※20代遊戯×20代後半バクラのパラレルです。
 捏造、夢見すぎ、ちょっと待てっというような管理人のいつもの暴走があります。
 たぶん、遊盗です。たぶん。たぶん……(自信がなくなっていく)
























































 小さい頃から、よく遊んでくれる兄のような人がいた。
 背がすごく高くて、いつも見上げてしまうから首が痛かったのを覚えてる。少し乱暴でよく頭を上から撫でられたから、たまにとれてしまうのではないかと心配してた。
 たまに怖いと思ったこともあるけれど、子どもっぽくて、優しかった。

「ゆーぎはほっぺた柔らかいよな」

 でも、そう言って、僕のほっぺを揉んだりつまんだりするところは苦手だった。
 だって、痛いし、ほっぺたは結構コンプレックスだったし、いつまでも子ども扱いのようで。
 一応抵抗はしたものの、力の強い人にがっしり捕まえられると逃げられない。

「あてむの奴とは違って本当にかわいい」

 男として、その言葉はなんとなく傷つく。
 だけど、笑顔がとてもキレイで、優しかったから、許してしまう。
 本当は、触られることは嫌いではなかったし、この笑顔が見れるなら、苦手ではあったけど、嫌いじゃなかった。

「なあ、ゆーぎ」

 かっこいい、それでいて、とてもかわいい人だった。

「キスするか?」








 実を言うと、初恋の人でもある。 










 久しぶりに会った男は、この世の絶望を詰め込んだような表情で青年を見た。
 少々あった距離をあっという間に詰めて、青年の輪郭に触れる。
 愕然と、ぽかんっとした顔は滑稽であったが、青年はあまりの勢いに言うべき挨拶を言えなかった。
 しばらく、青年の輪郭を男が撫で回すと言う奇妙な光景が続いた。

「ほっぺた、どうしたんだよ……」

 そして、やっと開かれた唇から零れたのは、そんな言葉。 

「写真で見て知ってたけどよ、だああああ!! 実際見るとショックだぜ!!」

 青年の頬を何度も撫でるだけではなくつまんだ男は悲しそうな声で呟く。
 年相応の頬は、多少の丸みや柔らかさはあるが、摘み応えもないし、あまり伸びない。 
 だが、男の記憶に残る青年、否その時は少年は、子どものような丸くて柔らかい頬を持っていたのだ。 
 思わず、手に力がこもった。

「いひゃい、ばくらひゃん、いひゃいです……」

 さすがの痛さにあわあわと訴える青年に、男は手を離した。
 しかし、男は、名残おしげに過去の感触を思い出しているのか、虚空で指を動かす。
 青年は、そんな様子に困ったように苦笑せずにはいられない。

「背も伸びちまって……」

 青年の独特の髪にも手が伸びる。
 男よりも低いが、決して標準から見れば低くはない、少し高い背。昔は精一杯見上げていた顔を、今はそれほど苦もせず視線だけをあげて見る。
 記憶の中の少年との相違点をいくつか見つけ、青年の成長を感じた。
 成長は喜ばしいことだったが、がっくりと肩を落とした男は、しばらく不満そうに唇を尖らせる。

「いや、そりゃ遊戯は今もかわいいけどよ」

 青年の耳に、ひっかかる単語。
(かわいい、か……)
 それは、もうすでに成人した青年の心に刺さった。
 確かに、青年は目も大きいし、成長しているとはいえ童顔で美少年とはまた違うコミカルなかわいさがある。
 それでも、かわいいと言われて嬉しい男の方が少ないように、その言葉は青年にとっても好きではなかった。

「やっぱり、あのぷにぷにがな……」

 未練たらたらな男は、しばらくまた虚空をこねくりまわしていたが、ふと、顔を上げる。
 そして、ああ、っとまさに今思い出した顔で言った。

「久しぶり、遊戯」

 にっと、覚えのある笑顔。
 いつか、視線を合わせて目の前で見たのと同じもの。
 かっこいいとも、キレイとも言える、どこか悪戯っ気のあるひどく男に似合う青年の好きな表情だった。
 記憶に違わぬ笑顔に、青年も笑顔で答えた。

「久しぶりです、バクラさん」

 どれくらいぶりだっただろうと、青年は頭の中で考える。
 まだ、自分の頬が丸かった頃だから、ざっと4,5年前だっただろうか。 
 そう思うと、ぐんっと先ほど抱き忘れた懐かしさや嬉しさがこみ上げる。
 急に仕事の関係で外国にいったっきり、まったく会っていなかったのだ。手紙や電話などのやりとりがあったせいで感じにくかったが、会って、話してみればやはり、違った。ひどく感慨深いものがある。
 ふつふつと瞼が熱くなった。
 それを誤魔化すために言葉を紡ぐ。
 真っ先に飛び出したのは、先に男と会ったはずの共通の話題である存在だった。

「アテムには、もう会いましたか?」

 むっと、急に不機嫌そうに眉根を寄せる。
 男と青年の共通の話題である存在は、実を言うとかなりの確率で男にとって地雷であることが多い。
 それをうっかり忘れて口にしてしまい、しまった、と思いつつも言葉をもう引っ込めることはできない。

「会った」

 ぶっきらぼうな、微かな怒気すら感じさせる雰囲気で、男は答えた。
 完全な地雷である。

「あの野郎、ますます生意気になっている上ににょきにょき伸びやがって……」

 吐き捨てるように文句を呟きながら、よっぽど腹がったのだろう憎々しげに地面を睨みつける。
 青年は、共通の話題である存在を思い浮かべた。
 昔はそれこそ、自分と同じくらいの身長で、それでも、自分と違ってかわいいというよりもかっこいいという雰囲気をまとっていた。性格は好戦的で少々自信過多、実は結構精神的に弱いところもあるのだが、男との相性は最悪。
 現在も性格は変わらず、背もぐんっと伸び、推測するにかなり身長の高い方である男よりも高くそのせいでより威圧的になっているようにも思えた。
 見下ろすのは好きだが、見下ろされるのは大嫌いな男の性格を思うに、きっと喧嘩になったことは容易に想像できる。
(しまった、ついていけばよかった……)
 そう後悔しつつ、どうなだめようか思案する。
 だが、それより早く男はけろっと態度を変える。

「それと」
「はい?」

 急な転換に、戸惑いながら答える。
 対する男は拗ねたように青年を睨みつけた。

「前から何度も言ってるだろ、敬語はいいって、さん付けも」
「でっでも、バクラさんは年上だから……」
「そういうの、俺は嫌いなんだよ」

 バクラって呼べっという男から本気で困ったように目をそらす。けれど、男は無理矢理青年の顔を掴んで目を合わせた。
 青い瞳が写り、その瞳に、青年が写っている。
 額と額が触れ合いそうに近づく。
 真剣な瞳に、体温が上がった。

「バクラって、呼べ」

 青年の顔に朱がさす。
 心臓が跳ね上がり、早鐘のように鼓動を打った。
 かっこいいと思っていた顔は、近くで見ると睫も長く、すっと涼やかなで実は繊細な顔立ちは、キレイと証するに相応しい。
 いくら視線をそらしても、青が視界に写る。美しい青。それこそ、4,5年前に見ていたのと同じ距離だった。
 さっきは気にしなかった手の温もりが気になる。

「ばっばくらさん!!」

 はなしてっと、慌てて身を捩る。
 よく考えればここは公共の場であり、人目もある場所。
 さきほどの行為でただでさえ衆目を集めているというのに、こんな場所で男同士が顔を突き合わせているのは目立つどころの話ではない。
 必死に手から逃げた青年に、男はつまらなそうに、どこか寂しそうに手をおろした。

「頑固なとこ、かわってねえな」

 妙にズレた言葉に青年はまた苦笑する。
 元々人目を気にしない性格だったが、しばらくの外国暮らしで更に磨きがかかったらしい。
 そういう問題じゃ……っという言葉を飲み込んで、とにかくここから一秒でも早く移動することを考えた。

「バクラさん、それより、移動しましょう……」

 とにかく、見られている。
 異常な行動にちらっと目を向けたら最後、思わず惹きつけられる、見てしまう容姿をしているのだ。
 だからこそ、隣にいる、ただそこにいるだけならばそこまで目を引かない青年まで見られてしまってたまらない。臆病で恥ずかしがりやで目立つことが得意ではない青年には、苦痛にも等しかった。

「ん、そうだな。ここでつったてるのもなんだし」

 ころっとまた機嫌を変え、すたすたと歩き出す。
 目的地を決めているのか、その歩みには迷いがなかった。
 おかげで、言い出した青年が遅れる形に歩いていく。
 十数歩。
 追いついて隣に並んだ時、違和感を感じた。
 首を傾げると、男も感じたのか青年を見る。
 そして、更に歩いた先で、やっと気づいた。
 歩幅が、近くなっていたのだ。
 まだ青年が背の低かった頃は、必死に合わせようとしても合わなかった歩幅が、少し無理をすれば、合う。
 早足ではあるが、走らなくてもいい。
 それが、なんだか青年にはひどく革命的で、嬉しいことのような気がした。
 思わず笑うと、男も笑う。しかし、なぜだかその笑みは、少しだけ残念そうなものが混じっていた。

「とりあえず、飯食うか」
「あっ……はい」

 笑顔に混ざる寂しさに一瞬気をとられた青年だったが、声をかけられ、誤魔化される。
 男は、足を速め、青年の数歩先を行くと、ぴたっと止まった。
 振り返り、青年を待つ。 

「遊戯ってよ」

 追いついた青年に、男はあの、悪戯っこのような笑みですぐ近くを指差し、問う。


「ハンバーガー好きだよな?」


 そこにあったのは、なんの変哲もない、ハンバーガーショップのチェーン店。
 日本人どころか、海外でも有名なその店は、とにかく早くて安いことが看板である。
 男の言うとおり、ハンバーガーを好む青年は、値段どおりの安っぽさが逆に気に入ってよく行っていた。

「好きですけど」
「じゃあ、ここで食おうぜ」
「え……?」

 青年は、呆気にとられた。
 男にとって数年ぶりの日本。
 数日は経っているとはいえ、まだまだ久しぶりの日本での食事には変わりないだろう。
 それなのに、ある意味、現代の日本の食生活ともいえてしまう場所だが、ジャンクフードというのはどうなのか。
 複雑な思いもあるが、男が楽しそうだったので、止められない。

「日本と海外じゃ、こういうチェーン店でも味が違うんだぜ、材料とかよ……」

 そんな、雑学のようなことを言いながら、男はスタスタと青年を置いていく。
 はっと気づいておいついた時には、もう自動ドアは開いていた。

「いや、ほんと海外いってたらわかるんだけどよ、日本ってほんとすげえよな。どこもキレイだし、自動販売機あるし」

 列は長いが、回転率がよいせいで、前の客はすぐにいなくなる。
 その間、もっと色々話したいことがあったはずなのに、なぜか青年はうまく言えず話を聞くだけになっていた。
 不甲斐ないと思いつつ、青年はなんだかまた、懐かしさを感じてしまう。
 昔から、男と青年の関係は、本当はこういうものだったような思い出が湧き上がった。
 よく喋る男と、それを聞く青年の構図。
 もどかしくも、心地よい時間。

「で、遊戯はなに頼む」
「ハンバーガーセット一つ」
「じゃあ、俺様は……この、なんかすげえやつ!!」

 男が指差した先には、段がいくつあるのだとつっこみたくなるようなハンバーガーが存在していた。
 見た目は勿論のことながら、カロリーのことを考えると見ただけで満腹になってしまいそうである。
 青年は止めかけて、やめた。止めてやめるような男ではないからだ。
 むしろ、それを2個頼むような暴挙にでる可能性すらある。
 更に男はポテトやフライドチキン、なんだかんだで珍しいとでもいうように、細々と、大量に注文していく。
 店員が、無料のスマイルを、男が美形なせいだろう普段の倍輝かせながら注文を繰り返した。
 会計は少し揉めたが、青年が意地になって払うと、男は不思議そうな顔でしばらく青年を見ている。
 恐らく、記憶の中のまだ金欠の少年の姿がありありと浮かんでいるのだ。
(僕だって、バイトとかしてるんだけど……)
 声に出さず不満を胸の中に隠した青年はお釣りを受け取った。
 すぐできることと、席が空いているため、焦らずレジの近くで待っていると、本当に売りの通りの素早さでハンバーガーセットと、そして、塔にも似た箱が出てくる。
 青年は、前にそれに挑戦したことを思い出し手で口を抑えた。量自体は思ったよりも意外と簡単に食べられたものの、その後の胃もたれがきつかったのだ。
 店員がもう一つトレーを持ってきて、そこに更に注文した品々を並べて、一仕事終えた顔で差し出す。

「遊戯、どうしたんだよ」

 トレーを持って止まってしまった青年に、男が不思議そうに声をかける。 
 青年は首を横に振って苦笑しながら歩き出した。
 客席は空いているとはいえ、人目が気になる青年は喫煙席と分けるために少し高い囲いのある奥まった場所に座る。

「腹減ったな」

 そう言って、いただきますを言う青年と対照的にすぐさま箱を開けてかぶりつく。
 一拍おいてハンバーガーの包み紙を開き、口に運ぶ。
 ポテトをつまみ、飲み物を半分も減らす前に男はあっという間に巨大なハンバーガーを消費していた。
 無遠慮に指を舐め、ついてソースを拭うと、ポテトやチキンを片付けていく。
 声をかけようと思ったが、あまりにも速くがつがつと食べているので青年はしばらくその食べっぷりを見ることにした。 
 これも、見覚えのある光景だ。
 別に男は切羽詰るほど空腹なわけではない、これが普通なのだ。
 見かけどおりに大食いである男を見守る。大量の食物が消えていくのは少々食欲をなくす時もあるが、その様は爽快であるし、おもしろい。
 そして、ポテトとハンバーガーを食べ終え、飲み物に残った氷の溶けた水を飲み終えた頃、男はやっと一息つく。

「ごちそうさまでした」

 青年の言葉に、男も今気づいたかのように「ごちそうさま」っと口にした。
 一息。
 そこでやっと、一息ついた感覚があった。
 例えるなら、やっとお互いの1ターン目が終わったような感覚。
 ただし、青年にとってその1ターン目は手札事故にあい、ろくに動けなかったようなものだったが。

「バクラさん、久しぶりの日本はどうですか?」
「んー、なんも変わってねーだろうなって思ってたけど、結構変わるもんだな」  

 なんとなく、深い意味がこめられていそうだったが、きっとそのままなのだろうなっと青年は思う。
 男は直感的に、本音をいつだって真っ先に出す。
 ぽつりぽつりと交わされるなんでもない世間話。
 手紙や電話で色々報告し合っていたので、目新しい、驚くような話題は出なかった。
 それが、なんだか妙にしっくりきてしまう。4,5年の狭間が、あっという間に埋まっていく。
 あるべき形にはまって、それが心地よくて、むず痒い。

「ま、一番変わったって思ったのは遊戯だな」

 ぴたっと、青年の動きが止まる。
 脈絡はあったが、それは意外な言葉だった。
 外見や、年齢的に中身や考え方が変わったという自覚はあったが、それほど変わったという実感はない。

「今もかわいいけどよ……」

 なぜだか、男が目をそらす。
 それは、どこか困ったという仕草に似ていた。常に傲岸不遜、余裕綽々という4文字熟語が似合う男には珍しい。
 男の手が、すっと、青年の顔に伸びる。
 再会したときのように、だがそれよりも弱い力で頬をつまんだ。

「かっこよく、なったよな」 

 顔が近づいてくる。
 額が触れ合う距離。
 ワンテンポずれて、青年は今日二回目の血液の沸騰を感じる。
 静かな、デ・ジャブ。
 今も鮮明に覚えている、思い出すだけでどうしようもなくなるあの日。
 なんでもない日常のひとかけらの異変。
 世界から男だけを切り取ったような、瞬間。
 あの時と同じ距離で、同じ相手が、同じように、紡ぐ。

「なあ、ゆーぎ」

 どくどくと心臓の音が鼓膜全体を揺らす。
 それなのに、男の声だけははっきりと聞こえた。





「キスするか?」




「します」

 間髪入れぬ返答だった。
 男が青年の言った意味がわからずきょとんと停止する。
 けれど、青年は止まらなかった。
 ただ、少しだけ顔を傾けて、突き出す。
 それだけで柔らかい唇に触れ、離れていった。
 もしも、ここが人目のある場所だったらしなかっただろう。しかし、人目がないという状態が、青年を動かしたのだ。
 男が動かない。
 青い瞳を目いっぱい開いて、青年を見ている。
 青年はそれがおかしくて、同時に自分のした行為が恥ずかしくて、顔を真っ赤にして笑った。
 それが、引き金。

「バクラさ……っ」

 男は顔をがっしりと、痛いほど掴むと、乱暴に引き寄せる。勢いがよすぎてがつっと、歯が当り、青年が痛みに呻いた。
 同じく痛いはずの男は、それでも止まらず青年の薄い唇に舌を差しこみ、ゆるく開かれた歯の向こうに柔らかく熱い舌をねじ込んだ。
 青年が目を白黒させ、動揺と羞恥に引き離そうとするが、男の力は強い。
 舌が、口内を蹂躙し、貪る。無防備な舌を、頬の内側を、顎の裏側を味わったことのない甘い感覚が伝う。
 最初は驚愕だけだったが、徐々にゆるやかな刺激に痺れが走った。
 ちゅくちゅくと小さな音が、行為に似合わぬ店のポップな音楽に混じる。
 思考が白く、体に入る力が弱くなり、瞼が重い。

「ふっん……」

 息苦しさに鼻から抜けるような声を漏らしたとき、唇が離れた。
 はぁっと、お互いから同時に声が漏れる。
 ただ、違うのはぐったりと青年が困った顔をしているのに対し、男はにやっと肉食獣のような笑みを浮かべていることだった。
 誰かに見られてないだろうかと緩慢な動きで左右を見渡す。幸運なことに、席が見えにくい場所にあるゆえに誰も見てはいないようだった。
 とりあえず安堵の溜息をつく青年に、男は少し考えるようなそぶりで口に手をやる。

「ところで、遊戯」
「なんでしょう……」

 恥ずかしくて中々顔が見れない青年に、男はあっさりと言い放った。



「俺様と、付き合うか?」



 ぴしっと、青年は固まった。
 あまりにも予想外の言葉。
 しかし、男は飄々と特に気にした様子もなく続ける。

「え……」
「前から遊戯のこと好きだったけどよ。ほら、どう見てもショタコンだし、もしかしたら遊戯がかわいいから気に入ってるだけかと思ったんだけどな」

 ストローを咥え、ずっと、吸う。

「でも、かっこよくなっても好きだって思ったんだぜ。
 キスもしてえし、もっと触りたいし、付き合うか?」

 唐突な、告白。
 しかも、軽すぎる。
 青年はうまく答えることができず口ごもった。
 こういうものはもっと順序や雰囲気が必要ではないのだろうか。
 全てが一足飛びで、どうにも性急すぎる。
 だが、混乱する頭の中で、らしいと思ってしまった。
 あまりにも、男らしすぎる。
 そして、本当に困ったことに、青年は男のそういうところが嫌いではないのだ。
 
「どうする?」

 考える時間を与えず、返事を要求する。
 浮かべている表情からは、それが考える時間を与えないという作戦なのか、はたまた気質なのか読ませない。
 青年はしばらく片手で手を覆い、溜息をつく。
 もごもごと自分でも訳のわからない言葉を呟いて、答える。

「付き合います」

 決まりきった答え。
 断れるわけがなかった。
 当然っとでも言うような顔で男は頷く。
 全てを見透かされている錯覚を青年は覚えた。

「じゃ、腹いっぱいになったし、買い物でも行くか。あっちで色々処分したから、色々揃えねえと不便なんだよな」
「はい……」

 トレーを持って席を立つ。
 甘い雰囲気も、これといった変化もない。
 それを青年は少々残念に思いながら、安堵する。
 なんだかんだ言おうと、つまるところはこの形に落ち着くのだと。
 ゴミを片付けながら、ふと、男は何か思いついた顔をした。
 男のそんな思いついた顔が、あまりよい兆候でないことを思い出した青年は、一歩、後ずさる。

「よし、買い物終わったらホテル行くか!」
「それはさすがに早いです!!」

 予感の的中に、青年は顔を真っ赤にして手を制する。
 男はちぇーっと笑いながら、トレーを重ねた。
 ハンバーガーショップから出て数歩。
 男は、じゃあっと言うように今度は青年の耳元で囁く。

「部屋でキスは?」

 先ほどとは違う、艶やかな、誘うような声。
 わざとらしく唇を指で抑えると、少し背を曲げると、下から覗き込む。

「……」

 勿論、青年は。

「したいです……」

 抗うことはできなかった。 



 おっきい遊戯さん×盗賊王がしたくなって思わず。
 しかし、思っていたのとはまったく違うできになるのは文才のない私にはよくあることです。
 バクラには年上の余裕があります、遊戯には成長した微小な余裕+若さがあります。
 やはり、王様orせと辺り以外では盗賊王は随分余裕があると思います。
 遊戯かわいいかわいいな盗賊王と、大人の男としてみてほしい遊戯。
 そんな感じで(どんな感じ!?)
 というか、つっこみどころとしては外でそんな大胆なディープキスするなという話ですね。すみません。
 きっと、海外で恥じらいを忘れてきたのでしょう(言い訳)
 
 盗賊王がどう見てもショタコンです。本当にありがとうございました(黙れ)
 海外に行っていたのは、なんらかの仕事です。仕事は考えてません(だめだこいつ!!)  遊戯はまだ大学生くらいでバイト中という感じですね。
 続きません(続きそうにもない!)
 だっ誰ですか、今、盗遊っぽいって本当のこと言った人は!!(おい)


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