※これは、某方の設定をお借りした番人様×ネクロです。
 細かな設定は違いますが
番人様=記憶の番人たる王様の人格(?)鬼畜。
ネクロ=邪神の元一部、子盗に角と尻尾がついたもの。再生能力あり。
 っと考えてください。
 二人の外見は、エチャログを見てくださればわかります。
 捏造、オリジナル要素が大丈夫な方だけどうぞ!
 ちなみに、グロ、エロ、鬼畜です。
















































「―――」

 聞き取れない音。
 しかし、それは自分を呼ぶ声だと知っていた。

「―――」

 耳を犯すような響き。
 心を壊すような鋭さ。
 脳を狂わすような恐怖。
 絡み付く、絶対的強者の命令。

「―――」

 あいつが、俺様を呼ぶ。
 相変わらず、声だけは妙に甘くていい声だから、怖い。
 見にしみこんだ嫌な予感に従って声とは逆方向に走った。
 再生したばかりの足に力がうまく入らずこけそうになったが、扉に手をついて回避。
 半分壊すように無理矢理こじ開けて走る。
 迷路のような廊下の角を幾つも曲がり、適当に目についた扉を開けた。
 自分がどこを走っているかもわからず、いや、最初ッから知らずにただただ闇雲に逃げ続ける。
 捕まりたくない、捕まったらどんなことをされるのか考えたくも思い出したくもまったくない。
 重い空気が、足に、体にまとわりつき、息が切れる。ああ、そういえば、肺も潰されたからまだ上手いように動いてくれなかった。
 途中で気絶したからどこをどこまで破壊されたかは覚えていない。
 それでも、走っていくうちに馴染み、元の動きを取り戻していく。
 どこまで、逃げればいいのか。いつまで逃げればいいのか。
 それすら知らず、ただ声から遠ざかるためだけに走り続ける。










(逃げないと、逃げないと、逃げないと、壊されう殺される狂わされる
 嫌だ。見つけないと。見つけないと。見つけないと。
 見つけて、戻りたい――――っ!)










「うっ!?」

 それは、彼が幾つ目のかの扉を開けた瞬間だった。
 足が、なにかにひっかかる。石畳の隙間や、何かの段差ではない。足首にのみ硬い感触ががつっと、当たったのだ。
 痛いというよりも、驚きに対処できず、地面に転がった。胸と顔をぶつけ、石畳の感触を露出した部分に感じる。
 慌てて起き上がろうと地面に手を付いた瞬間、背中を潰すごとく圧迫された。
 
「がはっ!!」

 無防備な口から空気が無理矢理吐き出される。咳き込むこともできず、陸揚げされた魚のようにぱくぱくと口を開閉させた。
 苦しくてたまらず、また石畳に沈みこむ。
 その背中を、更にきつく踏みにじられた。布越しに、グリグリと踵が背骨を圧迫する。

「ぐっ……」
「どこに行くんだ?」

 やっと、声がした。
 甘い、美声。
 ぞくっとした恐怖に身を震わせ、苦痛を忘れて這いずるように足から逃げようとした。
 しかし、ぐっと体重をかけられて逃げられない。

「俺が呼んでやったのに、なんで逃げようとするんだ?」
「ひっ!!」

 背中に、唐突に激痛が走った。
 踏まれたものではない。
 皮膚を、否、肩甲骨を引き抜かれるような激痛に襲われる。

「ひっぎいい!!」

 あっけないほど木の枝を折ったかのような、軽い音。
 しかし、音に反して痛みは意識が一瞬、吹き飛んでしまうほどの衝撃があった。
 目の前が、ちかちかと点滅する。
 背に力をいれると、痛い。
 折られた場所は、背でも、腕でもなかった。
 ある意味背ではあるが、それは、背から突出していた。
 服の構造上、肩も肩甲骨も丸出しのそこから、それほど大きくない黒い蝙蝠に似た翼の付け根を折られたのだ。
 人であればありえない部分。
 しかし、それは酷く自然に彼の背中から生々しいくはえている。翼だけではない、彼の頭の左右かもら硬質な角が、そして腰の少し下からは尻尾が生えており、彼が人ではないと告げている。

「なあ、なぜ逃げた?」

 折れた箇所を、執拗に引っ張られる。
 その度に電流を流されたかのように体が跳ねた。
 苦痛の喘ぎに答えられないというのに、繰り返される責め苦。
 
「いっぎゃ!! や、ろ!! うぁ!! やめっ!!」

 がりりと石畳に爪を立て、せめて呼吸ができるように踏まれている位置をずらす。
 すると、急に足が背中からどいた。
 反射的に漏れる安堵の息を零す前に、強く強く、痛みの度にうねっていた尻尾を踵で踏み潰される。
 形容し難い痛みに、顎が外れかねない勢いで口を開き、喉から声が飛び出した。

「――っかっはっ!! はがっ、うぐぅ……あぎっ!!」

 引っ張っていた手が、今度は、まるで折れた骨を突き刺すように押した。
 ぶちっと、筋肉の繊維が千切れる音。
 ついに血があふれ出し、ぐちりぐちりと褐色の背中を汚した。
 終わりのない痛みが何度も刻み付けられる。

「いた、いだ! ふぎっ、ぎゃっが!!」

 骨が、肉に突き刺さり、まるで折れた事実などなかったかのように、だが、明らかに大量の血を溢れさせながら立つ。
 その骨を更に奥に突き刺しながら、片手で、隣の怯えるようにへたれていた翼に触れた。

「ぐぁっ!! いっぎいいいいいい!!」

 ぺきりと、また、今度は羽の先が容易く手折られた。
 開かれた両目からはとめどなく涙が、閉じられない口からは唾液が溢れ、床を汚す。
 悲鳴は、いつしかかすれ、狂ったように許しを乞うものへと変わっていた。
 恥じることもなく、ただ、ひたすら懇願する。
 その顔からは、すでに痛みから逃げることしか考えられないと

「ふっ……ぐ、ひぅ、っく、たすけ!! っ、っ!! ゆるし!! も、やめ!! こわれ、るぅ!!」
「これくらいで、壊れるわけないだろ?」
「いっいたい!! ゆるして!! ゆるしれ、っげ!!」
「このくらい、何回もしてやったんだから、そろそろ耐えてみろ」
「む、むりい!! むり!! いだっ!! うぇっく、うう……!!」
「仕方ないな……なら、言う事があるだろ?」
「うあああああがっ!!」

 ぐりっと、突き刺さった骨が背中の肉を抉る。
 皮膚一枚下の肉がぬらぬらと赤くさらけ出され、焼けるように熱い。

「ひっく、うう、うぁ……うぇ……」
「ほら、泣いてても仕方ないぜ」

 ニコリと笑って、その白髪を乱暴に掴んで顔を上げさせる。
 その耳元で、言い聞かせるように呟いた。

「俺が呼んでやったのに、こなかったよな?」

 なら、言う事は?
 頭皮ごと引きちぎられそうな痛みに、彼は、しゃくりあげながら息を吸った。

「ごっ!!」
「ご?」
「ごめんなさい!! ごめんなさい!! ごめんなさい!!」

 がむしゃらに、彼は叫んだ。
 顔を左右に振り、必死に口を動かす。
 言ってしまえば、後は流れるように言葉が出てきた。

「ごめ!! んなさい!! 」
「ちゃんと、次は呼んだらくるか?」
「いっいきます!!」
「すぐに?」
「す、ぐに!!」

 痛みに屈した。
 それは、相手に屈したということだ。
 体ではなく、心が刻まれる。
 何よりプライドの高い彼が謝らせられ、言う事をきかさせられているという事実が、なによりも苦しい。
 けれど、この拷問のような責め苦は恐らく彼は屈するまでそれこそ壊れても狂っても続けられるだろう。

「番人様が呼んだら!! すぐ!! にぃ、いきます!!」

 だから、許してください。
 みっともなく、浅ましく哀願する。
 何度も何度も言葉を繰り返し、縋った。

「よし」

 ぱっと、手が離れた。
 自由になった頭はそれほど高くはなかったが、床に叩きつけられる。
 拍子に口と舌を噛んだが、痛みから解放された精神的負担の解消に比べればましだった。
 ひゅうひゅうっと、かすれた喉が息を吸うたび鳴る。
 みしりみしりと、背が軋んだ。
 相手が触れているわけでもないのに、肉が、翼が動く。
 それは、再生の痛み。
 悲鳴を上げるほどではないが、耐えるように彼は目を強く閉じた。
 後数分もすれば、まるで折れた事実などなかったかのように、抉られた事実などなかったかのように治っているだろう。
 それを、相手はしばらく待つように見下ろしていた。
 乱れた呼吸も整い、完全に背中も治ると、翼をばさっと、はばたかせた。
 そして、むくりと、起き上がる。

「……何の用だよ、番人様」

 むすっと、不機嫌そうな表情と声で彼は相手を睨みつけた。
 先ほどまでの情けない姿を打ち消すように、敵意のこもった視線。
 決して、痛みを与えられたからそんな視線をぶつけているのではない。
 ただ、純粋に、彼にとって相手は敵なのだ。
 番人、そう、相手は番人なのだ。
 自分の求めるものを守る、番人なのだから。

「ああ、そろそろ前に潰した分が治る頃だと思ってな……今回は、時間がかかっただろう?」
「……おかげさまでな」
「やってもやってもすぐ治るから、ついつい、楽しくて、やりすぎた」

 まったく悪いとも思っていない顔で、言う。
 楽しくて、楽しくて堪らないとでも言うように、加虐の笑みを浮かべて語る。
 彼は、思いっきり嫌な顔をした。
 赤い血。
 自分の血が、びちゃびちゃと、肉がぐちゃぐちゃと。
 潰され溢れ飛び散り撒き散らされ蹴り飛ばされ踏みにじられ、治る先から丁寧に丁寧に何度も何度も何度も平らにされていく。
 見ているだけで狂いそうな光景だというのに、やられているのだから、彼は途中で3回ほど壊れたのを覚えていた。
 それ以降は覚えていないが、恐怖はじぞっと、這い上がってくる。

「弱いくせに、治るのは速いから長引くんだぞ」

 まるで、彼が悪いというような口ぶりに、ますます彼の不機嫌は加速していく。
 できることならば今すぐ殴りかかって殺してやりたっかたが、それはできない。
 なぜなら、相手の言うとおり、彼は弱いのだ。
 標準よりも小柄である相手よりも背も低ければ、腕も細い。本来は外見はたいして彼にとって意味がないのだが、今は外見程度の力しかないのだ。

「まあ、そんなことはどうでもいい、こい」

 手招き。
 警戒が、彼を止めた。
 予想でもなんでもなく、相手は彼に対してひどいことをするだろう。
 しないなんて、考えられない。
 ありえない。
 確実に、絶対に、彼はひどい目に合う。
 それこそ、先ほどの痛みよりもきついものを味あわせられるかもしれない。
 だが、近づくしかなかった。
 抵抗しても、無駄であったし、既に先ほどの行為でだいぶ心が折られていたからだ、
 そろっと、距離を縮める。

「耳を、貸せ」

 ぐいっと、襟首を締め上げられるような力で掴まれ引き寄せられる。
 顔と顔がぶつかる寸前に止め、内緒話をするようにその小さな耳に顔を近づけた。

「んっ……」

 ぬるっと、耳の付け根を舌がなぞった。
 ぞくりっと、首筋が震える。
 思わず相手の服を握った瞬間、その衝撃はきた。


 がぶり。


 脳に近い場所で発生した痛み。
 握った裾を離し、突き飛ばす。
 ぶちぶちぶちっと、皮膚が裂け、肉が噛み切られ、神経の切れる音。
 ばっと、耳があった辺りを押さえる。
 ぬらりとした血が顎から首に流れ落ち、肩と手を赤く染めた。
 一拍遅れて、ずきりずきりと頭痛に似た感覚が走る。

「うぁ……!!」

 相手の口の中。
 赤く濡れた唇に挟まれて、耳がある。
 噛み千切られ、細い血管が、つるんっと、どこか滑稽に伸びて揺れていた。

「なっ、う、なにしや、がるう!!」

 相手は答えない。
 にっと、笑って、完全に耳を口の中に収める。

「まずいな……」
「かっかえし、やがれ!!」

 ぴちゃっと、わざとらしく水音をたて、舐める。
 淫猥に、ゆるやかに、舌に乗せ、転がした。
 切り離された部分。
 しかし、まるでまだくっついているとでも言うように彼の耳のあった場所に、痺れが走る。
 体温が上がった。
 痛みとも、恐怖とも違う、もう一つ、教え込まれた感覚が押し寄せる。
 触れられてもいないのに。
 むしろ、痛みだというのに。
 認められずに、首を振る。

「俺様の耳、返しやがれ!!」

 血の量は多かったものの、もう止まっている。
 けれど、噛み千切られた耳が無い限り、うまく再生できない。
 その口から殴りかかって取り戻してやりたかったが、怯えた体はいう事は聞かなかった。 
 耳に軽く歯をたて、唇についた血を舐めとる。そして、ちゅっと、口から耳を出し、指でつまんだ。
 唾液で濡れた耳。
 それを見せ付けるようにひらひらと揺らしながら相手は艶然と微笑んだ。



「ネクロ」



 呼んだ。
 ぶわっと、背中に鳥肌がたつ。汗が、じわりと噴出した。
 脳が揺れるような血の気が引くような、同時に血液が逆流し、熱が唸りを上げてのどからこみ上げるような感覚。
 怖い。
 逃げなくては。
 虐げられていた時よりも明確で嫌悪の伴う恐怖を感じた。

「こい」

 呼ぶ。
 引きつった喉からは声が出ず、嫌だと言う変わりに首を横に振った。
 しかし、その動きも弱弱しく、震えているようにしか見えない。
 抗えない。

「ネクロ、さっき自分で言っただろ?」

 すぐに、行くと。
 ぶるぶると引きつる手が、冷たい。
 足が、勝手に一歩踏み出した。
 近づくのが、怖い。しかし、逃げるのも怖い。
 二つの思いに挟まれながらも、足を進める。
 摘んだ耳を軽く噛み、相手はその様子を笑いながら見ていた。

「お、れさまの耳、噛むんじゃねえ……」

 上ずる声で抗議するが、相手は目に焼きつくほど赤い舌で耳をあからさまに舐める。
 二人の距離が、少し手を伸ばせば触れる距離まで近づいた。
 すぐ目の前で、自分の一部だった場所が、舌で弄ばれる。
 だが、その舌の動きはゆっくりと、それでいてどこか愛しげでもあった。
 今だかつて、相手が彼にそんな風に触れたことはない。

「きっきもちわりーんだよ……かえしやがれ……!!」

 自分を奮い立たせるためにも声を荒げた。
 それでも、相手はちゅっと、優しげに耳に口付ける。

「きもち、わるいか」

 楽しげな声。
 彼が耳を押さえている手に、自らの手を重ねた。

「うっ」

 それだけの行為が、恐ろしい。
 そのまま、手は腕を伝い、服から露出している腹を撫でた。
 振り払いたいのに、自分の体が言う事をきかない。
 鋭くなった感覚が、手に集中する。

「気持ち悪いというわりには」
「あ、ぁ、さ、わん、なあ……」

 腹から腰、腰から太ももへとおり、びくびくと反応するうちももを伝う。
 指は明らかに彼の体を煽るためにするすると滑らかに動き、今度は上、短い腰布の中へともぐりこんだ。

「随分とここは、さっきから気持ちよさそうだが?」
「ひゃああ!!」

 一際強く、体が反応する。
 最も感じる部分を強く握られ、竦んだ。
 触れられる前から確かな硬さのあったそこをぐりぐりと刺激し、手に湿り気を感じる。
 思わず体が折れた彼は、相手に体を預けてしまう。

「まったく、痛い目を見てここをこんなにするなんて、マゾとしか言いようがないな。
 邪神のくせに虐げるよりも、虐げられるが好きなんて笑い話だぜ?」
「あっひゃぅ! ちが、ちがうう……」
「何が違うんだ?
 羽を折ってやったときも、耳を噛み千切ってやったときも、腰布をもちあげていたぜ?」
「そん、な、こと、なあ!!」

 くちゅくちゅと手の中で水音が鳴る。
 それでも、彼は必死に首を振り否定した。
 耳を押さえていた手に力が入らず、むしろ自分の体を支えるために相手の腕を無意識に掴む。
 その、今はぐじゅぐじゅと赤い肉の見える耳元に、相手は囁いた。

「なら、こうしたら萎えるだろ?」

 べろりと、舌で断面を抉る。
 血をすくいあげながらも、舌の少しざらりとした部分で削ぐように何度も往復させる。

「ひぃ――――ぃぁああああああああ!!」 

 脳に突き刺さるような痛み。 
 ちかちかと視界が点滅する。
 痛みから逃れるために顔をよじるが、そんなことは許されていなかった。
 ぎゅうっと、逃げようとする体を敏感な部分を握ることで制し、更に痛いほど先端の部分を押しつぶす。

「んっああああ!! っ! ぐあ!!」

 けれど、決して手の中でソコが萎えることはなかった。
 どころか、逆に先端から透明な液体を溢れさせ、今にも達しそうにびくんびくんっと跳ねた。
 体中でそこだけは痛みを悦ぶようにもみえる。

「いっやぁ、ぁひゃぎっ!! やへ!! んん!!」
「ほら、こんなにコッチは反応してるぜ?」
「うっそ!! ちが!!」
「違わないだろ?」

 つっと、赤い唾液を唇から伝わせ、相手が追い討ちをかけるように、持っていた耳を口内で噛み砕く。
 ぐちゃりぐちゃりと咀嚼し、口の中で唾液と絡まり細かくなっていく。

「みみ……!!」

 別に、そうされても彼にとってさほどの問題ではないのだが、酷くそれは嫌な光景であった。
 原型がなくなるほど噛み、躊躇なく飲みこむ。
 かけらすら残らない口内は、更に赤く見えた。

「やっぱり、まずいな」
「じゃあ、食うな!! ふぁ!!」
「邪魔だったからな」
「じゃあ、かえせよ!! ん、んん!」

 すでに、耳があった場所には、うっすらと皮膚ができ、肉が盛り上がり始めている。
 だが、食べられたという生理的嫌悪は消しようが無い。

「もっやめ……ん、あああ!」

 裏筋を激しく責められ、彼の体が崩れた。
 嫌悪感も、痛みもあるのに、快楽が止まらない。
 いつの間にかまくり上げられた腰布からはソコがあらわになり、とめどなく白濁色の混じった透明な液体を吐き出している。
 どくどくと血が集中し、腰が勝手に揺れた。

「いっく……!!」 

 治りかけている肉の盛り上がりを軽く噛む。
 薄く、新しい皮膚は敏感に舌の感触を受け、ぶるっと腰が震えた。

「ん、やああ!! いく、くぅ……!!」

 達しそうになった瞬間、手の動きが緩む。
 やわやわと、相変わらず刺激は続けられるものの、物足りない。
 表面を浅く撫でるだけで 最も決定的な部分を外している。

「ふぁ、あああ……?」

 気づかず不満そうな声をあげてしまう。
 腰が更に相手の手にこすりつけられ、快楽を求めた。
 がくがくと崩れかける足に必死に力をいれ、ぎゅうっと、服を掴んだ。
 完全に縋り、甘えるような体勢。もしも、自分の今の現状を遠くから見ていれば、彼は羞恥で舌を噛みかねないだろう。
 涙目と乱れた息で相手を見上げれば、幼い顔立ちはひどく扇情的だった。

「ねだるなら、腰だけじゃなくてその口でも言うべきだぜ?」

 気づいていないといのに、相手はあえて指摘した。
 びくっと、熱の宿っていた瞳が揺れる。
 無意識とはいえ、ねだるような体勢になってしまったことが恥ずかしくて悔しくてたまらないのか、無理矢理突き飛ばそうと手を離した。
 だが、その瞬間に待ち望んでいた強い刺激を、いや、あまりにも強すぎる刺激を与えられた。

「うあ! ぃぁゃうあふぅっはあん!!」

 大きく開いた口から悲鳴とも、嬌声ともつかぬ声が上がる。
 突き放そうとしていたこともあって、足が崩れ、ずるっとソコに触れていた手から離れて座りこんだ。
 また後一歩というところで解放されなかったソコは痛いほど張り詰め、赤くなっている。  

「ひっぐ……ん……」

 びくびくっと、痙攣しながら、跪くように俯いた。
 自分で触れて達してしまいたいほど追い詰められていたが、それでも、相手の目の前でできるかと、とどまる。
 息を整えようとするが、視線が彼の反り返ったモノに注がれていると思うと、熱くなっていく。

「ふっ……ぁぁ……」

 その様子を見て、相手は冷たい声を降らせた。

「このまま、見てるだけでイけそうだな……そんなに見られるのがいいのか」
「ち、が……」
「痛めつけられて勃たせて、見られてイくか。とんだ変態邪神だ」
「いうなあ……」

 泣きながら弱弱しく首を振る。
 しかし、そんな見下すような視線にも、体は反応した。
 まるで、視線にいじられているようにぬるぬると濡らし、足がいつの間にか開いてきている。
 中途半端でとめられた体は、貪欲に快楽を求めているのだ。
 それを尻尾で隠すが、相手は尻尾を掴んで邪魔をする。

「触ってイかせてほしいなら、おねだりしてみろ」

 ぐいっと、アゴを捕らえ、上を向かせる。
 赤く冷たい瞳と目が合う。

「お前の口で、イかせてください、とねだれ」
「ゃ……」
「なら、見られてイくか?
 まあ、そっちの方がお前も気持ちよさそうだし、お似合いだがな」
「さわ、る……な……」

 あごを、猫の喉をなでるようになぞる。 
 輪郭を微かに伝う感覚が、小さく肌をあわ立たせた。
 目が外され、下肢へと集中する。じっくりと、まるで舐めるように、隠すものもなく視線にさらされる。

「うっあ……ん……」

 それだけなのに、悦びを感じて止まらない。
 本当に、視線だけで達してしまいそうな、危うい揺らぎを覚えた。

「ああ、それとも、前じゃなくて、後ろに触ってほしいのか」

 あごから、足へと手が移った。
 抵抗するより早く細い足を捕まれ、足を思いっきり開いた状態で持ち上げれば、後ろへと倒れた。
 ころんっと、軽いものだったが、本当に、下肢の全てがあらわになる。
 今日は一度もいじられたことのないはずの後ろの入口が、ひくりと蠢いた。
 前の透明な液体で、すでにそこは充分に濡れている。

「や!! やめろ!!」

 かなり本気の声だが、相手は無視した。

「指がいいか? 俺がいいか?」

 恐ろしい二択。
 他の選択肢が存在しない、存在させない有無を言わせぬ言葉に、彼は死にたくなった。
 ソコをいじられるのは初めてではないが、何度いじられたって嫌だし、情けないし、痛い。
 しばらくどう抵抗するか考えていたが、相手がはえている尻尾を見て、何か考え出したので思考を放り捨てる。
(尻尾を突っ込まれるのはもうゴメンだ!!)

「指!! 指でお願いします!!」

 恥も外聞もない叫びに、相手はにっこりと優しく笑った。

「わかった、俺のでイかせてやるぜ」

 どうやら、聞いただけで別に決定権はなかったらしい。
 素早くベルトが外され、嫌だが見慣れてしまったものが取り出される。

「うう……ぁ、ひゃぁ、ひゃう……」

 足の間に挟まれ、2、3度往復して濡らす。
 いくら濡らしたところで、ほぐしてもいないソコの苦痛がなくなるわけではなかったが、ないよりマシだったので抵抗しない。
 彼は、心臓の音が高くなるのに気づく。
 体の割りに大きい相手のソレをいれられたら、痛い。痛くて熱くて、苦しくて、気持ち悪くて、殺された方がマシな気分になる。
 例えるならば、火のついた薪を突っ込まれたようなものだった。
 しかし、体のどこかが期待している。
 これで乱暴に貫かれ、荒々しくかきまぜられるのを、望んでいるのだ。
 そんなことはないと言い聞かせても、恐怖と苦痛と同じように、快楽は刻み付けられている。
 ごくりっと、あらゆる意味をこめて、喉が鳴った。

「欲しいか?」
 
 相手が、聞く。
 ジリジリと、焦らすように、ゆったりしとした口調。
 ぐりっと、先端が入口を押し、すぐに遠ざかる。

「欲しいか?」

 それは、あまりにも魅力的だった。
 彼も、性感は限界にまで高められ、精神は壊れそうなほど削られている。
 早く、終わらせて欲しい。
 そんな思いが頭を占める。

「ほ、」

 小さな口が、声を紡ぐ。
 躊躇いがちに、褐色の肌を赤く染めながら。

「ほしい、」

 手を、懸命に相手に伸ばし、ねだった。

「番人様が、欲しい、です」

 それは、相手にとって、満足のいく返答。

「たっぷり味わえ」

 笑顔とともに、彼の求めた衝撃はやってきた。










 闇の中、彼は目を覚ます。
 腰がだるくてだるくてしかたがなかった。
 何をされたか途中で意識を飛ばしてしまい覚えていないが、あちこちに再生したとき特有のズレがあるため、かなり乱暴に手荒くやられたのだろうと飯山出した。
 特に、耳にはまだ違和感がある。
 一度だけではなく、2,3度またちぎられたのだろうか。

「―――」

 けれど、音が聞こえる。
 聞き取れない音。
 しかし、それは自分を呼ぶ声だと知っていた。

「―――」

 耳を犯すような響き。
 心を壊すような鋭さ。
 脳を狂わすような恐怖。
 絡み付く、絶対的強者の命令。
 彼は、ふらりと立ち上がった。
 逃げるために、あるいは――捕まるために?



 リクエストついに完成!!
 お待たせしました某方!!
 心の部屋で過激なSMを繰り返すばんねく!!
 ネクロかわいいよ、ネクロ。
 しかし、番人様も、ネクロも魅力を引き出せませんでした……。
 色々やりたいことや、言わせたいこともありましたが、あまりの遅延に泣く泣く削り&断念。
 申し訳ございませんでした……!



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