神に等しい王は哀れな盗賊に聞きました。

「なにが欲しい?」

 王にとって、望めばそれこそ山ほどの黄金も、尊い無数の民の命も、広大な土地も何一つ余すことなく捧げられたでしょう。
 しかし、愚かな盗賊は薄く王様をあざ笑い、両手を広げて囁きました。

「王サマ、あんたの首が欲しい。俺様がこの手で刎ねた新鮮な血の滴る首がほしい」

 王は、その言葉に笑って頷いた。

「じゃあ、俺との遊戯に勝ったらやろう。
 お前が跳ねた俺の首を」


 王と盗賊の愚かで儚い逢瀬の始まりでした。



BGM:茶太/下村陽子 ハッピーエンド
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