※盗賊王がにょた。
 エロい。
 女官の服着てたりします。
























































 白い布が翻り、女官たちが水を運んでいく。
 あまり急いでいないのか、その歩みはゆるやかで静かだった。
 日差しが強いせいか、女官たちは薄い顔布をつけ、その顔は見えない。
 翳った廊下は、涼しげな風を通す。
 ぼんやりと廊下を歩いていた王は、その集団と、自然に出会った。
 少し驚いた顔して周囲を見、何かを確認すると先頭に女官に声をかけた。
 貫禄のある体を見れば唯一わかる女官頭は立ち止まり、深々と頭を下げる。それに習ってかしこまった女官たちは次々の跪こうとしたのを、王が手で制した。
 あまり格式ばったことを嫌う若い少年王の苦笑に、女官頭が立つように促す。

「王、あまり涼んでおられると、シモン様に怒られますよ」

 子どもをたしなめるような優しい響きに、王は肩をすくめる。
 遠まわしに仕事をさぼっていることを咎められてしまったのだ。 
 長い付き合いの女官頭は誤魔化せないっと、困ったように笑っている。

「それでは」

 くすくす笑う女官頭はもう一度頭を下げた。続いて、後ろの女官たちも頭を下げる。
 その女官たちとすれ違い数歩。
 王が、不意に立ち止まった。
 ゆっくりと、振り返る。
 そこには、まだゆったりと歩いている女官たちが見えた。
 少しだけ、考えるように、観察するように王がその集団を見つめる。
 なにかがひっかかっているのか、その表情は厳しい。

「待て」

 そして、声をかけた。
 一斉に集団が止まり、振り返る。

「どうしました?」

 不思議そうに問う女官頭に、王はつかつかと近寄ると、水を運ぶ一人の女官の腕を掴む。
 まあ、とか、あらっと、女官たちが驚いたように声を零した。

「すまん、用事を思い出した。一人貸してくれ」
「まあ、いけません王。この者たちは王の手伝いをできるような身分も経験もございません。
 他の者を後で使いに出します」 
「いや、急ぎでな」

 腕をつかまれた女官は、ひどく困惑したように女官頭を見た。
 助けを求めているようにも見える仕草。
 それもそのはずだ。
 そんな身分も経験もない女官がいきなりこの国の神に等しい王に腕をつかまれたのだ。
 光栄とも、同時に不敬ともとれる。

「ですが」
「頼む」

 若い王の願いに弱い女官頭は、溜息を一つつく。

「承知いたしました。
 おい、お前。王の手伝いを……水瓶は……」
「いや、喉が渇いているし、これももらっていこう」
「では、そのように」

 女官は、益々戸惑ったように体を捩る。
 他の女官たちが羨望と、哀れみの視線を向けた。

「無礼などないように」

 厳しい言葉と同時、軽く手で他の女官たちに合図を送ると、また、水を運ぶ作業に戻る。
 しばらく、女官と王はその集団の後姿を見送った。
 後姿が消え、数秒。
 女官は、立ったまま動かない。
 それをみあげ、王は幼さに似合わない笑みを浮かべて呟いた。

「意外とそういう格好も似合うぜ」

 ぐるっと、女官が王を睨むように顔をめぐらせた。
 ありえない、あまりにも無礼な行為。
 それをもしも他の人間の前でしていればすぐさま女官は処刑されたことだろう。

「それにしてもどうしたんだ。お前がそんな姿なんてな」

 おかしくてたまらないとでも言うように王が問う。
 女官は答えない。 
 ただ、怒りでぶるぶる震えていた。

「もう少しで、見逃すところだったぜ」
「……離しやがれ」

 乱暴に、女官は腕を振り払った。
 あまりにも不遜な声音と口調。
 顔布を煩わしそうにはぎとると、端正だが、右目に走る傷と野生の獣のような凶暴さが目立つ顔と白い髪が大気に晒された。

「ちくしょう!!」

 悔しそうにそう呟き、ぎっと睨みつける。
 まるで、女官らしくない、まったく、王に仕えているという気が無い態度。 
 荒々しい男のように肩をいからせると、唇を噛む。そうすると、ひどく女官の姿が彼女に似合ってはいない。 
 いくら力仕事をするとはいえ、王宮に仕える女官とは、もっとしとやかさや礼儀というものを叩き込まれているはずだった。
 それが、彼女には一切ない。

「似合うぜ」
「なんでバレた……」
「歩き方と……体のラインだな」

 王が、すっと、彼女の体を上から下まで、見る。
 じっくりと近くで止まってみていると彼女の体は、豊満でありながらひどくしなやかに鍛えられていた。
 それは、決して女官の仕事ではつかないような筋肉だ。
 忌々しそうに、水瓶を地面に置くと彼女は壁に体をどかっと預けた。

「お前の体は、あの夜から随分とじっくり見させてもらってるからな……。
 まあ、いつも会うのは夜で、しかも見るのは裸だからな……女官服は露出が少なくて、一瞬わからなかったぜ」
「黙りやがれ……」 

 何かを思い出したのか、にやっと笑う王に大使、今にも噛み付きそうな表情で低く呻いた。
 しかし、王は気にせず、問う。

「新しい潜入方法か?」
「ああ、そうだよ。女官に化けて安心しきったてめえの首をかっきってやろうと思ったんだよ」
「いくら女官でも、王宮にはそれなりの身分ではないと入れなかったはずだが?」
「俺様に背の近い奴を買収した」

 恐ろしいことをこともなげに口にする。
 まるで、悪戯に失敗した子どものような、不満げな顔。
 彼女は、本来は女官ではない。その正体は盗賊と呼ばれるものだった。
 目的は、王を殺すこと。
 理由をまだ王は知らないが、初めて忍び込んで殺されかけたのを返り討ちにしてから、なぜだか王がひどく彼女を気に入り、奇妙な関係が続いている。

「手を変え品を変え、ご苦労だな。以前のようにバルコニーからくればいいだろう?
 あそこはわざとお前のために警備を薄くしてやっているというのに」
「逢引きじゃあるまいし、んな一度使ったバレバレの場所つかえっか!!」
「なんだ、俺にそこまで会いたいかと思っていたぜ」
「ありえねえ!! 俺様はてめえのをぶっ殺したいんだよ!!」
「そう、叫ぶな。見つかったら王にそんな口をきいたと捕まるぞ?」

 ぴたっと、彼女は口を閉じる。
 さすがに捕まるのはいやらしく、きょろきょろと辺りを見回し人がいないか確かめた。
 そして、人の気配が近くにないことを確かめると、声を潜める。

「ちっ今日のところは下見でなにも持ってねえし……見逃してやらあ」
「待て」

 壁から体を離すと、再び腕をつかまれた。
 もう一度振り払おうとしたが、今度はがっちりつかまれている。

「まさか、俺がお前を見逃すと思っていたのか?」
「はあ……?」
「そんなおもしろい格好で俺の前に現れておいて、ただで帰れると思うな」

 彼女の顔が、歪む。
 自分の失態に気づいたらしく、王の腕を叩いて離させようとした瞬間、そのまま腕を曲がらない方向に捻られた。 
 痛みに怯むが、それでも足があるとばかりに軽やかな足さばきで、体を痛みを感じない位置へと帰る。
 その素早さや小回りのよさは、王も同じ。追いかけ、自分にとっていい場所へと踏み込んでいた。
 だが、次ににっと笑ったのは彼女の方。
 王の動いた位置こそ、本当は彼女にとって、彼女が攻撃を仕掛けることにとって好都合の場所だったのだ。
 はっと王が気づいた時にはもう遅い。
 王の腹部を狙った蹴りのために彼女は足をあげ



「あ」



 ようとしたところで長い女官服の足元まである腰布が足にからまった。
 しかも、ぴったりとしたデザインなだけに、足にからまずともそれほど高くあげることはできない。
 一度傾いた体勢を直せずワタワタしているうちに追うが掴んだ腕ごと、つきとばす。
 みしっと、曲げられた腕が悲鳴を上げた。
 咄嗟に肩を抑えて折れるか外れていないか確かめる。
 地面に叩きつけられた体は鈍く痛むが、たいしたことはないらしい。

「なにしやがる」
「お前が逃げようとするからだろう」

 短い攻防。
 まだ勝負は終わっていないとばかりに彼女は王を睨みつける。

「言っておくが、次、抵抗したり逃げようとしたりしたら、俺はここで叫ぶぞ」
「げっ……」
「兵士や女官がたっぷり集まってくるだろうな……そうすると、どうなると思う?」
「てめえ……」

 明らかな脅し。
 もしもここで彼女が捕まれば王の言葉によっては即処刑だろう。
 歯噛みしながら、彼女は腕から力を抜いた。
 どうやら諦めたという意思表示らしいが、王は気を抜かない。
 追い詰められた手負いの獣は、恐ろしいのだから。

「まあ、少し付き合え」
「真っ平ゴメンだ」
「そう言うな。終われば返してやるぜ」

 ちゅっと、王は掴んでいた彼女の腕に口付けを落とす。
 それを嫌って腕を振る彼女だが、はあっと、溜息をつき諦めたような表情をしていた。

「さっさと終わらせろよ」
「それは、お前次第だな」

 手を引いて立ち上がらせると、彼女は眉根を寄せる。

「ここは、人気が無いと言っても誰がくるかわからないからな……まずは場所を移動するか」

 よく隠れている場所があるんだっと、淀みなく慣れた様子で歩いていく。
 周囲に見つからないように警戒する様や、選ぶ道は、彼女も舌を巻いた。
 まったく、自分が言う事ではないとわかりながら言わずにはいられない。

「あんた、仕事しろよ」
「……しっしてるぜ」

 一応、っという言葉は飲み込まれた。










 少し埃っぽく、乾いた部屋の中、雑多に置かれた荷物をかき分けながら王は彼女の手を引く。
 それほど広い部屋ではなかったが、数歩、奥まった場所まで行くと外からは完全に死角になっていた。
 隠れるのにいいかもしれないと彼女は考えながら、軽く、握られた手を振る。

「逃げねえから、手えはなしやがれ」
「信用できない」

 きっぱりと言い捨てられたが、彼女は反論できなかった。
 態度では従っているように見せていれば、機会があれば逃げるか、あるいは布でも使って絞め殺してやるくらいのことは企んでいたのだから。
 今も隙をうかがっているが、中々見せない。
 どころか、ふと、近くにおいてあって箱の中に何か使えるものがないか目で探していると、いきなり転ばされた。
 突き飛ばされたときのような痛みや衝撃はなかったが、二度も地面に寝転ぶ等盗賊として不覚としかいいようがない。
 やんわりと転がされ、せめて、この長い腰布がなければ踏ん張れたのにっと拳を握る。

「早くしろよ」

 背中の痛くない体勢をとりながらぶっきらぼうに言い捨てる。

「まあ、そう言うな」

 王は、彼女の体に覆いかぶさり、細い首を撫でる。
 そして、じっと、今の彼女の格好を見た。
 女官の服は、その腕こそ隠れていないものの、すっぽりと全身を隠す構造をしており、たっぷりと重量感のある胸やきゅっと引き締まった腰、柔らかそうな尻から健康的な足まで肉欲的な彼女の体を覆っている。
 それは、ぴったりと体に合ったデザインのせいかあからさまな露出よりも妙な色気があった。
 腰布から、ちらりと見える足首に、王はすっと彼女の首を撫で続けながら手を伸ばす。
 足の甲をすいっとなぞり、足首を軽く握った。そのまま足を引きながら、ゆっくりと腰布をまくりあげていく。
 徐々にふくらはぎが、膝が、太ももがあらわになり、そこに王は唇を落とした。
 もどかしい程の緩慢な動作でじわりじわりっと、足が責められる。するすると、布が足を撫でてまくりあがっていく。
 びくびくっと、くすぐったさに似た感覚が腰を走った。その慣れない感触が嫌なのか、微かに身が捩られる。
 はあっと、それだけなのに荒い息が吐き出された。

「てめ、なんで、足ばっか……」
「いや、いつも晒されてるのが隠されていたのが新鮮だなっと」
 
 腰布が膝を越え、いつも彼女がむき出しにしている部分まで足が大気に触れる。
 少し汗をかいたせいか、久方ぶりに触れた空気は少し冷たく、震えた。

「ん、ぁ」

 膝を、ぬるりと舐められる。
 捕まれた足首が持ち上げられ、生ぬるく湿った感触がそのまま膝の裏まで伝った。
 
「どっどこ舐めて、んだぁ……ぁ……」
「結構、いいだろう?」
「きもち、わりい……ぁ、ぁ」

 柔らかな膝の裏を嬲られ、微かに甘い声が零れる。
 足を責められることは初めてではないが、膝の裏という未知の部分に戸惑いが隠せない。
 気持ちいいのか、気持ち悪いのかすらわからず、背筋を震わせた。

「も、足、やめろ……」

 王を蹴って抵抗しようとしたところを避けられる。
 今度は足首に口付けられ、内股を揉まれた。
 さすがに敏感な場所に近い場所に触れられ、体温が上がった。
 更に足を嬲られる中、王の視線がぴたっと止まる。まくりあがった足の間、下布が覗いていた。

「下布をつけているなんて、珍しいな」
「お前のところの女官頭が、つけろって、言ったんだよ」

 妙に、居心地が悪そうに目をそらされた。
 おもしろそうに王は笑うと、更に腰布をまくりあげ、下布のサイドについていた紐に手をかける。
 するっとそれほどきつく結ばれていない結び目は簡単に解け、床に落ちた。
 それだけの行為が、なぜか気恥ずかしい。

「今日は随分と、大人しいな」

 笑い声交じりに指摘され、ぎろっと睨みつけた。

「うるせえ!! もうとっととがばっとやりゃあいいだろ!!」
「せっかくお前がおもしろい格好をしているというのに、それを堪能しなくてどうする」
「堪能するんじゃねえ!! おら、つっこんで終わらせろ!!」
「色気がない」

 そう言いながらも、王は下布をずらし、中心に触れる。

「ひゃあ……」

 直接的な快楽に、きゅうっと、内臓が締まる。
 しかし、触れただけで、すぐに指は引き、布越しに割れ目をなぞった。

「ゃ、はぁあ……」
 
 小さな刺激。
 だが、それは強い快楽を知っている体には足りない。
 無意識に腰を揺らしてもっと強い刺激を求めるが、王はあくまで下布越しにソコを愛撫する。
 時折、布ごと中心に指をいれるようなそぶりで押すが、決して入ってはこない。

「なっに、ああ、ん、やってぇ……」

 くちゅっと、それでも快楽に反応したソコが、蜜を吐き出す。
 じわりと白い布に小さな染みができたのを見た王は巧みに指で最も感じる芽の部分をこすった。

「下布が、濡れてきたぜ」
「んん、ぅ……言う、な……」

 指を噛んで声が漏れないように耐える。
 しかし、指は執拗に弱い部分を攻め立て、ぐりぐりと入口を押して下布の染みを広げていく。
 くちゃくちゃと重みを持った湿った下布は、少しづつ卑猥な音を大きく響かせる。
 けれど、もどかしさは変わらない。

「お、さま……」
「どうした?」

 遠まわしに目で訴えるが、わざと無視される。
 もじもじと切なげに体が揺れた。

「早く、つっこ、ん、で、ふぁ……おわぁ、らせろ……ぉ……」
「まったく、本当に色気がないな」

 やれやれと、呆れたような声で王は、下布を摘む。
 少し引っ張ると、とろりとした液体が糸を引き、濡れたソコがむきだしになった。

「ぐちゃぐちゃだな」

 そう言われ、ぎゅっと目を閉じる。
 こんな状態でなければ、殴ったり罵声を浴びせたりしたいところだが、焦らされた下半身が熱い。
 しかし、ぬるぬると直接触れるものの、決定的な刺激を与えないまま、ぬるぬると指が往復する。

「じら……すなあ!!」

 甘い声で抗議すれば、足を再び舐められる。
 ひくっと、力が抜けた瞬間、下準備のされた入口に、指が第一関節まで差し込まれる。
 ぎゅううっと、待ち望んだ硬さを内壁が締め付けた。

「ひゃああん!! あぅ!」
「きついな……もっと力を抜かないと、俺のが入らないぜ?」
「きゅっきゅうにいれんなあ!!」
「とっとといれろと言ったのはお前だろ?」

 指を奥に進めながら、指を増やす。
 窮屈な中に無理矢理押しは入りながら、足を広げさせた。
 中から、ぐちゅぐちゅと更に液体が溢れ、王の指を、床を濡らしていく。

「ひゃっ、ぐっ!!」
「そんなに声を出すと」

 王が、そっと、彼女の唇に指を当てた。
 中をかき混ぜながら、耳を澄ますような仕草をする。
 わけがわからないものの、少し周囲の気配に神経を向けた。



「王は見つかりましたか?」
「いえ、あちらでしょうか」
「先ほど、女官がこの辺りでみかけたと……」



 王を、探す声。
 そして、近づいてくる足音。
 ぎゅっと、更に内部が締め付けられた。
 場所を思い出した彼女の頭が羞恥に、染まる。
 いくらこの辺りが人気がないとはいえ、いつ誰がきてもおかしくない場所だったのだ。

「外に聞こえて、誰かくるぜ?」

 指が、ぐいっと、広げながら増える。
 先ほどよりも激しく水音をたてながら、出し入れしたり、突き上げた。
 声が飛び出そうになるのを抑え、力が抜けていた手を、もう一度口に持っていく。 
 足音が近づくたびに怯え、遠ざかるたびに安堵に力を抜いては、指を奥に突きこまれる。

「すごいな、近づいてくるのがわかるたび、こんなに締め付けて」

 ぐにぐにと中で指が折られる。
 不意に、足音がどんどん近くなるのが聞こえた。
 王と彼女のいる部屋に向かっているような足どりに、心臓が跳ね上がる。
 ぱたぱたと、数歩、後、数歩。
 近づいてくる足音が、止まる。
 部屋の、すぐ前、入口で。
(くるなくるなくるなくるなくるなくるな)
 嫌な汗をかきながら、彼女は心の中で呟き続ける。
 指が、止まった。
 さすがにこの状況ではやめるかっと、安堵の息を漏らしたとき、ずるっと、中から指が抜けた。
 その感覚にまた声が漏れそうになるが、耐える。

「誰か、いるか?」

 部屋に響く問いかけ。
 彼女は乱れる息を落ち着けながら、早くどこかにいけと念じる。
 不意に、王が膝の裏を持ち、足を広げた。
 嫌な予感。
 彼女が首を振って拒絶するが、王はこんな状況すら楽しむように、濡れたソコを広げる。
 そして、自分の腰布をまくりあげた。

「誰もいないなー?」

 声はすぐそこ。
 相手が、少し気まぐれで中に入ってくれば、死角とはいえ、広くない部屋の中で見つからないはずがない。
 ぐいっと、腰を持ち上げられる。
 だが、激しい抵抗はできない。
 強く、強くただ彼女は自分のできることとして、自らの手を噛んだ。
 熱い塊があてがわれる。
 必死に足の間に力をこめて抵抗しても、無駄だった。





「っ―――――!!」





 遠ざかる足音。
 
「まあ、こんなところに誰かいるわけがないか」

 そんな声を聞きながら、彼女はぐったりと体の力を抜く。
 じくっと、中が疼いた。自分の中には、王がその質量と存在感を主張している。
 呼吸を思い出した体は、苦しげに喘ぐ。

「よく、我慢したな」

 褒めるような声。
 もう、なにもする気力のなくなった彼女は、ただ中の熱さに溺れそうになるだけ。
 全ての気力を、声を出さないことで使い果たしてしまったのだ。
 どくどくと脈打つのは、まるでソコに心臓があるようだと錯覚に陥らされる。
 軽く、王が腰を引くと、抑えられない声が落ちた。
 揺するような、細かな動き。

「ぁん、ぁ、ぁ」

 足音が聞こえなくなり、静けさが戻る。
 部屋の中、水音とあえぎ声が混じった。

「さて……邪魔もいなくなったし」

 少し、激しくいくぞ?










 彼女が目を覚ましたのは、冷たい水が顔に掛かった時だった。
 ぱちっと目を開けて頬をこする。
 すると、濡れた布を持っていた王と目が合った。

「……水瓶、このために持ってきたのかよ……」

 視線を動かせば、持ってきた水瓶に顔布を入れ、彼女の体を拭っている。
 自分はもう終わったのか、汚れた様子も、気持ち悪そうな様子もない。
 彼女は、下半身のベトつきと痛みを我慢しながら、起き上がると、王に手を伸ばす。

「自分で、やる」
「やってやる」
「いらねえ……」

 無理矢理布を奪い取り、足と、そして足の間を拭った。
 まだ微かにべとつくが、さっぱりする。

「おもしろかったな」
「どこがだ」
「お前が」

 不機嫌そうな表情をからかうようにわざと声を漏らして笑いながら、長い腰布の裾を引っ張る。

「こういうのもたまにはいいな。次は踊り子の衣装とかどうだ」
「死ね」
「北の服もお前が着るなら用意してやるぞ」
「いや、殺す……!」
「確かあちらの召使の服が中々おもしろくてな」
「人の話聞きやがれ!! やっぱりぶち殺す!! 絞殺す!!」

 獣のような叫び声をあげ、王の首に手を伸ばすのをひらりと逃げ、王は、するっと自分のマントを外して、彼女にかける。

「まだ殺されてやることはできないが、それをやろう」
「……?」
「逃げるにしても、あまりその格好だと目立つだろ?」

 彼女は思わず自分の服装を見下ろす。
 色々な、液体や埃、土で汚れた服はあまりよいとはいえない状態であった。
 こんな格好で歩いていれば、誰かに襲われたと札をつけて歩いているようなものである。

「また、こいよ」

 入口で振り返った王が、言う。

「嫌がっても、ぶち殺しにきてやる……」

 彼女はその言葉に苦々しく答えた。


 長いスカートのバクラを捲り上げるのを目標に☆。
 人がきそうなところで羞恥プレイまでやってやがります。なんというマニアック。
 今回は、下半身だけで、上半身をいじらないというのをやってみました。本当は、胸を色々したかったんですが……足を重視して、色々削りました……。
 削ったならいっそ、で、上半身いじりをカット……苦渋の決断でしたが、まあ、足フェチなのでそれなりに満足です。 

 とりあえず、バクラは潜入の下見に女官姿で入ったら、ばっちり王様に見つかりました。
 王様のバクラを見分ける眼力はすごいと信じたい☆



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