マーモンは、ぴょんっと跳躍。
 見かけに反して高く飛び、その腕の中に収まった。
 そして、そのままその服にすがりつくと堂々と言い放った。








「僕のママンいいだろ」









 目元は見えないが、あらかさまに口の端をあげてマーモンはリボーンとコロネロを見た。
 対するリボーンとコロネロも、普段は冷静な表情をむっと変える。
 しかし、それよりも表情を変えたのはマーモンを腕に抱いた相手――スクアーロだ。
 なんでいきなりこうなったのか、しかも自分が男なのになぜママンなのかわからない。
 いったい自分がくる前にどんな会話をしていたのか。
 スクアーロはなぜか頭痛がした。

「なんだとコラ、うちの京子の方がいいに決まってんだろ」
「むしろ、うちのママンが一番に決まってる」

 子どもとは思えない殺気を放ちながら睨み付ける。
 子ども、いや、子どもに満たないこの最強の赤ん坊たちは火花を飛ばし合い口を開いた。

「京子はな、飯もうまいし風呂に入ると体を洗ってくれるんだぞコラ」
「奈々はその上洗濯もうまいぞ、その上かわいいしな」
「かわいいと言ったら京子の方がかわいいにきまってるだろコラ!」

 ごつんっとすごい音を立ててコロネロがリボーンに頭突きする。
 それはいつものことなのだろう、リボーンは特に感知せずマーモンを見やる。

「ふん、それくらいスクアーロだってできるよ。
 スクアーロのパスタは絶品なんだ。それに掃除だって上手だし、背も高いし、髪の毛もそこら辺の女よりキレイなんだよ。
 しかもスクアーロは寝る前に僕にキスしてくれるし、一緒に寝てくれるし、子守唄も上手だし、だっこだって好きな時にしてくれるんだ」
「京子だって」
「いや、奈々も」
「スクアーロは」
「しかも」
「更に」
「だけど」
「絶対」
「ないない」
「なんだとコラ、京子はな」
「奈々の方が」
「スクアーロが」

 白熱する議論の中、蚊帳の外でありながら渦中の人であるスクアーロの顔が段段赤くなっていく。
 普段褒められることも、こうやって堂々と好意を表されることもないスクアーロには地獄も同じだった。
 今すぐ耳をふさぎたいが、マーモンを抱いている為それもできず、だがおろすこともできない。
 走って逃げたかったが、この赤ん坊達は決着がつくまで決してやめはしないだろう。
 アルコバレーノ達は、誰もが負けず嫌いなのだ。
 それも、自分が一番好きな人のこととなればなおさら。
 その負けは屈辱に値する。

「う゛お゛ぉい!! どんな羞恥プレイだ!!」

 叫ぶスクアーロを無視し、更に赤ん坊たちは加速し、過熱するのだった。















「僕は大きくなったらスクアーロと結婚するんだから」
「!」
「!?」

(奈々→既婚 京子→お手つき)





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