※ネコミミバクラです。
いつでも、自重できないターン!!
バクラは猫である。
ただ、10歳くらいの褐色の子どもから白いふわふわ、というよりもぼさぼさなネコミミとシッポがはえているだけのような気がするけれど、それは気のせいで、猫である。
少し前までは野良猫だったが、雨の日、自称・運命の出会いを飼い主と果たし今に至っていた。
飼い主の名前はなぜかバクラと同じだったので、バクラは飼い主のことを宿主様と呼んでいる。
それは、そんなバクラがまだ宿主様に飼われてそう時が経っていない頃。
最近はすっかり諦め気味だが、拾ったばかりの頃は宿主様は随分とバクラが外に出ることに敏感で、厳重に厳重を重ねた戸締りをなんとか突破した日。
宿主様が
「やっぱりネコミミといえばチャイナ服だよね。僕としてはロングに大胆なスリットが入ったのが個人的にすきなんだけど元気系のバクラにはミニスカだよね。
青か赤かも迷ったけど、バクラには赤が似合うし、青だったらやっぱり春●くらいの改造してタイツも用意しなきゃいけないから、やっぱり赤で正解だったよ」
っと、管理人が宿主様の口を通じて言っているようにしか聞こえない発言によって着せられた赤地に金の刺繍が施され、スカートがこれでもかというほど短いチャイナ服のまま飛び出した。
勿論、まだ着替えを用意するなどという悪知恵の回らぬバクラは、まあ、前の服に近いし、動きやすいからいいだろうと久しぶりの外を満喫する。
実を言うと、元々のバクラの縄張りはここではなく、この辺りを歩くのは初めてだった。とりあえず、ここが前の縄張りからどれだけ離れているか、地理はどうなっているか調べなくてはいけない。
恐らく、よそ者である自分が、ボス猫にも挨拶をせずこんなに堂々と歩いていれば喧嘩を売られるだろうが、腕に覚えのあるバクラは我関せずとばかりに歩きまわった。いや、その期待に満ちた顔は喧嘩を望んですらいたかもしれない。
なんと言っても、拾われてからここ数日体を思いっきり動かすことすらなかったのだから。
「ふう……」
外の空気をめいいっぱい吸い込み、背を伸ばす。少し動かした体はそうなまっていない。
機嫌良さそうに耳と尻尾をぴんっと立てると壁に乗ってみたり、あえて降りて細い路地に首をつっこんだりと忙しなく動いた。
かなり大胆なミニスカの中身がかなり危険であったが、猫であるバクラは勿論気にしない。
途中、望むとおり、何匹かの猫に喧嘩を売られた上に服を笑われて半殺しにすることもあったが、これといった問題もなく散策は続く。
運がいいことに、それなりに歩いたが、知った場所に出たことで、自分がそう以前の縄張りから出ていないことを知り、バクラは笑った。
「ちーっと遠いけど、いつでもせとに会えそうだぜ」
その笑みは、いつもの自信に溢れた荒々しいものではなく、本当に嬉しそうな、自然に零れた笑み。
もしも、その笑みを見たものがいれば、思わずバクラを抱きしめて撫で回したいほど愛らしかった。
その後も、ある程度の範囲を調べつくしたバクラはそろそろ帰るかと足を家へと向ける。
脱走したことはバレているだろうからかなり怒られるだろう。それを思うと少し憂鬱にもなったが、仕方ないとすぐさま開き直った。
またしばらく外に出れないかもしれないと思うと名残おしいが、遅くなれば遅くなるほど比例するように温厚であるはずの宿主様の機嫌が急降下するので渋る足を叱咤する。
ふと、角を曲がったとき、思わず立ち止まった。
(……?)
目が、あった。
警報。
本能が告げる、危険。
しかし、逃げられなかった。
バクラの高い誇りが、折られることのなかった自信が、逃げることを許さない。
その目に背を向けることを、決して、許さないのだ。
猫だった。
そこに立っているのは、バクラと同じ10歳ほどの少年にしなやかな黒いネコミミとシッポがはえているようにしか見えないが、あくまで猫である。
嫌な視線だと、バクラは思った。
上から下まで、舐めるようにじっくり見られ、ひどく偉そうに、傲慢な笑みを浮かべているのだ。
にこりっと、猫は笑った。
楽しそうに、けれど、獲物を見つけたかのような粘ついたもの。
ぞわりと背筋に言い知れぬ感覚が走り、尻尾が嫌悪に膨らむ。
「お前、名前は?」
バクラの睨みつけるような鋭い視線をものともせず、問う。
まるで、王者のように絶対的に、同じ目線、いや、バクラの方が背が高いというのに見下ろしていく。
一歩一歩ゆっくり近づくだけでバクラは後ずさりしそうになる体を、なんとか一歩踏み出した。
「バクラ……」
「バクラ、か」
後、数歩。
猫が本気を出せば、それこそ一瞬で縮まる距離。
「俺はアテム、この辺りのボスをさせてもらってる」
強いっと、バクラは直感した。
この辺りのボスをしていると聞いたからではない。
肌にぴりぴりとくるのだ。
喧嘩慣れしているバクラは、こういうとき、決まって相手が強者であると理解している。
それがただ強いのか、自分よりも強いのかまではわからず、距離を測りかねた。
「俺は平和主義で、できればお前と戦いたくないんだが…………お前にやられた部下の分、痛めつけさせてもらうぜ……」
だからこそ、避けそこなった。
ビッ。
布を裂く音。
かろうじで反応し、後ろに飛んだものの、胸の部分の服をその爪で引き裂かれる。
バクラは雄であるからまったく気にしないが、褐色の滑らかな胸元が大気に晒された。
鋭い爪が、光り、追撃をかけるがほとんど一回転するような勢いで体を捻って避け、距離をとる。
「てめえ……」
ぐわっと牙をむき、睨みつけた。
遅れて微かに風撫でられた胸部分が痛い。
見れば、爪が少し掠ったのだろう薄い傷から血が滲んでいる。
いきなり攻撃されたことも、傷つけられたことも、それなりに怒りを湧き上がらせる要素だった。
だが、それは返せば相手の強さを知り、好戦的なバクラならば、笑うところだろう。
けれど、今のバクラには、表情が無い。
ひらひらと破れた布が揺れる。
じわりっと、バクラの目尻に涙が滲んだ。
あまりにも見かけとかけ離れた意外な行動に、猫が目を見開く。
思わずどうしたと声をかけようとした瞬間、低い、低い声が、空間を震わせる。
「ぶっ殺す……!!」
バクラは、怒っていた。
いや、そんな言葉ではすまない、怒り狂っていたとも言っていいだろう。
(宿主様が)
「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すてめえぶっ殺す!!」
(宿主様が俺様のために作ってくれたのに!!)
後に、このことが原因で動きにくい以外の理由で着替えを用意するようになるのだが、あくまで後の話である。
怒り狂ったバクラは野生のそのままの動きで猫へと飛び掛る。
その速さと言えば、さすがの猫も驚き笑みを消すほどだった。
正確に急所を、喉笛を狙い爪が、蹴りが、反撃の隙もないほど飛ぶ。
大振りではあるが、隙がない。隙があったとしても、次の瞬間にはその場にはおらず、壁を蹴って勢いをもった一撃がくる。
「そんなに激しく動いたら、まるみえだぜ?」
内心、冷や汗をたらしながら呟くが、バクラは無視。
確かに、チャイナから大胆に伸びる足が、その延長線上のものが見えないわけはなかったが、今は羞恥より怒りが勝っていた。
ただ、自分の主人の服を引き裂いた猫が許せない。それだけで動いているのだ。
神技の域でその猫の顔を引き裂こうと爪が伸びる。
その爪を腕ごと蹴り飛ばし、猫はとりあえず、腕を狙って爪を伸ばした。
ぐわりっと、バクラの表情が歪む。
「?」
そして、まるで腕を庇うように手を突き出し、皮膚を抉らせる。
赤い血が、道路を汚した。
激しい動きに息を荒げながらも、まるで服から手を遠ざけるように血を見下ろす。
(服、か)
猫は少し考え、今度は自分から踏み込んだ。
バクラの動きはやはり早い。
しかし、何かを気にしているようで鈍くなっている。
だからこそ、猫は試すように、その服に爪をひっかけた。
「ぎゃ!!」
苦虫を噛み潰したような声。
バクラは慌ててその爪を外そうともがく。
その様は、明らかに隙だらけで、猫にとっては絶好の機会を作り出す。
猫はそのままバクラの懐に小柄な体を利用し飛び込むと、鳩尾を膝でけりぬいた。
がはっと、その口から空気の塊を吐き出し、バクラは数秒、瞬きの合間、意識を飛ばした。
体から力が抜け、呼吸のために痙攣した。ぐらりっとバランスは崩れ、地面へと吸い寄せられる。
背をぶつける前に猫が体を支えたおかげで衝撃はなかったが、咳き込み、苦しさに身を捩った。
目尻に浮かんだ涙は今や珠となり、頬を弾いて零れていく。
咄嗟に抑えた腹部に、手から流れた血がべったりと滲む。
それに気づいたバクラは、まだぜぃぜぃと引きつる喉で呟いた。
「宿主様の、ふくぅ……」
切ない、悲しげな声だった。
それはその弱気な表情とあいまり、思いもよらず、猫の心臓を貫いた。
勿論、物理的な意味ではなく、精神的な意味で。
(かわいい……!!)
惚れた。
その一言に尽きるだろう。
近くで見ればバクラの顔はかなり整っており、好みだったし、大胆なミニスカから伸びる足も、自分のせいであらわになった胸元も色っぽい。
さっきまではこの辺りの猫として、っという思いが本能に取って代わるには、十分だった。
本能の赴くままに猫はバクラの涙に濡れる頬を舐め上げた。
ざらりとした感触は不快で、顔を歪める。
そもそも、お前のせいだと睨みつければ、猫は、笑った。
笑って、血に汚れたバクラの手をとって、ざりりと舐める。
知らぬ感覚に身を震わせ、逃げようとするが、蹴られた腹部が痛くて動けない。
傷口を抉るようにざらざらの舌で舐められてますます顔をゆがめるが、猫の機嫌は耳と尻尾を見ればわかるとおり最高潮だった。
痛みで少し頭が冷えたのだろう、訝しげにバクラは問う。
「なに、すんだよ……」
ひとしきり血を舐め取ると、猫は自分よりも体の大きなバクラをよいしょっと持ち上げた。
驚くバクラに何も言わず、ずんずんっと人気のない庭へと運ぶと、ごろんっと転がす。
訳もわからず疑問符を振りまくバクラの、まだ首輪もしたことのない無防備な喉へと顔を埋めた。
本能的な恐怖に振り払おうとしたが、それより早く手を押さえつけ、滑らかな首筋を軽く噛み、吸い付く。
褐色の肌には、鬱血痕はうまくつかないが、その周辺をちろちろと舐めればびくりっと体を震わせた。
敏感らしく、舌の動きに合わさるように耳がぱたぱたとせわしくなく動く。
「なにすんだよ!!」
「いいこと」
繰り返される言葉に、猫は、あからさまにいやらしい笑みで答えると、腕を押さえたままあらわになっている胸元へと唇を落とす。
薄い、ほんのの少量滲んだ血を舐め上げれば、尻尾が引きつる。
「に、ゃ、め、やめろ!!」
だが、やめろと言われてやめるわけもなく、首筋と同じように吸い付き、舌でつつっとなぞった先、胸の突起を口に含んだ。
皮膚よりも敏感なそこはざらついた猫の舌では痛みすら感じさせる。
それでも、うまく絡めとり、舌でいじくった。
手を舐められたときと似た、それよりも強い感覚にバクラは嫌だと暴れる。
「ぃ! やめろっつってんだろ!!
俺はメスじゃねええ!!」
くちゅくちゅと生ぬるい唾液が胸で冷えていく。
気持ち悪いはずなのに、ぞくぞくと背筋に何かが走った。
混乱していると、腕を押さえる手が片手になり、その手がふにっと、子供特有の柔らかさのある胸を揉む。
「だから!! 俺はメスじゃねえ!! いぁっ」
ぐにっと、胸の突起を指でいじられ声が漏れた。
舌と指、両方で責められ、耳がふるふると震える。
痛みでも気持ち悪さでもない複雑な感覚。くすぐったい。それが一番ちかいかもしれないが、わからない。
くらりと苦しさではない眩暈が襲った。
息が熱い。
「やめ、ぅ、あ、やめろ……み……」
声の勢いが小さくなり、少しだけ、とろんっと目が少しだけ細まった。
ちゅうっと、胸を思いっきり吸われ、いやいやと首を振れば、舌とは逆の突起をいじっていた指がすいっと脇を撫でた。
びくりっと、知らぬ感覚がまた走る。
尻尾がぱたんっと地面を打った。
猫の手はよどみなく指の腹で服越しに体の線を撫で、あらわになっている太ももへと触れる。
「みゃ……?」
そのまま、するりと持ち上げられた布地の下、完全ではないがゆるやかにたちあがる中心に風邪が当る。
流石に驚いて体を起き上がらせようとするが、腕に爪をたてられ邪魔された。
怒り狂っていたときは別だが、普通はそんなところを晒されるのは恥ずかしい。
顔をほんのり赤く染めて慌てれば、ちろりと胸から口がはなれた。
「もしかして」
初めてか?
意外そうな表情に、バクラは首をかしげる。
その瞳を見て、思わず猫はガッツポーズを決めた。
(初物!)
「なっなんだよ……」
少し怯えたような目で睨みつけ、また暴れようとするが、中心を握られ、身を強張らせる。
「にゃ、にゃにしやがる!!」
あからさまに顔を赤くしたが、やわりと動かされ強い刺激に尻尾が逆立つ。
初めての刺激から逃げようと身を縮めるが、強く握られ、こすられた。
「み、みゃああ……!」
「気持ちいいこと、してやるぜ」
背筋にびりびりと痺れが走り、甘い声が漏れる。
声を出した本人が驚くようなその声は、猫が手を動かすたびに溢れた。
最初は戸惑っていたものの、それが気持ちいい感覚だと理解すれば、とろんっと目が細まる。
猫の手の動きに浸るように体から力が抜け、耳がひくりっと痙攣した。
まだ慣れないのか尻尾は少し膨らんでいたが、抵抗は無い。
「ぁ、ぅん、にゃ、ん、み! み……はぅ……」
どころか、微かに手に体を摺り寄せているようにも見えた。
それでも、熱に浮かされたように火照る体がたまらないのか、収まりが悪そうに身を捩った。
猫は笑ってまた、胸へと舌を伸ばす。
かぷりと歯をたてれば、激しい反応が返って来た。
「ひぁ、に、あうう……なん、かあ、くる……、ぁぁぁ、みゃあああああああ!!」
がくがくと震えながら、絶頂の感覚に酔いしれる。
快感に溺れきった口は閉じることなく、だらしなく輪郭を唾液で汚した。
抑えなくとも抵抗しない指が、地面に爪をたてひっかく。
びくびくと白い液体を吐き出して、足の間と、猫の手を汚した。
「ふく……よご、」
服が汚れると思ったのか、怯えた瞳に、猫はバクラの液体で汚れていない手で、腹まで一気に服をまくりあげる。
そして、ころんっと軽く体勢を変えさせ、腰を叩く掲げさせた。
尻尾が、不満そうに揺れる。
それを捕まえれば、にゃ゛と先ほどまでの酔いを覚ますような声をあげたが、その付け根を舐め上げられ、驚きに体が跳ねた。
気持ち悪さとはやはり違う刺激。
慣れずに尻尾を強く振るが、手で抑えられているためうまくいかなかった。
しばらくそうして尻尾を弄んだが、ふっと、その手が下へと伝う。
「ひっ!!」
ぬるりとした指が下の入口を何度も撫でた。
怯えに震える体を押さえつけ、ほぐすように何度もぐりぐりと強く押す。
「いや、やめ!! ぅぐ!!」
そういう行為に使われることすら考えたことのないソコは狭く、きつい。
指一本入れるにも難儀するだろう。
少し考えて、猫は指で広げると足を開かせ、ぬらりと舐めた。
バクラは悲鳴をあげてじたばたと暴れるが、尻尾を掴んで体の力を抜けさせる。
「なっ!? 中!! 舌が!?」
指で広げた入口に、舌が浅く入り込む。
地面を激しくかきむしり、身もだえする。
口からは悲鳴が響き、一つの形をとった。
その形を、叫ぶ。
「や、やどぬしさまあああああ!!」
やどぬしさま。
そう、呼ぶ。
せっかくの服はずたずたで、土で汚れてしまっていた。
ぼろりぼろりと涙が止まらない。
「やどぬし、さまあ……!」
ずるずると地面を引き摺りながら、何度でも。
「やどぬしさまあ……」
(ごめんなさい)
泣きながら、呟く。
「やどぬしさま……」
「なにー」
べきり。
べきべきべきばきばきぃ。
めぐらした視線の先、木の塀が、破壊された。
そこには、笑顔の青年が立っている。
バクラに少し似た顔立ちの、猫ではない青年が、立っている。
笑っていた。
笑っていたが、その笑顔が、怖い。
笑顔も怖いが、その手に持っている凶器も怖かった。
「やっやどぬしさま……?」
「なに?」
猫が、驚きに目を丸くして固まっている。
バクラも、固まっている。
その視線は、笑顔と、そしてその手に握られた、
「ああ、これ[バールのようなもの]」
「ようなもの?」
「ようなもの」
バクラは、それ以上の追求をやめた。
とりあえず、なんだかすごく怖かったからだ。
どこか機械的な動きで、青年は猫を捉える。
[バールのようなもの]を振り上げて、笑顔で、あくまで笑顔で。
「で、そこのネコちゃん、死ぬ、カナ? カナ?」
顔を真っ青にした猫は、逃げた。
恥も外聞もなく、とにかく、走る。
今まで生きてきた中で、最上級の恐怖の中、逃げた。
涙が溢れ、口から悲鳴が勝手に漏れる。
走って、走って、走って、疲れて倒れても、青年の影に怯え、逃げた。
そのまま、一週間決して外に出ようとしなかったのは、別の話で。
「バクラ」
びくりっと、その場に取り残されたバクラは怯えた。
頭を抱え、じっと、死刑宣告を待つ犯罪者のように、震えて、丸まる。
驚きに止まったはずの涙が、ぼろぼろと零れた。
見下ろした服は、ずたずたで、汚れて、見るも無残になっている。
(宿主様が、作ってくれたのに……)
「バクラ」
からんっと、[バールのようなもの]が、地面に落ちた。
そして、手が伸ばされる。
温かい、優しい手だった。その手が、泣く背を撫で、抱き上げる。
「もう、勝手に外でちゃ、だめだって言っただろ? 心配したよ」
子供をたしなめるような声に、バクラはぐりぐりと顔を体にこすりつけた。
震えながら、しがみつき、その口から言葉が溢れる。
「ごめ、ごめんなさい……ごめんなさい……」
勝手に外に出て、ごめんなさい。
服をぼろぼろにして、ごめんなさい。
心配かけて、ごめんなさい。
「もう、しない?」
「しません……」
「なら、いいよ。勝手に外出ると怖いってわかったね」
「うん……」
「ちゃんと、外でたい時は、連れてってあげるから」
「うー……」
「服も、もっと新しいの作ってあげるよ、次は……ナースとか!」
ぐずぐずと青年にしがみつき、安心したように目を閉じる。
ぽんぽんっと優しい手で撫でられれば、強く、強くしがみつく。
「家、帰ろうか」
「うん……」
そうして、二人は家に帰る。
背に、壊れた塀を残して。
「宿主様……」
「なに?」
「あれ、いいの?」
「ああ、あそこ空き家だから」
そういう問題ではないが、バクラはあえてなにも言わなかった。
早足の青年の、邪魔をしてはいけないと思ったからだ。
こうして、バクラの飼われてから初めての外は、終わりを告げたのだった。
またやりました! ネコミミネタ!!
今回は初めてのお外です。
王様に目をつけられたバクラ。そして寸止め。
ミニスカチャイナに胸部分だけ切り裂き、野外プレイ、初物バクラと恐ろしい自重しないコンボでした。
いや、バクラ、子猫ですから。王様も子猫だけど、やっぱり、何も知らないバクラとか、萌えますよね。
いつでも、管理人がだけが楽しいターン!!
でも、惚れたら即押し倒しって、王様も自重できないなあ……。
とりあえず、宿主様、最凶です。
バールのようなものが、やりたかっただけとか、秘密です。