まずは手を縛ろう。
 手は好きな場所だから、できれば傷つけないように。
 キレイに縛れたなら口付けを一つ。

「セト様、セト」
「なにをする」

 足も縛ろうかと思ったけど、やりにくいだろうからやめた。
 暴れるけど、本気で蹴らないって知ってるし、抑える方法は心得てる。
 靴を脱がせて、キレイだったから足にも口付けを一つ。
 長い足を抑えて、膝に乗った。
 キレイな顔が目の前に。なんてキレイなんだろう。
 妙に興奮して頬に口付けた。
 あっめちゃくちゃ怒ってる。

「やめろ、手を解け」

 まあいいか。
 何度も何度も口付けて、嬉しくてたまらない。
 この興奮はどこからくるのだろう。
 髪とか頬とか触って欲しい。
 でも、縛ってるし、解いても殴られるだろうから我慢。
 キレイな輪郭を指でなぞって、やっぱり口付ける。

「やめろ、バクラ」

 さっきから、すごく怒って拒絶の言葉ばかり口にする。
 猿轡も必要だろうか。
 でも、声が聞けないのは嫌だし、

「バ、」

 キスもしにくいからやめておこう。
 口の中は、少し冷たい気がした。俺様が熱いのかもしれない。セトの味がする。舌が押し出そうとするから、絡めた。
 あー、ドキドキする。
 目は、閉じない。顔が見えないのが嫌だから。
 そしたら、セトの青い瞳が目の前で、怒ってるけどやっぱりキレイで。もう、セトはきっと髪の毛一本どころか骨の一欠けだってキレイに違いないと確信する。
 歯をたてられたから一度唇を遠ざけたけど、名残惜しいからもう一回。
 怒鳴ろうとして口を開けるから、舌を入れやすい。
 わざと音が鳴るようにしたらちょっと口の中が熱くなる。
 なんかずっとしていたい。
 舌絡めて、内頬を舐めて、吸って。眩暈。
 触ってほしいな。触ってくれないだろうな。
 だめだ、キスだけで勃った。
 ちょっと足広げて、セトの足にこすりつけたらセトの目がすごい動揺してる。
 気持ちいい。
 口を離したら、荒い息。酸欠気味でちょっとこっちも苦しかった。

「っ、バクラ、待て」
「やだ、……ん……」

 セトの膝に自分の押し付けて腰を動かす。
 セトが見てる。

「っ、あ、せ、と……はぁ……セト……ん……」

 驚いてるのか、セトは何も言わない。
 言わないことをいいことに続ける。
 布越しにこすれて、背筋にびりびりきた。
 それよりも、セトの目がいい。ぞくぞくする。たまらない。

「セトぉ、見てる?」

 俺が笑ったら、瞬きして、目をそらす。
 声かけなきゃよかったと後悔するけど、腰が止まらない。
 このままだったら、セトの足を汚してしまう。それはだめだと腰を止めた。

「貴様、なんのつもりだ……」
「ちょっと、セトを襲おうと思ってよ」
「なっ!?」

 ここまでしたのにセトはやっぱり驚いてる。
 いや、もしかしたらおキレイなセト様のことだから、なにされてるかわかってなかったのかもしれない。

「あー、大丈夫。俺様セトのこと傷つけたくないし、いれたりしないから」
「貴様!!」
「ただ、俺様にはいれて」
「ふざけるな!! 」
「大丈夫だって、ちゃんと自分で慣らすし、セトは気持ちいいだけだから」
 
 まあ、いれるのは初めてだけどなんとかなるだろう。
 もう一回セトに口付けて、香油の瓶を取り出す。とろりと指に絡めて、足を広げた。
 何をするのか理解できないって顔のセトの目の前で、後ろに指をやる。
 何度やってもこの直前は慣れない。
 でも、やっぱりセトに見られると思ったら、妙に楽しくなってきた。
 セトに見られてる、セトに入れてもらうために、やってる。
 指を、入れる。
 痛い、というか気持ち悪い。
 それでも、香油で滑りがいいから指は入っていく。ふつふつと鳥肌が立つのを感じた。
 半分ほど入ったならば、ゆっくりと指を折る。
 
「はっ……うう……あっはぁ……はっ……」

 呼吸するのも辛い。
 吐き気と涙が零れそうになるのを堪えて、中を広げる。
 少しづつ中をかき混ぜて、一本に慣れてきたら、もう一本。先ほどまでとは比べ物にならない痛みと異物感。
 滲んだ視界で、心配そうなセトの顔が見える。優しいセト。
 俺様、あんたのこと襲ってんだぜ?

「セっと、ぉ……」

 ぐいっと、広げてまわす。
 ひぐっと、喉が引きついた。うまく飲み込めなかった唾液に咳き込む。

「がっはぁ……」
 
 げほっと、思わず胸元にしなだれかかる。

「バクラ!」
「だい、じょーぶ……」

 輪郭に口付けて、手の動きを再開する。
 なんとか、三本目もいれ、広がってきたところで指を抜いた。
 深呼吸して、セトの服の裾をまくりあげる。
 思い出したように足の抵抗が強くなった。なんとか抑えて、セトのモノを掴む。

「あっちょっと勃ってる……俺様見て、感じた?」
「黙れ」
「りょーかい」

 手で揉んで大きさを確かめる。
 元々大きいというのに手の中で膨らんでいくのを見て、入るのかと不安になった。
 まあ、その時はその時だろうと、先端に軽く口付ける。
 そして、少しづつ口を開いていくように唇でものをこすりながら口に含んだ。

「きさっ……まぁ!!」

 男のモノを咥えるのは初めてだったが、男のいいところは男が知ってるということで、だいたいわかる。
 先端を口の中で丁寧に舐めて、次はくびれを円を描くように撫でた。
 とにかく奥へといれようとするけれど、あまりに大きさにせきこみそうになってうまくいかない。
 変わりに、口は先端だけに集中して、唾液で濡れて滑りのよくなった胴の部分をこする。
 口の中で、味が変わる。

「やめろ!!」

 じたばたと膝が動いて腹を蹴られかける。
 思わず、噛みかけて堪えた。
 ちょっとセトは俺の我慢強さに感謝してほしい。
 噛みかけたところを舐めると、びくびくと口の中で反応がわかるのが妙に楽しかった

「バクラ!!」

 ちゅっと吸って、ちらりとセトの顔をうかがった。
 セトは怒ってるけど、なんだか辛そうで、感じてるのを必死に押し殺しているように見える。

「ひゃって、せほが、ひゃべるらって」

 口に含んだまま答えるとセトの顔がますます歪む。

「喋るなと言った、くっ……が、こんなことをしろ、とは言ってないっ!!
 それから、咥えたまま喋るな!!」
「ひもちい?」
「喋るなとっ!!」

 気持ちいいくせに、素直じゃない。
 まあ、そういうところが気に入ってるんだけど。
 口の中で、舌を絡める速度をあげる。ちょっと舌がつりそうになりながら、セトを感じさせてる事実についつい止まらない。
 セトは、耐えるのに必死なのか、口を閉じて顔を歪めて黙ってしまった。
 声が聞けなくて残念だけど、抵抗も小さくなったのでいいとする。
(口の中、セトの味)
 舐めてると、萎えていたはずの熱が疼く。
 ぞくぞくと嗜虐的な、凶暴な支配欲が渦巻いた。
 今、セトは自分のものだ。自分だけのものだ。自分が、セトを感じさせている。

「く、ちを、はなせ!!」

 そろそろセトも限界なのだろう、熱いモノが更に熱く、膨らんでいく。
 どくどくと、舌に鼓動が心地いい。
 一度口を離して、胴の部分に舌を這わせた。裏側もきっちりと舐めると、だいたいの気持ちいいところがわかる。
 反応したところをちろちろと舌で刺激すると、セトの顔が色っぽい。
 男なのに色っぽいとか、キレイとか卑怯だよな。
 もう一度先端を含もうと顔を上に移動させた瞬間だった。
 口を開く前に、顔に熱い液体がぶつかる。
 一瞬、なにが起きたかわからず瞬き。そして、指で垂れる粘り気のある液体をすくった。
 白くて、熱い。
 セトを見上げれば、ひどく悔しそうな顔で、今にも泣きそうだった。情けないという感情を隠していない。隠す余裕がないのだろう。
 しばらく、指についた液体を見つめて、口に含む。
 やっぱり、苦い。

「!?」

 セトの顔がもう何の感情を表してるかわからないくらいごちゃごちゃになった。
 もう一度すくって口に運ぶ。
 苦いけど、セトから出たと思うと意外と平気だった。もっとまずいもの食ったことあるし。

「やめろ!! 貴様は!! なんなんだ!!」
「なにって……」

 今更言われても困る。
 何を言うか考えてる途中でめんどくさくなった。
 手の中で、まだ大きいままのセトのものをこする。

「もう、やめろ……!!」
「これからが、本番だぜ」

 香油の瓶を汚れた手でとってセトのものにかける。
 とろとろと流れる香油を手で馴染ませて、その指をもう一度後ろに持っていった。
 一本、二本はまだ入る。
 気持ち悪さは変わらないものの、それでも、興奮していた。
 自分の腰布を持ち上げ、中腰で立つ。

「バクラ!! やめろ!! ……やめてくれ!!」
「セト様の泣き言、珍しい」

 笑って、広げた場所にあてがう。
 思ったよりも、熱くて太い。
 あれほど口の中で確かめたと思っても、やっぱり、こちらでは中々そうもいかないらしい。
 少し怖くなって、セトの首に腕を絡めた。
 ちゅっと汗と涙のたまった目尻に口付ける。
 息を、吸う。
 吐く。
 腰を、小さく落とした。

「ぁ……」

 痛い、などという感覚を超越した。
 熱い。
 熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い。
 めりめりと体重によって中に入ってくる。
 苦しい、気持ち悪いという感覚が追いつかない。
 とにかく視界が白くなるほど熱い。
 息もできず、されど足に力が入らず体重のままに沈む。
 逃げられない。
 がくがくと体が痙攣してたまらない。
 熱い、寒い、死ぬ。
 セトの声が遠い。
 でも、セトと繋がったまま死ぬなら、いいかもしれないとか考えてしまった。
 それは幸せなのだろうか、そんな思考も痛みの波に押し流される。
 どうしようもない。
 ただただ永遠にも等しい時間、待った。
 気絶しそうになりながら、やっと、視界が戻る。
 セトの声が、やっとまともに聞こえた。

「バクラ!! バクラ!! 聞こえたら返事をしろ!!」
「……っせ、」
「バクラ!!」
「さけ、ひぇ、ぶ、な……ひび、く」
「バクラ……?」
「あ、おれ、さ、あ、い、きてる……」
「生きているに決まっているだろ! 俺を縛ったまま俺の上で死ぬな!!」
「ゃ、ひび、くぅ……」

 どくどくと中に心臓があるみたいにきつい。
 セトが叫ぶたび、内臓が強張った。息ができなくて死にそうだ。
 動けない。
 まだ体ががたがた震えていることに気づいた。
 止まらない。
 ぎゅうっと、セトにつかまって震え続ける。涙でもう顔もなにもかもぐしゃぐしゃだった。

「バクラ……」
「うっふ、ひっく……」
「息をまずは吸え」

 無理だっと、首を左右に振る。
 それだって、辛い。

「吸え、無理にでも」

 口を開いても、うまくいかない。ぱくぱくとまるで魚のようにあえぐことしかできなかった。
 その口に、セトが唇を重ねる。
 気づく前に、息が吹き込まれる。
 空気が、喉を通った。

「かっは!!」

 吸う。

「はぐっ……あり、が……」
「喋るな、呼吸することに集中しろ」

 何度も、深呼吸を繰り返す。
 あいかわらず中でセトのものが存在を主張した
 ぐらぐらとたまらない。

「ぁ、はぁ……せとに、きすしてもらったー」
「黙れ」

 少し余裕ができたので、嬉しくてセトの胸にすりよった。
 動くたびにびくびくと体が跳ねる。
 痛いけれど、一度通り過ぎてしまえば、耐えられた。痛いのには、慣れている。
 深呼吸を一つ。

「じゃ、うご、く……」
「おい」
「だって、このまま、やだ」
「貴様は……」
「やだ」

 何か言う前に唇に噛み付いた。
 力の入らない足を無理矢理動かす。
 腰を浮かせば、内臓がひきずられた。痛い。気持ち悪い。
 でも、続ける。
 やめたくない。
 最初は、浅く、というよりも体を揺らす程度。
 それでも、徐々に徐々に、足に力をいれて動いていく。
 どうにも、中がきつすぎるせいか、セトは気持ちいいというよりも痛いという顔をしていた。
 香油のせいで滑るが、やっぱりもっと広げた方がいいらしい。
 背筋が曲がって、唇を繋げていられない。

「せと……せとぉ……せと、せと、せと……」

 しがみついて、夢中で呼んだ。
 腰は止めない。
 とめてしまえば、動けなくなるだろう。
 下半身がぐずぐずになっている気がした。
 でも、それでもいい。

「セトぉ……」
「バクラ」

 耳元で、優しく名前を呼ばれる。
 無理をするな、もうやめろっと言われても、やめたくない。
 嫌だと首を振って、激しく腰を動かす。
 内臓がもっていかれるような痛みに足がとまりそうになるが、動かし続けた。

「バクラ……もう、ぬ……け……」

 かすれた声。
 少しだけ、体に熱が戻った気がした。
 あいかわらず、痛いし苦しいし吐きそうなのはかわらない。
 だが、それでも、セトが自分の中で出すと思うと、たまらない。
 ふるっと、小さく震え、首元に口付ける。
 いきそうなセトも色っぽくて、今度はきちんといくのを見ようと顔を見据える。
 視線をそらそうとするのを手で抑えて、見つめた。

「まて、バクラ、ぬけと……!!」
「やだ」

 一気に腰をあげ、一気に下ろす。
 その瞬間、セトの顔がキレイに歪んで、俺は中にひどい衝撃を受けた。
 どくどくと注がれる熱。
 気持ち悪いのに、その中になにかが混じって背筋を駆け抜ける。
 このまま、ずっと繋がっているのもいいかもしれない。
 重い瞼が閉じかける。
 このまま寝たい。
 少し顔をあげたら、セトが睨んでる。
 でも、謝らない。変わりに、ちゅっとキスしたら、バカっと頭を殴られた。
 あれ、手、外したっけ……?
 まあいいか。
 あっ足抑えられた。抜かれる。
 やだって抱きついたら、また叩かれた。
 抜かれたら、中からごぼっと溢れる。勿体無いな。せっかくのセトのなのに。
 あ、頭撫でてる。気持ちいいな。もう、寝てしまおう。

「バカめ、」
「せとー」
「なんだ」
「またしよ」
「断る」
「けちー」
「もう、寝ろ、後は俺がやっておく」
「うー」

 セトの胸に顔埋めて、頭撫でられたら、もうだめだ。
 おやすみ。





「まったく、きつく縛って、抜けるのに時間がかかっただろう」

 少年は、白い髪をいじりながらブツブツ呟く。
 後始末のことを考えると、憂鬱だった。

「こういうことには手順があるだろう、全て飛ばして……」

 溜息を、一つ。

「もう、無理をするな」

 静かな寝息に、少年はもう一つだけ、溜息を漏らした。



 ふと、襲い受けバクラに飢えを求めて。
 攻め拘束で受けが好き勝手するって萌えますよね!! ね!!(無理に同意を求めるな)
 セト様は、まだ少年期なので泣いたり喚いたりもします。大人になると冷徹です。ゆえに、今回はちょっとセト様が若いとわかってくださると嬉しいです。
 しかし、バクラ主観って結構難しかったです。初めてなので、あんまり気持ちよくなってません。でも、興奮だけはしまくってます。
 とりあえず、せとバクの100の質問にそれなりにそったつもりです。
 朝起きると、セトが真剣な顔で「責任は、とる」とか言ってくれますが、それはまた別のお話で。
 いやあ、しかし、セトは絶対縛られるのと屈辱的な顔が似合うと思います。
 セトバクのちゃんとしたエロは、実はこれがはじめて……? うわあ。



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