※盗賊王転生にょたなエルナです。
 基本、盗賊王をそのまんまな外見で女子高生にした感じのイメージです。
 右目に包帯とかぐるぐるしてますが、まあ、話の上ではあんまり関係ないです。
 王様がセクハラ気味です。
 なんか、姉っぽいので、エルナは宿主様の姉です。天音ちゃんとは逆。
 色々すいません。











































 短いスカートからすらりと伸びた褐色の足が、見惚れるほどキレイに男の鳩尾に決まる。
 悲鳴すら上げることのできなかった男はそのままの勢いで背中から打ち付けられ、起き上がれなかった。

「なっ!」

 鳩尾を蹴られた男の隣にいた男たちが驚愕に目を開く。
 視線の先にいるのは、一人の少女。
 褐色の肌に白い髪、そのぎらりとつりあがった青い瞳だけでも色彩的に目立つというのに、標準よりも高いだろう背と、整った顔立ち、そして胸と腰のボタンを2,3個開けているせいで露になっている細い腰や鎖骨がより人目を惹きつけてやまない。
 だが、それよりも何よりも少女の仲で目に付くのは、顔の右半分を覆う包帯だった。ファッションではない、少女の整った顔を覆うからこその生々しさが、ある。

「こいつ!!」

 それ以上の言葉を紡ぐ前に素早く少女は身を低くし、もっとも近くにいた男のアゴを掠るように蹴った。かすだっただけだというのに男はぐらんっとゆれたかと思うと倒れ伏す。 
 たんっと一度後ろに下がった少女は、青い、つりあがった片方だけの目が男たちを見た。その青い瞳の強さに思わずたじろきながらも、少女を捕まえようと手を伸ばす。しかし、少女は軽やかにスカートを翻して手を伸ばした男の懐にわざと入り込み、短い白い髪の隙間から男と目を合わせ、笑う。猫科の獣のような獰猛な笑みだった。
 目を奪われ無防備になった男はごきっと次の瞬間男のアゴを殴りつけ、その体を後ろにいた男たち二人を巻き込んで蹴り飛ばす。
 そして、しなかやに体をくねらせながら前に飛ぶと、驚くほど柔軟な動きで蹴り飛ばした男たちの方を見ていた男の鼻を蹴り潰す。そのままの勢いで後ろにバックステップし、ふわりっとそこで、ふうっと息を吐く。
 そこでやっと相手がただの少女でないことを感じた男たちは距離をとった。 
 ちろりと唇を舐め、少女が呟く。

「弱い」

 ぷらぷらと殴った手を振り、2,3度握る。

「俺様に喧嘩売るなら、もっと手数揃えるとかよ、腕の立つやつつれてこいよ」

 傲慢なまでの口ぶりに起き上がった二人は怒りを露にし、少女はソレに対してますます笑った。

「まっ俺様弱いものいじめも好きだしよ。最近喧嘩禁止されてたから……こいよ」

 どちらかというと細い指で挑発するように少女は手招きした。
 誘うような眼差しはどこかぞっとするほど艶っぽく妖しい。
 男たちは迷うように顔を見合わせ、少女を見る。逃げるべきか、少女に殴りかかるべきか、そう考えている表情。

「まあ、俺様が怖えなら逃げていいぜ……」

 更に挑発するような言葉。
 同時に、鳩尾を蹴られた男が咳き込みながら起き上がったのを見て、男たちは決めた。
 強い視線が少女に向かう。
 けれど、少女は一切怯むことなく、ますます楽しそうに笑うだけ。

「んじゃまあ、とっとと終らせるか」



 言葉通り、それほど時間も経たず少女は一人で道を歩いていた。
 背後には数人の男がぐったりと倒れているが、興味が失せたのかつまらなそうな表情で振り向きもしない。
 今日は怪我もなければ、制服に汚れも無い、これならバレずに済むだろうと考えていた。
 彼女は、最近、弟によって喧嘩を禁止されていた。好戦的な少女に対して、平和主義の弟は例え降りかかる火の粉であっても嫌らしく、喧嘩をしたことがバレると烈火のごとく怒るのだ。
 もしもバレたら……少女はその時の弟の表情を思い出しぞくっと震えた。いつもは穏やかでどちらかといえば優しい弟であるが、一度キレると、凄まじく恐ろしい。
 近道である細い路地に入った瞬間、少女は顔を歪める。
 思わず、くるりと背を向けて逃げようとしたところに、声がかけられた。

「よう、エルナ」
「……よう」

 振り返った先、そこには壁に体を預けた少女と恐らく同い年だろう小柄な少年がいた。
 不機嫌な表情を一切隠さず、むしろ見せ付けるように少女は、少年を睨む。相手は、むしろ楽しそうにその視線を受けると、すいっと携帯を少女に突きつけた。
 少女がそれを覗き込んだ瞬間、まさしく苦虫を噛み潰したという表現がぴったりに顔をますます歪める。

「今日は大暴れだったな」

 そこには、少女が華麗な回し蹴りを男に決める写真が写っている。
 更に目つきをきつくし、少女が無言でこれはなんだと問いかけた。

「これ、獏良くんに見せたらどうなると思う?」

 少年の言葉に、少女が凍りつく。

「脅す気かよ……」
「別に、俺は見せたらどうなるか聞いただけだぜ?」
「………」

 相変わらず笑いながら威圧する少年に、少女は歯噛みする。
 どう考えても、脅されているようにしか思えなかった。
 殴って奪ってやろうかと思ったが、実は目の前の少年、小柄な割りに中々強い。奪おうとしている間に、弟に送信されてしまう恐れがあった。

「……なにすりゃ、いいんだよ」

 俯いて呟けば、少年は携帯を引き、代わりにすいっと指を少女の薄い唇に当てる。

「口止め」

 少女の唇をなぞり、自分の唇に当てる。
 明らかな暗喩に、少女はものすごく嫌そうな顔をした。

「……何回?」
「そうだな……喧嘩相手は5人だから、5回」
「多い、2回」
「5回」
「3回……」
「4回」

 それ以上は譲る気はないともう一度唇に指をあてて笑う。
 少女はしばらく考えると、唇から指を下ろさせ、少年に身を寄せた。
 背の高い少女に対し、小柄な少年は少し見上げるように笑う。その笑みに少し目をそらしながら少女は背を曲げて少年と唇を重ねた。
 間近で見る少女の青い瞳は、白い、意外と長い睫に縁取られ美しく、唇は柔らかだった。短い髪がさらさらと頬に当って心地よく、少年は目を細める。

「はい、一回」

 しかし、それをじっくり味わうよりも先にひょいっと顔が遠ざけられた。
 あからさまな少年の不満げな顔に、少女もまた不機嫌そうな顔をする。

「うるせえ、唇くっつけたら一回だろ」
「それで口止めになるのか?」

 腰に腕を回して引き寄せ密着する。
 そうっとうなじから髪に指を入れれば、嫌がる猫のように首を左右に振った。

「とにかく、一回だろ!!」

 頭突きするような勢いでまた唇が重なる。
 今度はすぐ離れないようにしっかりと頭を固定するとぬるりと舌を入れた。
 驚きに目を見開くのに笑みで返し、髪にまた指を差し込み撫でる。拒む舌を絡めて軽く音をたてて吸うと同時に、腰から少し下へ手をずらせば、さすがに怒ったのか尖った犬歯が少し強く舌を噛んだ。
 仕方なく固定していた手の力を緩めると威嚇する猫のような犬歯をむいた。

「なにすんだよ!!」
「口止め」
「違う!! 手!! どこ触ってんだ」

 べちっと強く叩かれ手をしぶしぶと引く。
 代わりとでもいうように目の前の鎖骨に口付ければ、褐色の肌のせいでわかりにくいが、微かに頬を染めて少女は呟く。

「言っとくけどよ、ここ、外だからな」
「言われなくても、わかってるぜ」
「じゃあ、あんま触んな……」
「お前がもっとしっかり口止めしてくれるなら、考えるぜ?」
「なんでだよ!!」
「別に、お前がしっかりとした口止めができる自信がないならいいぜ?」

 むっと少女の怒りの琴線に触れたのかその瞳に怒りを宿してまた唇を重ねる。今度は少年の首に腕を巻きつけたかと思うと舌を入れた。
 特に抵抗もなく受け入れた少年の舌をなぞり、絡める。激しくはないが、それなりに巧みな舌使いに少年も答えるように舌を絡め返す。一種の攻防にも似た強さで舌を動かしあい、唇から唾液が零れた。それでも、どちらも顔を離すことなく貪る。
 見詰め合った少女の瞳が細まり、足の力が抜ける。ぐにゃりと体重をかけられ、少年は一瞬バランスを崩しそうになったがすぐ立ち直り支えた。
 拙くなった舌を勝ったとでもいいたげな荒々しさで翻弄し、息苦しさに浮かんだ涙を見るとそこでやっと口が離される。

「エルナ?」

 肩に顔を預ける少女の髪を2,3度撫でると小さな罵り言葉が漏れた。
 体に力が入っていないことをいいことに少年は少しだけスカートをまくりあげ、足の付け根に触れる。一応、短パンのようなものをはいてはいたが、先ほどの攻防のせいか火照った体は簡単に反応する。

「ぁ」

 抵抗しようと身を捩るが、力の入らない体はこけそうになり、体を必死に保とうとするとそれがより少年との隙間をなくしていく。

「ま、おうさ、」
「もう一回残ってるぜ?」

 何度も足の付け根を撫で、少女の反応を楽しみながら囁く。
 がぶり。
 そんな擬音が聞こえそうな痛みが肩に走った。

「っ!」
「触るな……」

 その言葉に、少年は無言だった。
 無言で支えていた体をぐるっと反転し、少女の体を壁に預けたかと思うと露出している腹部から手を突っ込む。
 そのまま下着をずらし、膨らみかけの胸に手を這わして少し強くぐにっと掴む。 

「ひっ!?」

 痛みに逃げようとするがまだうまく足に力が入らず足が折れる。
 それを支えつつも、ぐにぐにと強く揉み、首筋に口付けた。

「いっいた! いたい!」

 まだ発達途中の胸は触れられるだけでも痛みを伴うと言うのに遠慮なく掴まれ、形を変えられれば、じわりとその瞳に涙が滲んだ。

「やっやめろ!!」

 無理矢理離れようとしたせいか、ぶちっとボタンが飛び、腹部が更に露出される。
 それでも手はとまることなく、最初よりは弱く、けれど指を食い込ませるように手を動かした。

「痛い!! 痛い王様!! やっうう!!」

 目に付いた髪を握り締め、引っ張れば、不機嫌そうに見あげてくる。

「痛いって言ってるだろ!!」
「俺の肩も痛かったぜ」
「そうかよ!! つーか、外だって言ってるだろ!! バカ!! バカ王!!
 こんなところで何する気だ!! 変態!!」
「変態だから、ナニをしてやろうかと」
「開き直るな!! 拗ねるな!!」

 がすがすと力の戻った足でけりつけながら少女は少年を罵る。

「ちょっと待て、エルナ、地味に痛い」
「俺様も痛かったんだよ!! エロ!! 胸フェチ!!」
「それは誤解だぜ!! 俺は足のh」


 ごすっと、見事な膝が少年の腹部に決まった。


「死ね!! そこで死ね!!」

 そう吐き捨てると腹部を押さえて倒れこむ少年を振り返らず走り出した。
 口の中ではまだ罵倒の言葉を繰り返し、途中で腹部のボタンが1,2個足りないことに気づいて八つ当たりとばかりに壁をけりつける。

「今度会ったら殺してやる……!!」





 一方その頃、ぴくぴくとしばらく震えていた少年だったが、痛みが治まってきた頃、むくりっと立ち上がる。
 少女の走っていった方を少しだけ見、そして、携帯を取り出し、開く。
 そこにはまだ、回し蹴りを相手に食らわせる少女が写っていた。

「……これで、少しは喧嘩は控えるか?」

 ぽつりっと呟く。

「いくら強いからって、あんな格好で喧嘩なんかするなよな」

 画面の中、短パンをはいているとはいえスカートの中は見え放題、腹部も、危うく見えそうな胸の部分も、第三者が見ていればかなり危険である。
 ふうっと小さく溜息を吐き、追い討ちだっとばかりに少女のメアドに写真と一言メッセージを添えて送信した。



[まだ、一回残ってるぜ?]


 
 少年が一回を取り立てに行くのは、そう先のことではない。



 ついに、エルナたんが登場です。
 そして、王様はエルナたんの心配しているように見えてただのセクハラです。本当にありがとうございました。
 もっとエロ苦する予定でしたが、できませんでした。次こそリベンジエルナたん。

エルナのちょっとした脳内設定。
 褐色の肌、青い目、背が高め。胸はまだ発展途上中。未来のないすばで。右目をとある事故で包帯ぐるぐる巻きに。一生のこる傷がついたとか。
 性格は好戦的で世話焼きで、素直め。口より先に足が出る。
 天音ちゃんと比較して、ちょっとツンエロ(マテ)
 せとが好きらしいが、初めては全部王様(マテマテ)
 露出がかなり多く、カッターシャツの上も下もいくつか開けている+ミニスカ(けり技のため短パン/スパッツでもよかった><)
 細いが、それなりに肉付きもよい。

 ちなみに、セクメトはエジプトの殺戮の女神です。


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