※ネコミミネタです。
バクラが本能に忠実です。
王→バク→せとの追いかけっこです。
バクラは猫である。
ただ、10歳くらいの褐色の子どもから白いふわふわ、というよりもぼさぼさなネコミミとシッポがはえているだけのような気がするけれど、それは気のせいで、猫である。
少し前までは野良猫だったが、雨の日、自称・運命の出会いを飼い主と果たし今に至っていた。
飼い主の名前はなぜかバクラと同じだったので、バクラは飼い主のことを宿主様と呼んでいる。
「そこはご主人様vとかマスターvとか呼んでほしいんだけどな」
と、少々OTAKUの気のある宿主様は言うのだが、バクラは聞かなかったことにしている。
今日も、勝手に窓の鍵を開け、バクラは外に飛び出した。
宿主様が
「ネコミミといえばメイド服だよね!」
っと用意した黒いドレスとフリルがどわっとついたエプロンを脱ぎ去り、隠していたいつものミニスカのような腰布とコートを羽織れば準備は完了。
下から覗き込まれたらとは考えず、塀に登って散歩を開始する。
しかし、この散歩気をつけなくてはいけない。勝手に外に出たことを、そして服を脱いだことを宿主様に怒られるのは勿論のこと、結構バクラには外敵が多いのだ。
猫の天敵の犬、本来ならば捕食対象となる鳥、そして同族の猫。
前者二つは警戒すればそれほど問題にならないが、問題は猫だ。鎖に繋がれているわけでも、食べられるわけでもない同族はある意味一番の問題である。
この辺りを縄張りとするものに喧嘩を売られたり、新顔であるバクラをいびるものは多い。
けれど、バクラだってその目つきに合わせてかなり好戦的で強いのでそういうのはむしろ来るなら来いなのだが、それよりも恐ろしいものがいる。
今日の目的地を目指す際に近道になる細い道の前で、バクラは立ち止まった。
慎重に、慎重に左右を見回し、そして後ろを何度も確認する。
ほとんど異常というレベルまで辺りを念入りに警戒すると道に足を踏み入れた。
びくびくとできるだけ早足で駆け抜ける。何で自分がこれほどまでに怯えなければいけないのか情けなくなりながらも、しかたがない。
もう少しで大通りに繋がる道だっと、足を速めた。そこを抜ければ目的地までもうすぐ。
バクラの顔に明るさが戻ってきた
「!」
瞬間のできごと。
上から、風を切って、ソレは降ってきた。
大通りへと通じる路地の前に音もなく華麗に着地し、バクラを見ている。
咄嗟にバクラはその身を翻して方向転換。
こけそうになりながらも逃げ出した。
が、ソレは逃がさない。
黒い耳とシッポを揺らし、ほとんど跳躍だけでバクラの上へと飛び掛る。
「いでええええ!!」
どさっと倒れた拍子に膝と胸を激しく擦り、バクラは悲鳴をあげた。
恐らく、見れば丸出しの膝は無残になっているだろう。
バクラはカラスだって追い返せそうな目つきで自分の上にのっている存在を首だけ動かしてにらみ付けた。
「なにしやがる!!」
ソレは、猫だった。
バクラと同じ10歳ほどの少年にしなやかな黒いネコミミとシッポがはえているようにしか見えないが、やはり猫である。
名前は他にあるが、この辺り一体を縄張りにしており、とてつもなくえらそうなことから王様という通り名で呼ばれている猫で、バクラを執拗にアタックをかけ、ある時は口説き、ある時は実力行使で押し倒すを繰り返していた。だからこそ、バクラはこの猫を誰よりも警戒していたはずなのに。
王様はニヤニヤ笑ながらバクラの腕を爪をたてて抑えて、ネコミミの近くで囁く。
「お前が逃げるからだろ?」
猫が逃げる獲物に飛び掛るのは普通だとそう主張する。
「逃げねえわけないだろ!! てめえいつも俺になにしてるかわかってんのか!?」
今にも噛み付きそうに牙をむくバクラに、王様は気にしない。むしろ、ご機嫌そうにしっぽをピンっと立て、つんっとたったバクラの白い耳を軽く噛む。
「にぁ!」
バクラの白い耳がびくびくと跳ね、背筋をぞくぞくと震えた。
自分の出した声に咄嗟に口を抑えるものの、王様の笑みは消えない。
「いいこと」
「に、やめやが、れ!」
更にはむはむと耳を噛みびくびくと感じるバクラを楽しむように指を尻尾へと伸ばした。
触れる寸前に拒むように逃げる尻尾は怒りにぶわっと逆立っている。
それをあえて追わず、そのまま手を下げてコートの裾を小さくまくった。
「そんなに尻尾を立てると、まるみえだぜ?」
「ぁぁぁおん!!」
ざらりと耳の裏を舐めあげれば、背筋を弓のように反らせ、悲鳴をあげる。ぎゅっと目を閉じ、なんとか感覚を受け流しながら身を捩った。
耳はいやいやとばかりにばたばた震え、尻尾も不機嫌そうに揺れていた。腕は抵抗するために地面をこすったが猫の爪が食い込みうまくいかない。
その間にも腕を押さえていない手はまくった裾から手を差し込み、尻尾で持ち上がった腰布の奥に触れる。
「やめろっつってんだろ!!」
なだらかな曲線を直接なでられ、眉をしかめる。
勿論、バクラも猫なので下着なんてはいていない。服は……まあ、毛皮である。そう、毛皮。
そのまま内ふとももまで伝えば、さすがに焦ってくる。
爪にも構わず抵抗するが、前を強く掴まれ動きが止まった。
「やめやがれ!! ここどこかわかってんのか!?」
「外だろ?」
「わかってんなら止まれ!!」
「別に、猫が外ですることのどこが変なんだ?」
ぐっとバクラの言葉が詰まる。
それに反論してしまうとこの話の根本が覆され……いやいや。
とにかく、バクラは口を閉じながらも下から逃げようともがいた。
「別に、俺はお前が大人しくヤらせてくれるなら中でしてやってもいいぜ?」
「な、ん、で、てめえなんざと……にゃ」
ふっと、耳に息を吹きかけながら前を強く掴んだまま手を動かす。
本能に忠実な猫のせいか、バクラの体からすぐに力が抜け、目がとろんっと細くなる。
それでも、やはり外ということが気になるのだろう、それでも抵抗は止まなかった。
ずりずりと這い出そうとしながらも、ふるふると小刻みに痙攣する。
「ぁ、やめ、に、に、ゃう……」
「本当に、やめてほしいのか?」
「ん、た、り、まえだろ……」
ざりりと首を舐められ皮膚に鳥肌が浮かぶ。
汗がしっとりと肌を塗らし、体の火照りを教えた。
ぬるぬると前を液体に塗れさせ、抵抗が小さくなっていく。
王様の余裕気な頬ににぺしっと、白い尻尾がぺしっと当る。体から力は抜けても抵抗の意思を見せる尻尾に、猫は躊躇わず噛み付いた。
「にぃ!! いでえ!!」
牙を立てがぶがぶと齧る。ただし、それは傷つけるというよりも、少し強い程度の甘噛みでしかない。
最初の痛みも徐々にゆるまり、痛みとは別の感覚へと摩り替わっていった。
口から逃げようと振られる尻尾を王様は逃がさない。
「か、むなあ!!」
地面を小さくひっかき、いやいやと首を振った。
しかし、王様はやめるわけもなく、むしろ前から手を離し、バクラのモノでぬるぬるになった指を後ろへと添える。
「いっ!」
これにはさすがに大慌てで逃げようとするが、尻尾を強く握られ防がれた。更に尻尾に噛みつかれ、身もだえした。
ぐりぐりと入口を強く撫でられ、尻尾を噛まれ、じわりと涙が浮かぶ。
「に、っやだ……いやだあ……」
「大丈夫だ」
「にゃ、なにがだよ!!」
「気持ちよくしてやるから」
「すんなああああ!! ああああ!!」
ぬるりと指が侵入する。
きついが、傷つくことなく指を受け入れ、そこは収縮した。
遠慮もなく深く入った一本が内壁を押しやり、二本目を促す。
「もう、こっちは俺になれたな」
「ひにゃ、う、ぁお、う……!!」
がくがくと内部を荒されながらも、バクラは自分の体が感じている感覚を素直に受け入れる。
今や、滲んだ涙は零れ、開かれた口からは多少苦しげなものの、甘い声が漏れていた。
獣の本能のままに快楽に流された表情はひどく淫靡で艶かしい。
催促するように腰が揺れ、背筋を震わせた。
「にゃああ……」
「声、抑えなくていいのか?」
「ふぁ?」
そう言われ、多少正気に戻る。
ここは、外なのだ。こんな行為をするための場所でも、声を出す場所でもない。
わかっているのに、中に指が動けば、尻尾を噛まれれば声は止まらず思考は本能のままに近づけられる。
王様はそれもお見通しなのか、意地悪気に笑いながらバクラのコートをまくりあげ、背中をさらした。
すべらかな背中にざりりと舌を這わせ、快楽を更に促す。
「ああああああん!」
異物を押し出したいというよりも飲み込むような締め付けに王様は小さくもういいかっと呟く。
勿論悲鳴を上げ続けるバクラには聞こえていない。
「なぉ! な! あああん!!」
3本目の指をねじ込まれ、更に声を大きくする。
まさしく盛りのついた猫という言葉がぴったりだろう。
王様はそのバクラを不意にひっくりかえした。中で指が回転しぞわぞわっと強い刺激が前進を駆け抜ける。
「にゃああああ!!」
指はそのままに、王様はそのコートから晒された胸の突起を口に含む。
ざらざらした舌で弄べば語尾にハートマークでもつきそうな甘い声が響く。
ぽすぽすと抵抗というよりも行き場の無い手が軽く王様の頭を叩いた。それすら受け入れながら王様は仲から指を抜く。
「ぅん?」
不満そうな声に変わり、王様は自分のズボンに手をかける。
「ひゃ」
その動作で一気にバクラも目が覚めた。
足の間にいれていた王様を蹴り飛ばし逃亡を図る。
さっきまで快楽に溺れきっていたので王様も油断したのだろう、いきなりの逃亡に思わずしりもちをついた。
一目散に走ろうとするが、やはり冷めたとはいえ、快楽に浸った体はただよたよたとふらつく。
半分も行かずに倒れたバクラを再び王様は捕まえる。
「逃げるな」
「う、うるせえ……お、俺様、初めての相手は決めてんだ!!」
ぎっと睨みつけられ、王様はふつふつと沸きあがる怒りを感じた。
もう何度となくバクラを襲っている王様であるゆえに、当然その相手を知っている。その相手のことは別にキライではないが、キライでいないのとは別問題で許せない。自分がここまで開発した体を、思っている相手を取られるなど、許せるはずがない。
「それが、どうした」
「だからてめえのなんざいれられるか!!」
「けど、俺には関係ないぜ」
「うぎゃー!!」
腰を掴まれ、腰布を持ち上げられる。
王様の熱くなったものをあてがわれ、小さく身震い。
「気持ちよくしてやるぜ?」
「ぜってえ、断る!!」
しかし、いくら口で言ったところで、もうバクラは食べられるだけの獲物でしかない。
思わずぎゅっと目をつぶり、叫んだ。
「せとおおおおお!!」
「なにをしている、貴様ら」
ひょいっと、王様の体は簡単に持ち上げられた。
ぎぎぎぃっと、軋む音すらしそうなほどゆっくりと王様が振り返る。
そこには、一人の背の高い青年がいた。
青年は、ひどく、ひどく苦い顔で王様とバクラを見ている。
「せとぉ!!」
バクラの顔も、声も喜びの色に染まった。
同時に、王様の顔はひどい顔に歪んでいる。
そして、次の瞬間器用にその手から逃げると、覚えていろっとでも言うように一度だけ振り返り、走りさっていった。
「……道端で盛るな」
はあっと、溜息。
よたよたと立ち上がって足に縋りつくバクラの頭を慣れた手つきで撫でる。
「まったく……貴様はここでなにしているんだ」
問いかける声に、バクラは微かに迷って口を開いた。
「えっと……せとに会いに行こうかと……」
「で、また道端で襲われたと……?」
「………」
申し訳なさそうな顔で見つめるバクラに、青年はもう一度溜息をついた。
正真正銘、ネコミミもネコ尻尾も生えていない人間である青年は、バクラが宿主様に拾われる前の、いわゆる一時的な飼い主だった。仕事の都合で飼うわけにはいかなかったが、暇と時間があれば寝床やエさを与えていた存在。
バクラはいたくこの青年が気に入っており、飼われた今も、隙を見てこの青年の下へ通っている。
「貴様の飼い主に頼めと言っているだろ」
「だって……宿主様いたら、二人っきりじゃないし……」
コートの裾を掴み上目遣いにバクラは見た。
ネコ好きでなくとも、その仕草を見ただけで誰もが抱き上げて許してあげたい仕草である。
しかし、青年はまったく騙されない。
「どうせ、一人で自由を満喫したかったというところだろう」
「う゛」
「貴様がそうしおらしいことを思っていないことくらい、知っている」
「でっでも、せとに会いに行こうと思ったのはマジだぜ!!」
必死のバクラの訴えに、もう一度大きく溜息をつく。
そして、少し考えると足に縋るバクラを抱き上げた。
なんだかんだで甘いらしい。
「まあいい、それで、俺に会いたいということはなにか用事があったのだろう、言ってみろ」
「おう!」
その青年の端正な顔に頬を寄せながらバクラは満面の笑みで呟いた。
「俺様とつがいになろうぜ!!」
誰に教えられたのか、渾身のプロポーズ。
青年は、その顔を能面のようにこわばらせた。
「…………」
青年は、バクラをおろす。
そして、その長い足で大またにすごいスピードで歩いていく。
一瞬きょとんっとしたバクラは、それをしばらく見送り。
「せとおお!!」
「黙れ、ついてくるな」
「なっなんでだよ!!」
「うるさい、貴様の口に聞け」
「こういやあ一発だって言ってたのに!!」
「誰がだ、ついてくるな」
「せとおお!! もう言わないから、言わないからおいてかないで!!」
それから、再びバクラが抱き上げられるのは、そう先のことではなかった。
やってしまいました猫耳ネタ!!
もっと色々やりたかったのですが、最初なので……いや、最初から飛ばしてますが。
設定とか作ってネコミミでじわじわやりたいなっと思いつつ、フツフツと欲望を抑えています。
なんでショタなんだっというのは、ネコだからです。なんでメイドなんだよって言われたらネコミミだからです。
ふう、ツッコミどころ満載だぜ、あいかわらず。
さて、バクラにプロポーズを教えたのは誰でしょう……。