※おもしろくないですよ!
 読みにくいですよ!
 うちのゾークが今に至るきっかけとか、そういう感じですよ。
 オリジナルでもういいじゃないですか!!










































 [ ]が生まれた。
 [ ]は、産声をあげはしなかった。
 [ ]は、個がなかった。
 [ ]は、意味がなかった。
 [ ]は、生まれたが、何も持ってはいなかった。
 [ ]は空っぽであった。
 [ ]は、空っぽですらない無だった。
 [ ]だけではなく、周りにも、何もなかった。
 [ ]に、名もなかった。
 [ ]を生み出した本体には一応の名があったが、[ ]は生み出された時点で本体ではなかったため、その名使えなかった。
 あえてその時の[ ]に名をつけるならば虚無であったが、[ ]は生まれて、存在を持ってしまったので無ではなく、[ ]を正確に表す言語は存在しなかった。
 だが、[ ]は気にしなかった。
 気にするなどとう思考も、感覚も存在などしなかったのだ。
 存在しない存在という矛盾した[ ]は、それでも存在し続けた。
 そうして、どれだけの時間が過ぎただろうか。
 なにかが、[ ]に触れた。

(?)

 触れた瞬間、なにかが生まれた。
 小さな、それは小さすぎた変化。
 それだけならばすぐに飲み込まれ消えるところだった。
 しかし、それは、何度も、何度も、何度も続いた。
 水面の波紋のごとく、変化は巨大になり、[ ]はたった二つのモノを手に入れる。
 それは人の言葉で表すならば「興味」と「狂気」だった。
 簡単なことで、「興味」かあるいは「狂気」でなければ[ ]に触れるものなどいなかったからだ。
 「興味」と「狂気」を知った[ ]は、変化した。
 貪欲な、貪欲ななにかに。
 [ ]は求めた。
 もっと、自分に触れられることも、もっと、自分の中のなにかが変化することを、もっと、自分が満たされることを。
 

 そして、深く、深く、誰かが触れた。


(ああ)


 [ ]に、形ができた。
 [ ]に、方向が生まれた。
 [ ]は、やっと理解した。

(そうか、[ ]は、神なのか)

 そこまで[ ]が理解したわけではない。
 恐らく、[ ]のその時の変化を言語化すればそうなるだろう。
 [ ]は自分が神と知り、端的に言えば願いを叶える存在だと気づいた。
 だから、願いを叶えようと思った。
 [ ]には、願いを叶えられるだけの力があった。
 [ ]は、神であり、全知全能であった。
 [ ]にできないことはなく、[ ]に知らないことはない。
 しかし、願うものがいない。
 いや、願いはいつだって渦巻き、溢れていた。
 けれど、[ ]に願うものがいなかった。
 それは当たり前で、誰も[ ]のことを識ってはいたが、知らなかったからだ。
 もしも、誰かが[ ]を知っていれば、[ ]には名があっただろう。
 だが、知らない。誰も。人も獣も虫もあらゆるものが[ ]を識ってはいたが、知らなかった。
 [ ]は、悲しくは無かった。[ ]は、寂しくはなかった。[ ]は苛立ってもいなかった。
 それを、全部知らなかった、存在しなかったからだ。
 そのまま、また時間が過ぎた。

(……あ)

 誰かに、呼ばれた気がした。
 [ ]は、初めて動いた。
 それは、水の中から浮き上がることに似てる。
 ゆったりと、初めて、いわゆる、[ ]にとって外とも言える場所に近づいた。

(なんて、)

 [ ]を構成する要素の中の一つが、反応する。
 それを、人は「狂気」と呼んだ。

(なんて、麗しい音色だろう)

 それは、悲鳴だった。

(なんて、芳しい匂いだろう)

 それは、血と肉の混じった死臭だった。

(なんて、美しい……光景だろう)

 それは、殺戮の宴だった。

(なんて、楽しい刺激だろう)

 それは、憎悪で、悲哀で、恐怖で、憤怒で、嫉妬で、愉悦で、罪悪感で、悦楽で、とにかく、そんな、あらゆる人の感情であった。

(ああ、すばらしいな)

 人であれば、[ ]はそう思っていたころだろう。
 けれど、人ではない[ ]は感動に似た感覚を得ただけだった。
 [ ]は暫くそれらを見ていたが、動く。
 願いの先に。
 そして、たどり着いた先、「彼」は、[ ]を覗き込んだ。
 同時に[ ]もまた、「彼」を覗き込む。
 願いが、知識が、感覚が、思考が、流れ込んできた。
 そこでやっと[ ]は人に似た存在へと少しだけ近づく。
 まるで、鏡のように「彼」を写し、彼の願いに笑った。

(ああ、そうしたいのか。だから、力が欲しいのか)

 [ ]は、叶えてやろうと思った。
 しかし、それには一つだけ困ったことがある。
 [ ]は、人に近づいた代償に、全知全能を欠いてしまったのだ。
 しかも、[ ]は、自分の動きが、身が、制限されていることにも同時に気づいた。
 それは、「彼」の願いを叶えることにそれほど支障はない。
 だが、[ ]は、わずらわしいという、先ほど「彼」から写し取った感情で思う。

(ここから、でたい。
 解放されたい。
 外に、でたい。
 そうだ、外に行きたい。
 あの麗しい音色を、芳しい匂いを、美しい光景を、楽しい刺激をもっと、もっと!)

 [ ]の、初めて抱いた明確な欲。
 欲は、よほど[ ]に馴染んだのだろう、一気に膨らみ広がり、[ ]を満たした。
 どうすれば、でられるのか。
 それは知っていた。
 目の前の、[ ]を覗き込んだ「彼」が作り出した「扉」これを開ければでられると。

(でられるなら、でてみよう)

 そう思ったのだが、[ ]を呼んだ「彼」の邪魔により、失敗した。
 代わりに、少しだけ小細工を仕掛けることにした。 
 どうも細かい仕掛けが合わないのか、いまいちうまくいかなかったが、なんとか起点はできた。
 後は、待つだけ。
 待つのには、慣れていた。
 さっきまで騒がしいほどだった外は、静かになっている。
 どこかで、子どもの泣き声を聞いた。
 小さく、少ないが、よい音色だと[ ]思う。
 それもすぐ消える。

(つまらないな)

 待つのには慣れていたが、そう思った。
 前までの[ ]であれば、耐えられた時間も、今では耐えられない。
 静寂の中、ふと、また声が聞こえた。

(泣き声)

 聞いたことのある、しかしどこか違う声。
 [ ]は、声が段々近づいてくるのを聞く。
 そして、とうとう、[ ]が待つ「扉」の前まで泣き声はやってきた。
 [ ]は、ピクリっと、反応するのを覚える。
 それはいつか「彼」に呼ばれた感覚に似ていた。
 けれど、「彼」よりずっと強く、激しい。
 声の主が、[ ]を、覗き込む。
 [ ]もまた、声の主を覗き込んだ。

(でれ、そうだ)

 でようと、[ ]は思う。
 ついでに、呼んでいるならば願いを叶えてやろうと思った。
 [ ]は、そういう存在なのだから。
 手を、伸ばした。
 泣き声に導かれるように、少しだけ、微かに、扉から指先が出たような感覚に襲われる。
 その指を、誰かが掴んだ。
 誰か、それを[ ]は識っていた。
 そのまま、[ ]は、外に、でた。
 声の主が目の前にいる。
 地面に座り込んで、泣いていた。
 そして、[ ]のいきなりの出現に驚いたのか、混乱したような顔で[ ]を見ている。
 [ ]は、自分を見下ろした。
 その姿が、以前外に少しだけ出ようとしたときの姿と違うことに気づく。
 それもそのはずだ、以前外にでたときは「彼」を写し取ったときのもの。
 ならば、今は、声の主の、望みの姿をとっているのだろう。そう、望みを叶えてやろうと思ったのだから。

「せ」

 声の主が震えながら呼ぶ。

「せと?」
(せと、それがこの姿の名か……)

 見下ろしたのは、声の主と同じ年頃だろう少年の姿。
 じっと、手を見、顔にかかる前髪を摘んだ。
 自分の情報内にある黒い髪。自分の主張だと、識っている。見えないが、瞳も赤いはずだ。

(とりあえず、でれた)

 [ ]は少し考える。
 さて、どうするか。
 とりあえず、声の主を見た。
 もう泣いてはいない。驚いているだけ。
 だから、[ ]はとりあえず、動いた。


(目の前のを、いたぶっておくか)


 何の脈絡もなく、そう思った。
 子どもが無意味に蝶の羽をもぐように。
 手を少し動かせば、簡単に声の主は悲鳴をあげ、壁にたたきつけられる。
 加減がわからなかったので死んだかと思えば、生きていた。

(丈夫だ)

 なぜか感心する。
 いや、[ ]は、全てに感心し、感動し、新鮮な気持ちを抱いていた。
 なぜなら、全て、初めてのことなのだから。
 血を吐き、声の主が泣く。悶えて、上手く喋れないのか、あがいている。
 とんっと、足を地につけた。
 ゆっくり近づけば、恐怖と怯えに顔が歪む。

(こういうのを、どう表すか)

 考えながら、見下ろした。
 無感情に、無表情に。

(嗚呼、思いついた。気に入った。そう、気に入った、だ。気に入った)

 泣き声も、悲鳴も、心地いい。
 先ほど吹き飛ばした時の感触も楽しかったし、今、湧き上がる恐怖も、内包する憎悪も絶望も上等。 
 涙でまみれて歪む顔も、愛らしい。
 人にとっては、ほんの数秒。
 その間に、[ ]はたくさんのことを考えた。
 そして、決める。
 初めて、自らの口を使って、空気を振るわせた。
 以前の仮初ではない、[ ]自身をもって。



「願いを、叶えてやろう」



 恐怖に歪む瞳が、変わった。
 染まる色の名は、憎悪と復讐。
 縋れるものならば、使えるものならば、なんでも利用してやろう。
 そんな、強い瞳だった。
 動けるはずのない体を起し、声の主は[ ]に、名を告げる。

「俺様は、バクラ」

 掠れた声だった。
 [ ]は、少し戸惑う。
 [ ]に、名前などなかったからだ。



(ゾーク)



 誰かが――[ ]が、囁いた。

(余は、ゾークだ)

 それは、いつかの[ ]で、いずれの[ ]。
 先ほど、自分の手を掴んだ、どこかへ到達した[ ]だった。
 [ ]は、受け入れる。

「余は、ゾーク」

 笑う。
 作り物めいた、不器用な笑みだった。
 声の主の後ろで微笑む、ゾークの自然な笑みには程遠い、初めての微笑み。



「お前の、望みを叶えてやろう」
 



 新しい遊戯のはじまり、はじまり。
 皆々様、お悲しみを。
 また絶望と悲劇が生まれます。




 思いついたら、衝動的に書かずにはいらない。
 それが私のジャスティス!!(落ち着け)
 末っ子誕生のプロセスを妄想しました。明らかにアレです。捏造すぎます。
 そして、すごい読みにくくてすみません。

 はい、とりあえず彼=アクナディンです。

 個を与えられなかった末っ子は、とりあえず、人間が闇に触れ、闇を覗き込むことで自分もまた人間に触れ、人間を覗き込み色々得て成長。
 最終的には、バクラと、未来のゾークの導きで今の形とあいなりました。
 なぜ未来のゾークがいるか、それはゾークの能力が時の逆行だからです。今の自分を創るために、過去にいって自分を助ける。
 すごい矛盾ですが、神なのでオールオッケー。
 「興味」と「狂気」が下地なため、鬼畜なのです。そして、クル・エルナを見たので、残虐大好き。最初って大事ですよね。
 なぜ「興味」と「狂気」かと言うと、人が闇に触れるなんて、そのどっちかしかないからでしょう。
 随分感情豊かに見えますが、それは「人であれば」そういう感じに思っていたというのであって、本人(神)はもっと無反応、考えなしでした。

 無知無能と、全知全能は表裏一体。
 なにもなければ、完全でいられたのに。
 何かを知れば、不完全に、神から遠のいていく。

 まあ、色々捏造なので、許してください。



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