ムシャムシャ パクパク モグモグ ガリガリ シャリシャリ パリパリ ボリボリ ゴクゴク ガツガツ
人 を 食 っ た(ような)話
鬱蒼とした森の奥。
そこには黒いおめめの化け物が住んでいるという。
化け物は近づく人間をぱくりと食べてしまうらしい。
ほら、今日も、森に入っていく子供が一人。
帰ってこられるのかな?
結構昔であるところで起こったこと。
黒いおめめの涙がない化け物は、泣いてる子どもを見つけた。
化け物は涙がないものだから、子どもを見下ろしてなにもしない。
慰めることもからかうこともしない。
声をかけることも立ち去ることもしない。
真っ黒なおめめで見てるだけ。
とうとう怒った子どもが泣きながら怒鳴れば、化け物はちょっとだけ驚いて。
にんまり赤い口を吊り上げた。
そしたら、子どもはぱくり頭から食べられた。
「全然、めでたくない、めでたくない」
と、子どもだった男はそこで話を打ち切った。
目の前の真っ白な子どもは、それを不思議そうに聞いている。
「で、それとシャマルと親父の関係になんかあんのかあ?」
「おうよ、ぱくり食われた子どもはまだ化け物の胃の中にいるってこった」
自分の首から下がった鎖を指でいじり、外れない首輪を引っ張った。
さて、試食はお口に召したでしょうかお客様。
では、つづいてはフルコースと行きましょう。
お口直しができればいいのですが。
menu
食われた男とさらわれた息子。
食前酒(aperitivo)
王子様のお話。
前菜(antipasto)
捨てられた機械のお話。
スープ(Primo piatto)
たべられた赤ん坊。
メインディッシュ(Secondo piatto)
付け合せ(Contorno)
チーズ(Formaggio)
果物(Frutta)
デザート(Dolce)
食後酒(digestivo)
こちらのパンは、食べ放題となっております。
1個目(少し遠い日の化け物と少年) 食われた男とさらわれた息子
いただきます ごちそうさまでした