※たいしたことない微エロ。
 場合によっては遊バク遊に見える。




































 かりかりとシャーペンが紙の上を踊る。
 そのシャーペンは紙を黒で埋めるよりも、ふと止まって考える時間が多い。

「えっと、終くん、ここなんだけど」

 シャーペンが止まるたび、少年は彼に声をかける。
 それまでつまらなそうだった彼は、少年の声に顔を輝かせてベッドから体を起し、答える。
 白い紙の上、あれほど少年が悩んだ問題が、彼の前では簡単に解けていった。
 わからない少年には、それがまるで魔法のように思える。
 なんとなく理解し、式を書いてみたら何かが違った。
 消してもう一度書き直して、逆算してみてまたなにか違うのをやり直す。
 それを繰り返すのを見ているうちに、彼はまたつまらなそうな顔に戻ってベッドに寝転ぶ。
 彼の家であるとはいえ、あまりにも無防備な姿。
 けれど、それに少年は構うことはない。それが当たり前だからだ。
 何をするでもなく、ただ必死に問題を解く少年を見つめ続ける。
 そのままうとうとと眠ってしまいそうだが、少年がわからなくなると声をかけるので、そうするとすぐさまぱっちと青い瞳を開く。
 しばらくそうしていたが、不意に音も泣く起き上がった。
 目の前の問題に集中する少年の耳元まで近づくと、口を開く。

「なあ、ゆうぎ」

 甘えたような声。
 彼がそんな声を出す時は、大体の場合少年にとってちょっと困ったことであることが多い。
 そして、ちょっと困ったことであるだけに、困り、結局は受け入れてしまうことが常である。
 たぶん、そのことを彼も知っているのだろう、わざわざベッドから降りると姿勢を低くして上目遣いに見上げる。

「どうしたの? バク、じゃなくて終くん」

 やっと舌に慣れてきた名前で問いかける。
 すると、しなやかな動きで顔と体を更に寄せた。

「きす」

 唇を指で抑えて、見せ付けるように笑う。
 その仕草は悪戯な猫のようでありながら、色っぽい。
 目を奪われるとはこのことで、少年はどぎまぎと顔を赤くした。

「きすしようぜー」

 指で薄い唇をなぞる。
 白い肌に反して、口の中は血のように赤い。 
 黙っていると、その唇が近づく。

「まっ待って」

 慌てて顔の前に手をいれる。
 その無粋な行為にむっと、不満そうに彼は目を細めた。

「だめ」
「なんでだよ……」
「宿題、終わってないから。これ終わらないとまた先生に怒られるから」
「……キスだけだからいいだろ?」
「だめ、終くん絶対、何回もして宿題にならないから」

 顔を赤らめて首を振る。
 しかし、彼は顔の前に差し出された少年の手に口付けた。
 柔らかい唇の感触にますます顔が赤くなる。

「いっかいだけ」

 甘えるような声音と少し潤んだ瞳。
 思わず許してしまいそうになるが、彼と少年の付き合いは長い。
 必死に誘惑を振り切って、もう一度首を振る。

「だっだめ!」

 はっきりした拒絶に、不機嫌そうに顔を引く。
 少年がほっ、としたのもつかの間、すぐに不機嫌そうな顔を笑みに変える。

「じゃあ、遊戯、これから一問教えるごとに一回キスしようぜ?」
「え?」

 いきなりの提案。
 迷ううちにまた顔がずいっとよってくる。

「な、いいだろ?」
「え、ええ……」
「いや?」
「いっいやじゃないけど……」
「ゆうぎ、俺様とキスするのいや? 嫌い?」
「いっいやじゃないよ!!
 しゅっ終くんとキスするのは……そっその、好きだよ……」
「じゃあ、いいだろ」

 子どものように無邪気に笑う。
 するっと、いつの間にか膝の上に頭を乗せ、見つめる瞳に眩暈を覚えそうだった。
 少年が彼にとって知っているということはまた、彼もまた、少年について知っている。
 どれだけ彼が狡猾だと知っていても、少年が甘く優しい事を知っているのだ。

「ゆうぎ」

 細い指が顎を撫でる。
 完全に相手のペースだと知りながら、逆らえなくなりそうだった。
 いや、もうここまできてしまったら逆らえない。

「ちゃんと一回で止めるから、な?」
「一回だけだからね……?」
「おう」

 溜息をついて、シャーペンを取り直す。
 だが、少年の心臓はうるさいほど跳ねて問題に集中できない。
 ちらっと視線を降ろせば、膝の上で彼が唇を舐める。その艶っぽさに集中力を根こそぎもっていかれそうだった。
 もしかしたら、こうやって戸惑わせることで勉強を邪魔する作戦だったのかもしれない。
 ちっとも頭に浮かばぬ公式に、唸り声をあげるしかない。

「終くん」
「なんだ、遊戯?」

 悪戯な笑みを浮かべ、胸を撫でる。
 その手つきが妙にいやらしくて、目をそらした。
 
「あのさ、ここ、わからないんだけど……」

 おずおずと問うと、体を上げ、プリントを見る。
 わざとらしく耳に密着するように唇を寄せ、小声で説明を始めるからたまらない。
 くすぐったい中に不思議な感覚を見つけてしまいそうで聞くことに集中できないのだ。

「で、わかったか?」
「うっうん……」

 本当はまったくわかっていないのだが、思わず頷く。
 その顎をゆっくりととられ、唇の端を舐められた。
 抵抗できないうちにゆっくりと柔らかく唇があてられ、少し温度の低く薄い舌が入り込む。
 彼の舌が歯列をなぞり、上顎の裏少年の舌の裏側を舐めてそのまま舌を誘い、先端を痺れるほど吸い上げた。
 うっとりと蕩けるような瞳が目の前にある。何度見ても、少年はその瞳が、表情がキレイでたまらないと思う。
 白い肌にうっすら朱がさし、甘ささえ覚えそうなキスは首の後ろに手が伸びた時、終る。
 はぁっと、互いに吐息を零し、飲み込みきれなかった唾液が唇が伝った。それを舐めとる。

「ん、いっかい」

 彼は頭をもう一度膝の上に戻す。
 なんとか視線を紙に移すが、文字はもうただの羅列でしかなく、目でなぞっても言語として認識できない。どころか、視界が少し滲んでいた。
 シャーペンを握る。
 懸命に記憶の糸を握り締め、線を書いた。あっているのかすらわからない。
 それでもなんとか埋めると少しだけ少年の興奮は冷め、やっと呼吸した。
 さっき自分が書いた公式を見返す気が起きない。
 せめて次の問題をっと睨むが、まったくわからなかった。
 唸り声すらあげそうに見ていると、膝が軽くなる。
 体勢を変えるのかと思えば、紙を覗き込み、シャーペンを少年の手ごと握り締め、さらさらと答えを勝手に埋めていく。
 戸惑って止める声を出せないうちに、答えまで書き込まれ、今度は勢いよく唇が奪われた。
 歯と歯がぶつかりかけたが、うまくかすって先ほどとは間逆の激しさで口内を嘗め回される。
 胸が少年の体に密着した、そのまま押し倒す。
 少年も抵抗することなく、床に背をつけた。
 くちっと水音をたて、少しだけ唇に隙間が空いたが、すぐさま角度が変えられもう一度塞がれる。
 お互いの味と温度が交じり合い、境が消えるような錯覚。
 苦しいのに、気持ちいい。
 目の前の青い瞳がうっすら潤んでいた。
 何度見ても、少年はその瞳に、表情に、彼に魅入ってしまう。
 わずかに呼吸する間のように唇が離されるものの、体勢を変え、言葉を奪うように貪り続ける。
 しかし、さすがに舌が疲れたのか、ほぅっという吐息とともに唇が離された。

「ん……ゆーぎ」

 唇を舐め、少年の顔にすりよる。

「やっぱ、いっかいじゃ、とまんねえ……」

 するっと、胸の上に手が伸びる。

「プリント、後で俺様がやっといてやるから……しようぜ」
「そ、それじゃ、意味ないよ……」

 なんとか声を出す少年に、彼は笑う。

「大丈夫、2,3問間違えときゃいいだろ」
「それは全然大丈夫じゃないよ……」
「遊戯だって、たってるだろ?」

 にっと、勝ち誇った顔。
 体勢を変えて密着したせいで暴れる心臓の音も、熱い体温も、硬度を持ち始めたそこも、全て知られている。
 少年は妙に情けなくて目をそらしてまだ口の中でなにか呟くが、無意味な行為に過ぎなかった。
(今日は徹夜か……)
 少年は溜息をつく。
 ここで彼に逆らえる要素が見つからなかったからだ。
 少年は彼の顔の輪郭に触れ、少しだけ顔を起す。そして、近づいてきたその顔に許可の言葉の変わりに小さなキスを送った。
 そうして、自分が彼に弱いことを再確認していると、いきなりベルトに手がかかる。

「しゅっしゅうくん!?」
「このベルト外しずれえな……」
「待って、せめてベッドで!!」

 視線をベットにやるが、彼は止まらない。
 手で邪魔しようとすると、伸びた手を甘噛みされた。
 彼は素早くベルトを外し、ズボン越しにソコを撫でる。

「がまんできねえ……」
「っん……! 我慢できないって……」
「今日はずっと、遊戯に触りたかったのに、触ってほしかったのに、遊戯が我慢させただろ」

 だから、もう無理だと、ズボンを下着ごとずらし窮屈だった部分を解放する。
 彼は、ソレに顔を近づけ、まじまじと見つめた。
 熱の集まった場所がいきなり大気に触れたせいで震えたが、それよりも羞恥が勝つ。
 ふっと、息をかけられただけで辛い。
 少年は情けなくて涙が出そうになった。

「……今まで色々切羽詰まってみてなかったけど、遊戯って顔の割りに結構……」
「いっ言わなくていいから!! お願いだから言わないで!!」

 必死に首を左右に降って拒むと、彼は笑い声を漏らす。

「終くん、お願いだから、ベッド、ん、で、ぇ……」

 ソレを柔らかく握り、こする。
 すぐに少年のモノは手の中で更に大きく膨らみ、熱くなっていく。
 指の一つ一つの動きに反応し、少年は熱い息を吐き出した。

「な、遊戯」

 両手でソレを包み、やわやわと揉む。
 すると、段々とぬるぬると透明な液体が溢れ、彼の白く繊細な手が汚れた。
 それが快楽とともに視覚的な背徳感をぞくっと刺激する。
 いやらしい水音が部屋に響き、

「すげ、コレ、近くでみるとやらしい……」
「あんまり、見ないで、ほしい、けど……」

 はしゃいでいるような、興奮しているような声。
 少年は擦れた声で抗議するが、彼は止まらない。
 どころか手の動きを速くし、少年を追い上げていく。
 思わず、少年は手で口を塞ぐ。
 彼はそれが気に入らないのか、下から見上げ、むっと眉根を寄せた。

「俺様の触ってるときは、声聞きたがるくせに……」

 不機嫌そうな声に、少年は答えられない。

「出させてやる……」
 
 彼は何も思ったか、いきなりソコに口付けた。
 いきなりの感触に少年の体が跳ね、手が顔を止めようと彼の髪を弱く掴んだ。
 だが、彼は止めるどころかそこから唇を開き、口内に飲み込む。

「終くん!! 待って、それは待って!!」

 慌てる声を無視し、ソレに舌を這わせた。
 裏側の筋や、凹凸をなぞり、ぐっと、一気に喉の奥に突き入れる。
 少し勢いが良すぎたのか、咳き込みそうになったため一度顔を引いたが、舌は離さない。
 ぬるぬると溢れる液体と唾液を口の中で噛み混ぜるように先端付近を刺激する。
 それは、激しい快楽だった。

「しゅ、ぅ、く、しゅう、くん……まっ、あ、ん……」

 指とは違う柔らかさと温度、湿り、全体を包むように蠢く口内は少年にとって未知である。
 掴んだ手に、力が篭った。

「んぅ……!」

 髪を引かれる感触に彼が咥えたまま呻いたため慌てて離すが、口の動きはとまらない。
 時折歯がかする感触が痛く、恐怖を煽るが、腰が解けてしまいそうな快楽が広がっていく。
 ごくっと、喉が動く。
 その動きがまたソレを刺激した。
 息苦しさに彼の目尻に涙がたまる。それでも、口は離さない。
 舌の動きもやむことなく奉仕を続ける。

「しゅうくん……」

 少年の髪を掴む手が、撫でる手に変わる。
 補足柔らかい髪に指をいれ、梳くように、時折体を跳ねさせ、掴みかけるが撫で続けた。
 その手の心地よさに彼は目を細めた。
 一度、ちゅっと、唇が引いた。

「あっ……」

 少年が声を漏らす。
 それは、残念というよりも、安堵だった。
 いきなり強すぎる快感を与えられた少年の目尻には涙が浮かび、肩を上下させるほど息は乱れている。

「しゅう、くん……」
「変な、味」

 その率直な感想は少年の混乱や感情を助長させた。 
 唇を舐め、口から滴る唾液ともそれ以外ともつかぬ雫を拭う。

「でも、感触とか、きらいじゃねえ」

 おもしろいっと、笑う。
 その笑顔が妙に魅力的で、少年はどきっとした。

「ぁ、ぅ……」

 彼は、ソレを握る手に力をこめ、ぐりぐりと先端を刺激する。
 そして、もう一度くわえ込む。
 今度は先端からゆっくりと、ぎりぎりを見極めるように包んでいく。

「しゅうくん、おね、がいだから……も、くちは……」
「ひゃふで?」

 咥えられたまま喋られ、少年は何も言えなくなる。
 見上げる彼の顔は、悪戯で、それでいて艶っぽい。
 ちゅっと、吸われる。
 がくっと少年は体勢を崩した。
 もう、そこからは彼のなすがままと言っても支障がない。
 全てがおぼつかない、確かめるような初めての動きだったが、される方も始めてだったため、何も言えない。
 ただ口から溢れる言葉を男のプライドとして抑えるだけで精一杯だった。
(くちのなか、あつい……)
 彼は、少年の限界を口の中で感じる。
 どんどん熱く、膨らんでいく感覚。どくどくと、舌が脈打つのを感じた。
 もじっと、腰が揺れる。
 触れられてない場所が、熱い。

「しゅうくん、しゅうくん、も、ぁ、ほんと、に、だめ、だから、はなし、て……」

 少年の制止の声に、少年は更に喉の奥へ、強く吸い上げる。
 びくびくと少年の体が、口内のそれが激しく震えた。

「っ!!」 

 どくっと、口内に白い液体が溢れる。
 その勢いと感触、そして味に、彼は慌てて口を離した。
 だが、どろりとした液体はすでに喉の奥に滑り込み彼を咳き込ませた。
 口内に出しても止まることなく白い液体は彼の顔を、ズボンを、手を汚す。

「終くん!!」

 咄嗟に起き上がって、彼の体を支える。
 げほげほと咽る少年の背をなで、少年は謝罪の言葉を繰り返した。
 罪悪感で胸が重い。

「ごめん、ごめん終くん!! ごめん!! 大丈夫!? ごめん!!」
 
 半分混乱しながら吐き出される言葉に、彼は口を抑え、安心させるように笑った。
 しかし、その瞳は潤み、白い肌は更に白い液体で汚れている。

「終くん……ごめん……」
「あや、ぁ、っまんな……」
「ごめん……」

 ひとしきり咳き込んで落ち着いたのか、彼が息を吐く。
 粘つく口の周りを舐め、袖で拭う。

「意外と、のめねえもんだな……」
「飲めないよ……」
「苦いし、意外と勢いよく出るし……多いし……」
「言わないで……」

 照れながら少年は服を脱ぎ、少年を拭く。
(もう、これ着れないなぁ……)
 そう考えることで現実逃避した。

「片づけしないと」
「……なあ、遊戯」
「なに?」
「片付けの前にさ」

 彼は、体を近づける。
 ぐりっと、少年の足に足の間をこすり付けた。
 その感触に、少年は彼を見る。

「俺様も、気持ちよくなりてえんだけど……」

 色っぽい声と、上目遣いだった。
 体をこすりつけ、誘うように唇を開く。

「俺様も、ゆーぎにさわってほしい」

 少年は、恋人のそんな言葉に逆らえるほど、意思が強くも、達観もしていなかった。
 むしろ、17歳の高校生として、当然の衝動を抱いた。




「二回掃除するより、後で一回の方が、楽だよね……」



 重ねた唇は、少し苦かった。



 攻めが喘ぐの、初めて書いた気がしました。
 っていっても、抑えて微量にしましたが(だって、あんまり喘ぐと遊バクじゃなくて、バク遊になる!!)
 とりあえず、終くんのフェrと遊戯の頭なでなでが書けてよかったです。
 今回は終くん優勢で、序盤にキスでエロい雰囲気を出したくて、失敗しました。
 ああ、エロたのしいよ、エロ。
 本当は最後までやるつもりが、遊バクでそこまで飛ばしていいのかわからず、段階を経ることにしました。  二人でさわりっこはするけど、フェrとか、いれたりはまだだよっな二人。
 でも、やるときゃやります、だって、私がエロいからー!!(黙れ)
 次は遊戯がフェrかな……あるいは、終くんが後ろ開発開始か……(おい)

 会話の端々に誰かが遊バクを感じてくださればいいのに……(願望かよ)



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