たまには、趣向を変えてみるか。
 王の笑みと共に告げられる提案は、いつも盗賊にとって最悪のものだった。
 そして、その日も王の笑顔に悪寒を感じた盗賊は必死に逃げようとするが、簡単に足をひっかけられ、地面に転ぶことになった。

「そう、抵抗するな」
「あんた、自分の日ごろの行いわかってんのか!?」
「ああ、実に清廉潔白だと民には有名だぜ」
「あんたの民はぜってえ目が腐ってる!!」

 そう言うなっと、王は起き上がろうとする盗賊の腕をひねり上げ、立ち上がれないように体重を掛ける。

「いてえええ!!」

 暴れれば更に痛いことを知っている盗賊は無意識に力を抜いた。
 同時に、王はその力の抜けた腕を一つにまとめると解いた帯で器用に縛り上げる。
 コレくらいすぐ抜け出してやると腕を動かそうとすれば、どうも特殊な縛り方らしく、もがけば不思議と締まっていく。

「まあ、諦めろ」

 そう呟いて、王はどこから取り出したのか、帯のような布を盗賊の目に当てた。
 一瞬で暗くなる視界。

「なっなにしやがる!」

 暴れるが、腕も使えず奪われた視界は取り戻せない。

「趣向を変えただけだ」

 耳元で囁かれた言葉は、視界が塞がれているせいか、ぞくりと奇妙な感覚を生み出す。
 五感のいずれかがなければ、他の感覚が鋭敏になると聞いたことがあった。
 まさか、それを自分が、こんなことで実感する日がくるとは。盗賊はひどく情けない気分へと陥る。
 行動の読めない王は、そのままごろんっとうつぶせになっていた盗賊の体を仰向けにすると馬乗りにまたがる。
 それだけの動作もわからず、盗賊はどきりとした。
 今、まさに心臓に刃を向けられても、王が別の人物に摩り替わっていても、わからない。
 いや、盗賊ほど敏感な感覚を持ってすれば、その腹に感じる体温や、王のまとう匂いで相手を判別するくらい可能であった。
 しかし、視界を塞がれた不安と恐怖は思ったよりも大きく、もう慣れたはずの王の指にすら過敏に反応してしまう。
 つーっと、慣れた感触と体温が首を伝い肩を滑る。
 その指の感覚を追えば、それだけで体がぞくぞくとしなった。

「これだけで、感じるのか?」

 くすくすとわざと耳元で笑われ、かっと盗賊は口を開いた。

「ちげえ!!」
「そうか、でも、もうこっちは硬くなってるみたいだね」

 布越しに撫でられながら、まるで実況でもするかのように耳元で囁かれる。
 下布に手が差し込まれ5本の指がしっかりと自身を握った。
 その一本一本の動きまでが感じられ、熱が集まる。
 荒くも丁寧な手つきに集中してしまい、意識をどこかへ逃がすこともできない。
 視界という大きな感覚がない分、どうしても他の感覚を追い、集中する。

「ほら、もう、ここはぐちゃぐちゃだ」
「ひゃ、はあ」

 ぬるい感触の舌が、耳を弄ぶ。声と吐息が熱く感じ、脳を直接犯されている気分になっていく。
 無意識の内に声を零し、その声が耳に届けば、羞恥に体の下敷きになった腕を必死に動かすが、無駄だった。
 王の唾液の混ざった水音を耳の中に感じ、かりりと甘く噛まれて甘い息を漏らしてしまう。

「ぁ、ふぁ」

 中心を掴む手と、耳、その両方が脳を痺れさせ、思考を奪う。

「ほら、もうイきそうにだぜ、わかるか?」
「い、うなあ……ぅ」
「下の方までこんなに濡れてるぜ。ほぐさなくても入るんじゃないか?」

 ふぅっとゆるやかに息を吹きかけ下の入口を撫でる。

「目隠ししただけでこんなになるなんて、すっかりいやらしい体になったな。
 いや、元々か?」
「ちっぁぁ、ちげえぇ……んん!」
「前のように香も使ってないぞ?」
「ひっ!! ぁぁあ!!」

 王は、馬乗りから体をずらし、盗賊の片足を高く持ち上げた。
 自然と足を開く形になったそこに手を這わせ、液体を指に絡ませると、入口から進入させる。濡れてはいるものの、狭いそこを広げるように指を曲げた。
 内部の違和感をいつも以上に神経を尖らせる盗賊は、無意識にきつく締め上げた。

「もっと、力を抜け、そうじゃないときついのはお前だぜ?」
「はぁ、じゃ、ぬけぇぇ……い! ひぃ!!」
「でも、前は萎えてないな……」
「ううぅ……!!」

 指を入れても萎えるどころか、いっそう苦しそうに張り詰めたそこを柔らかく撫でながら王は盗賊の耳を少し、強く噛んだ。
 びくりと反り返る背中にあわせ、二本目を飛ばし、3本の指が押し込まれる。
 それを苦しげに受け入れ、がくがくと持ち上げられた足を震わせながら、盗賊はいやいやと首を左右に振る。

「ん、さすがに、きついか……」

 そう呟きながらも王は内部を広げるように指を動かし、ある一点を探す。
 内部の蠢きを押しやりながら、王はその内壁を軽くひっかき、慣らしていく。

「でも、すぐに馴染むな……もうほら、受け入れてるぜ」
「ぁっぁ、ぁぁぁ、はぁぁん!!」

 そして、王が一点を見つけ、強くそこを突き上げた。同時に、盗賊は大きく口を開け、背を弓のごとく逸らした。漏れたのは空気だけで、声はない。
 ただ、王がそこを突くだけで盗賊は強く反応し、びくびくと自身を震わせる。

「さすがに、まだ後ろだけじゃ、無理か……」

 そう呟いて王は指を抜く。
 肩で息をする盗賊を見下ろせば、目隠しはすでに涙で濡れている。
 とるべきだろうかと考えるが、やめる。
 変わりに今度は両足を抱えるとぐいっと半分に折りたたむように体を曲げさせる。

「ぃ、なっなに……」

 訳がわからず怯えた声を漏らす盗賊の耳を小さく噛むと、自身を入口にあてがった。
 その熱と感触に、これから起こることを察した盗賊は身を硬くする。

「力抜いてないと、痛いぜ?」
「ちょ、っと、待て!! 目隠しとりやっやああああぁぁぁぁっ!!」

 何度受けても慣れない痛みと質量に、盗賊は身を捩り、逃げようと肩で暴れる。
 だが、足をがっちりと押さえられその抵抗はただ王を身に埋めるだけだった。
 ぎっちりと入り込んだソレの形を明確に伝えてくる。
 酸素を求めて開いた口は悲鳴を叫び、いつしか暴れたせいで縛られた腕からは血が滲んでいた。
 王は最奥まで自身を埋め込むと、深く呼吸し、盗賊の輪郭を舐める。
 落ち着かせるように前に手を伸ばし、今だ達していないソレを強く握り締め、扱う。
 痛みと快楽が混ざり合った声と共に、盗賊はきつく、きつく王を締め付けて達した。
 一度楽になれば、落ち着いたのか息を吐き出すだけで、悲鳴は消えた。 
 それでも、びくびくと痙攣する内部は王を追い出すように、引き込むように蠢き続けている。

「たっぷりでたな」

 手に付着した白い液体を盗賊の腹にぬるぬると塗りつけ、王はゆっくりと、自身をぎりぎりまで抜き放つ。

「ぁ、ぁ、ぁ……」
「じゃあ、次は俺の番だ」
「ま」

 てっと言う前に、王は動いていた。


「てめえ……この腕どうしてくれやがる……こんな腕じゃ……しばらく仕事もできやしねえぞ」

 盗賊はすっかり血だらけになった手首を縛っていた布で拭いながらぼやいた。

「だったら、治るまで世話でもしてやろうか。舐めて治してやるぜ?」
「別のとこも舐める気だろ」
「舐めてほしいなら、喜んで」

 盗賊の腕を掴み、その傷口に唇を落とす。

「また、肩のときみたいに手当てしてやろうか」
「また縛られたら嫌だから、遠慮しとくぜ……終ったのに、いつまでもここにいる義理はねえ」

 さっと王の手を振り払うと、盗賊はふらつく足取りで戸口まで歩き、そこで立ち止まった。

「どうした?」

 首を傾げる王に、盗賊王は慌てて何かを隠すように足を拭い、叫ぶ。

「二度と中にだすんじゃねえ」
「……かきだしてやろうか?」
「死ね!!」



 やりたいことを色々詰め込んでみました。
 最後下品ですみません、うん、中に出されちゃったのが溢れちゃったのです。うん。王様に処理させるくらいなら、自分で処理してます。
 本当は、もっと長かったのですが、さすがにそこまでえろえろしていいかわからず、途中ブツ切り。
 目隠し&拘束は萌ですよね!!
 今回は、なんだか普通に純粋にエロが書きたかった結果です。



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