「しゃーちょーうーvv」
そう言って彼の背に飛びついてくる少年を、ふり払うことができなかった。
ここに誰か一人でも、部下か知り合いがいたならば、今頃激しい照れ隠しにより少年を床の一部にしているところだったが、現在この部屋には二人しかいない。
二人しかいないということは、彼の過激な照れ隠しはないということで、少年はまんまと彼を抱きしめることができるのだ。
細い腰に腕を回し、肩口に顔を埋めてなぜだかイイ匂いを堪能する。
「はなれろ」
言葉だけの抵抗。
彼は少年にバレないよう顔を赤くしながら、まったく頭に入らない書類を睨みつける。
それを、少年も心得ているのだろう、はなれもせず、どころかますます体を密着させた。
「いいだろ。久々なんだしよv」
「俺はこのまま、貴様に会わない方がよかった」
「さびしかったくせに」
「そんなわけあるか」
つんっと、突き放すような態度にも、少年は笑みを崩さない。
こんなやりとりは、いわば予定調和、形式的な物に過ぎないからだ。
その証拠に、いつの間にか彼は書類を机に片付けている。
「俺様は、寂しかったぜ。社長と会えなくて」
「戯言を」
「ほんとだって」
「嘘をつくな」
「嘘じゃねーって」
軽いやり取り。
だが、少年はふと、声に不機嫌のようなものを感じた。
どうしたのだろう、少年が首を傾げながら言葉を続けると、彼は少々躊躇いながら口を開く。
「俺様が、大好きな社長に会えなくて寂びしくないわけないだろ?」
「……会いに、こなかっただろう」
「へ?」
なにかの幻聴だろうか。
少年は自分の耳を疑っていると、彼は声を荒げた。
「いつもいつもいつもいつも、くるなと言ってもこないくせに、ここ一週間こなかっただろう」
「いや、それは俺様も色々あって〜……」
「遊戯には会っていたのにか?」
「う゛、そっそれには色々ありまして〜……」
「別に……」
彼は、少年の手を引き剥がす。
(しまった、機嫌を損ねちまった!!)
もっと触りたいのに! っと焦る少年に構わず言葉を続ける。
「ふうん、別に、俺は貴様と恋人というわけでもないからな。
貴様の行動に一々口などださん。どうせ貴様にはそんな甘言を別の奴にも言っているのだろう」
「しゃ、社長、それは誤解だって!! 俺様が大好きなのは社長だけだってー!!」
「どうだか」
まったく言葉を受け付けない様子に、さすがにこれはやばいと感じた少年は考える。
どうすれば機嫌がよくなるだろうか。
彼の好きなものといえば憎い恋敵のブルーアイズと決まっているが、そんなものは持っていない。
このままでは追い出されてしまう。
焦る少年の目に、ふと、彼の拗ねたような横顔が見えた。
整った、美しい顔がそうして拗ねていると妙にかわいい。
「……社長、嫉妬してる?」
びくっと、彼の体が跳ねる。
勢いよく突き飛ばされたかと思うと、ぐわっとひどい勢いで睨まれた。
そう、視線で人が殺せるなら、致命傷だろう。
「違う……」
「社長……」
少年は、笑った。
満面の笑みだ。
「社長愛してるぜ〜!!vvvvv」
「うるさい、黙れ、離れろおおお!!」
少年が床の一部になるまで時間はかからなかった。
長いのだらだら書いてたらエイプリルフール終わる。
この長さでこのクォリティならいくつでも書けるのだが、微妙すぎる。
バクせとは基本的にそうせとバクと変わらないから拒絶反応は出ませんでした。
というか、拒絶反応はきっと、王様をかわいく書こうとすることで発祥すると思う。
王様かわいくとか、俺には無理だ。ステキな王様受けサイトに頼んでください。