※王様が鬼畜気味。
 縛った上に道具プレイ。
 盗賊王かわいそうな感じです。




































 唇にこだわったことはなかった。
 唇を重ねるのは心地よくて好んでいたけれど、特別扱いしたことはない。
 ただ、皮膚の延長、性感帯の一つ。
 そう割り切ってしまえばなんでもない。

「あんま、べたべたすんな」

 ぺしり、顔を叩かれる。
 不機嫌そうな顔が目の前に。
 こだわってはいなかった。
 別に、口付けるならどこでもよかった。





 だが、拒まれると無性に腹がたった。





「この悪趣味野郎……」

 ぐったりと涙と汗に塗れた顔を拭う気力もない盗賊はそう呟いた。
 一切身を隠す布のない体は、足の間から腹まで白い液体にまみれ、その足首には足が閉じられ内容にか、縄が食い込んでいる。散々暴れたせいか、その足首にはこすれた赤い痕があった。
 しかし、何よりも盗賊の気力や体力を奪ったのは、足の間に収まる王と、その手に握られた卑猥な形をした棒だろう。
 ぬるぬると複雑な液体に塗れたソレは、まだ先端を盗賊の体に残している。

「縛った上に道具なんざ使いやがって……変態……。もうこういう異常なプレイにしかたたねえなら他当りやがれ。じゃなきゃ死ね。
 いや、俺様がその首かっきってやる……!」
「口の割りには、コッチは喜んでたみたいだぜ?」

 ぐちゃっと、王は棒を中に突き入れる。
 盗賊の体は背を反らして跳ねた。それと同時、一切触れられず、一度精をはなったはずのそこが熱を持つ。
 その事実に盗賊は微かに顔を赤くし、顔に張り付く髪の間から王を睨みつけた。

「ん……ひっ……! 終わ、ったなら、早く抜きやがれ……!」
「何言ってるんだ? 俺はまだ満足してないぜ」
「んだと!!」
「さっきまで、ただお前が喘いだだけだろ?」
「てめえ!!」

 体を上げようとすると、縄が食い込み、同時に中の存在を強く締め付け、顔を歪める。
 それを王は楽しそうに見つめていた。

「もう、前をいじられるよりも、こっちをいじられた方がいいんじゃないか?」

 浅く抜き差しすると、盗賊の中心は口とは裏腹に素直に反応し、大きさを取り戻す。
 棒を飲み込んだそこは入り口をぐっと締め付け、押し出しているのか受け入れようとしているのか判別がつかなかった。
 体を艶かしく捩り、快楽と屈辱の入り混じった表情が王を睨む。しかし、その表情と瞳の強さに反して、口から溢れる声は罵声から喘ぎ声に摩り替わっていく。
 それは王の加虐心と、支配欲を刺激した。

「ひゃああああ!! ぅん、ぁぁぁあ!!」

 王は手に持った棒を一気にギリギリまで引き抜くと、一気に突き上げる。
 中で抵抗があるが、棒の形に馴染んでしまったせいか、滑りはいい。

「ゃ! あう!! あんぁ!! ひゃっひっひぃっやぁ!!」

 奥で何度も突き上げると、悲鳴のような声が断続的に上がる。
 強張った足は暴れ、その足首に縄をより食い込ませ、傷を増やした。
 しかし、痛みよりも中で起こっている刺激や感覚の方が上回り、気を回せない。 
 止まったはずの涙が再び零れ、汗を流す。だが、その上に更に汗が伝う。
 硬く、無機質な棒の感覚は、盗賊のいいところを突き上げても違和感と嫌悪感をこみあげさせた。

「もっも、や、ぁぁ!! め、やめ!!」 

 がくがくと震えながら首を左右に振って拒絶を示すが王は手を止めない。
 触れられていない場所が、またとめどなく涙のように透明な液体を流しながら、突き上げにあわせて揺れる。

「ひっぐ、やっ!!」

 角度を変え、深さを変え、かき混ぜた。
 その激しさにいつもより多くの水音が辺りに響く。 
 だが、それすらもう盗賊にはうまく聞こえていなかった。
 今日、二回目ということもあり、意識がぼんやりし始めているのだ。
 それでも、中の棒は存在を主張し、いくら熱に包まれても温もらない無機質さが意識を無理矢理引き戻す。

「も、やめ、やめええ!! いっ、ぎぁっ!!」

 シーツを掴み、自由になる上半身が体を何度もねじった。
 しかし、それはただ虚しく疲労を募らせるだけで意味が無い。
 下半身はただただ犯され続ける。
 うまく飲み込めないつばでむせ、咳き込む間も容赦なくぐりぐりと一点を抉られた。
 足首からはすでに血が滲み、その傷を更にこする。

「あぅ、あぐ! はぁ……!!」

 もう、目を開けていることすらうまくいかないのか、盗賊は目を閉じた。
 瞼の上を汗が流れる。
 そうすると、更に中を意識してしまい、強い快感を逃がせない。
 内臓が荒らされ、蹂躙される。
 唇を噛んで誤魔化そうとするが、アゴにも力が入らなかった。
 これが一回目であればまだ抗う体力はあったものの、息も切れ、手が震えて握ることすらできない。

「お、ぅ、ぁ、あおう、さまあ!! もう、や、やめええ!!」

 なんとか喉からあがる音を言葉にするが、反応は無い。
 どころか、ずぶずぶと出し入れされるそこに、指が触れた。
 嫌な予感に、背筋が冷える。

「こっちも、だいぶほぐれたよな……」

 指が、ぐっぐっと、ソコを押す。

「やめぇろお!! や、いやだあ!!」

 押されるだけで辛い。
 少しだけ、棒を出し入れする速さが緩んだ。
 けれど、代わりに同じ点を、盗賊にとって最も感じる部分を突き続ける。その間にも、指が棒の周りをなぞり、刺激した。

「はぐ!! ひゃああ! おうさっまぁああ!!」

 ぐるっと、手首だけで棒をまわす。
 その動きがふっと止まった。

「……?」

 安堵と同時に、疑念が浮かぶ。
 まさか、この中途半端な状態で王が置いておくわけがないだろう。
 一瞬そう思うが、前に放置されたことを思い出し不安が胸にこみ上げた。

「お……ぅさ?」

 声をかければ、王は縄が食い込んだ足をそっと撫でる。
 その様が妙に優しくて盗賊が戸惑ってしまう。
 だが、その戸惑いもすぐに引きつったものに変わった。
 王の手に、自分の中にあるのとは別の棒が握られていたからだ。
 大きさや、長さもほとんど同じものだろう。

「おう……さま……?」

 盗賊が逃げられないとわかりつつ、ずりっと、背後に下がる。
 すぐに縄によって引き戻されるのだが、体は怯えていた。
 疲れてだるい体をなんとか起して首を振る。
 今から何をされるか、悟ってしまった。
 同じものを取り替えるなどという無駄な行為をするはずがない。
 そんな無意味なことをしてもしかたないだろう。
 王は乾きかけた盗賊の腹の上の白い液体をすくうと棒に塗りつけた。

「おうさま、おうさま、おうさま……!!」

 恥も外聞もなく、盗賊は必死に王を呼ぶ。
 恐怖満ちた声は拒絶を意味していたが、残酷に王の手は棒の入ったままのソコを広げる。
 最初は、指が入った。

「がっ……うあああ!!」

 硬い棒と、まだ比較的柔らかい指が複雑な感触を与える。
 そして、それが別方向へとソコを開くのだ。

「あがああああ!! ぎぁ、あああぁぁぁぁぁぁっ!!」

 悲鳴が止まらない。
 身を裂かれるような苦痛。 
 開いた口から悲鳴と一緒に胃の内容物まで吐き出しそうだった。

「ぃや!! いゃああ!! やだ!! うわああ!!」

 ぎしぎしと激しくベットが軋む。
 今までの暴れが可愛く思えるほどだったが、縄を切るまでには至らない。

「これは細いから、二本くらい入るだろう」

 予感を確信に変える王の言葉。
 抵抗が激しくなる。
 盗賊は既に自分の口からどんな言葉が出ているかわからなくなってきていた。
 悲鳴と王への罵倒、拒絶の言葉それらが混ぜ合わさり、解読はひどく難解。
 腰が浮くせいでうまく指で広げられない王は、片手で盗賊の腰を抑えるが、鍛えられた盗賊の体は思うように落ち着きはしない。
 どうするかと数秒考えて、王は無理矢理、棒をソコにつっこむことにした。
 指で開いた隙間に、強引に入れる。
 ただそれだけの行為が、盗賊から色々なものを奪った。

 ごりっ

 と、中で棒と棒がこすれる。
 今まで味わったことのない、味わうはずのない感覚。
 盗賊は動きを瞬きの間止める。
 内臓に力を入れると、腹筋に力をいれると、ただ動いただけで、ごりごりとその無駄に存在感のある棒はこすれあい、勝手に動く。
 なんとも、言えない。
 それに、名前をつけることは、盗賊にはできなかった。まだ、できなかった。

「――っ」

 あまりにも、短い悲鳴。
 押し出すために、内臓が動く。
 ごり。
 抵抗のために、腹筋に力が入る。
 ごり。
 暴れるために、体をくねらせる。
 ごり。
 意識的に、無意識的に限らず、盗賊が動けば、中でこすれ、抉れる。
 たまらなかった。
 どうしていいかもわからない混乱。
 涙と唾液に汚れた顔が、歪んで止まらない。
 王はそれを、じっと見ていた。
 何かを待つように、楽しむわけでもなく、苛立つわけでもなく、罪悪感を抱くようでもなく。

「――っ!!」

 盗賊は虚ろな瞳で王を見る。 
 その瞳にはうまく王は写っていない。

「おうさま……」

 唇が悲鳴以外の言葉を紡ぐ。
 王が、動く。
 暴れる盗賊の体を抑えて、その唇に小さく口付けた。
 柔らかく唇を舐め、甘く噛み付き、味わうように。
 その感触だけが、盗賊にとって優しいものだった。
 盗賊は、目を閉じる。
 それは決して、うっとりしたものだとか、感触を克明にするためではない。
 ただ、気を失ってしまっただけだ。
 体が大人しくなったのに気づいても、王は唇を堪能し、顔をあげた。

「………」

 少し考えて、もう一度。
 そして、ようやく盗賊の中から棒を二本とも取り出す。


 唇にこだわったことはなかった。
 唇を重ねるのは心地よくて好んでいたけれど、特別扱いしたことはない。
 ただ、皮膚の延長、性感帯の一つ。
 そう割り切ってしまえばなんでもない。

 だが、拒まれると無性に腹がたった。

 王は、盗賊の唇を指でなぞり、やっと満足げな溜息をつく。
 ただ、それだけだった。



 連作気味のつもりが、妙に鬼畜鬼畜になったので、別枠。
 王様は、キスを拒まれて怒って色々しました。そして、抵抗できない唇を好き放題にして満足しました。
 書く前はこれほど鬼畜になるはずじゃなかったんですが……。
 おかしいなあ……どうしてだろう。
 とりあえず、前々からやりたかった二本がやれてよかったです。
 ちょっとエロがなまってるので、リハビリしたいですね!
 キレが足りない!!



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