ではないのです!!」
「これ以上ごねるなら警察呼びますよ!!」
「どうぞ!! そしたら僕は貴方を窃盗罪で訴えますから!! この人に僕のハートを奪われたんですって!!」
「やめろよ!! なんでいきなりハートになるんだよ!!」

 続く口論の中で、少年はため息をついた。
 顔を悲しげに歪めると、泣きそうな声で呟いた。


「……ねえ、僕は疲れてしまったんです。貴方を追いかけるのに、疲れてしまったんです。だって、貴方はいつもひどい。僕の心臓を奪っておきながら、貴方はあまりにもひどすぎる。もう生まれ変わりたくありません。どうぞ、返してください。返してくれないなら、その心臓を潰して殺してください」


 そうすれば、少年は、ちょっと困ったように考えて、ぎゅっと自分の胸を服の上から掴んだ。
 そして



「やだよ」


 そう、一番初めに少年の心を奪った笑みで答えるのだ。
 同時に、胸の中で嘲う。
(心臓を奪ったなんてとんでもない言いがかりだ。
 お前が抉って俺に捧げたというのに)



 神様の失敗は続いているという話。

「僕と凪、結婚するならどっちですか!!」
「凪」(即答)
「じゃあ、恋人なら!?」
「凪」(即答)
「いっ妹なら……」
「男は妹になれないと言ってもいいですか?
 後、弟はランボがいるからノーセンキューです。兄はディーノさん」

(不要です)






雲獄だったらよかったのに
 僕も甘くなったものだと。
 だって、100回あいつを呼んでも、たった一回、僕の名前が呼ばれれば許してしまうんだから。

「きょうや」

(だったらいいのに)






かわいそうな被害者たち
 俺は電話が好きだと医者は言う。
 なぜかと聞いてみると笑いながら答えた。

「受話器は切りかかってこねえだろ?」

 その時の医者の乾いた笑い声は、幼い俺でも同情できた。



 骸やスクアーロにも転用可能電話ネタ。

「受話器は殴りかかってこねえからよお……」
「受話器は炎を噴出したりしませんから……」
「電話っていいよな」
「電話を発明した人に感謝したいです」
「もう、ずっと電話で会話してえ……」

(かわいそうに……)

過去

「こう、剣を突き出したらシャマルが刺さるシステムとか誰か開発してくれないものだろうか?」


現在

「こう、俺が拳を突き出したらドカスがぶち当たってくる道具とかねえか?」


「あらやだ、ボスって似るのかしら」

(あらやだ)






マーモンとベル(→スク)子どもたちの裏話
 ベル、子ども扱いするな、って言うけど、実際僕らは子どもなんだよ。
 だからさ、大人になろうとするんじゃなくて、子ども特権をどううまく使うか考えた方がいいんじゃないかな?
 時間が経てばその内大人になれるけど、スクアーロに抱きついたり抱っこしてもらったり額にキスしてもらえるのは、結構今の内だけだし。
 あっベルはもうしてもらえないんだっけ?
 がんばって大人になったら?

(この後、マーモンはジャイアントスウィングかまされました)


「僕はスクアーロが好きだよ。
 でも、ベルがすきなのはボスがスキなスクアーロだと思うんだ」
「なにそれ、王子的にありえない」
「ベル、君は本当は愛されたいだけなんだ。だからスクアーロの無償の愛を見ているとたまらなく自分も受けたくなるんだよ。
 だけど、スクアーロにそんなもの求めても無駄だよ。スクアーロの愛はボスだけのもので、ボスに捧げるだけで容量いっぱいなんだから」
「別に、王子はそんなこと望んでない!」
「あっベル、ごめん。さすがに言い過ぎたね。すねないでよ。わかってるんだ。これは卑怯な僕が君に言うフリをして自分に言い聞かせてるだけって」

(どっちが子どもなんだか)






残骸
「俺は臆病者だから、父さんみたいに強くもないし、兄さんみたいに上手にもできないから、とりあえず殺してから考えるよ」

(元々は、3代目捏造でした。現在粉々)




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