腐れ縁を深めよう



1、仲良くしよう

「なあ、テュール……聞いてもいいか?」
「なんだ?」
「なんで、俺ベットに縛られてるんだ。記憶がないんだけどよ……」
「そりゃ、俺が後ろから殴ったからな。死んだかと思ってちょっと期待しちまった」
「期待すんなよ!!」
「縛ったのも俺だぞ?」
「で……縛ってどうするんだ?」
「仲良くしようかと」
「なかよ……?」
「昔、人に聞いたんだけどよ」
「おう……」
「仲良くなるには、ベットを共にするのが一番いいんだとよ……」
「……俺に添い寝するとかそういうことですか……テュールさん……」
「な訳ねえだろ」
「……俺はいたってノーマルでやめていただけると大変嬉しいのですが、テュールさん……」
「安心しろ、俺はどっちでもどうでもいい」
「いや、お前じゃなくてね、俺がね」
「で、お前上と下どっちがいい? 選ばせてやるぜ」
「人の話聞けー!!」
「めんどくさいから俺、上でいいだろ」
「いやー!! いやー!! 犯されるー!!」
「話がはええな」
「早くない!! やめろ!!」
「ノーマルってことは男は初めてかー、道具どこ置いたっけ」
「道具ってなんですか!? その道具で何するんですか!? 俺はどうなるんですか!? いや!! いい言うな!! 怖いから!!」





(テュールは親睦を深めようとしてます)









2、仲良くなった?

「テュールよ、シャマルとは仲良くなったか?」
「…………なったんじゃ……ねえ?」
「なぜ疑問系なのか聞いてもよいかのう……」
「ベットに縛り付けてヤってやろうとしたら泣きながら逃げた」
「……わしの記憶が正しければシャマルは男じゃが……」
「あれが女な訳ねえだろ?」
「ベットというと添い寝でもしたのか……?」
「なんでシャマルと同じこと聞くかわかんねえけど、この年になってそりゃないだろ」
「……テュール、お前はもう少し……その、人の意見を聞きなさい」
「だから、今度は薬とか使おうと思うんだけどよ」
「……やめなさい……」
「霧の奴がいいのくれるって言ってたから今度こそ確実にヤってやる」
「…………テュールよ」
「晴の奴の言うとおりやっぱ縛るだけじゃ生ぬるかったぜ。まさかあれが外せるなんて……ん? どうしたじじい」
「……テュール、長期の仕事をいれるからちょっと行って来なさい。わしは9代目と晴の守護者と霧の守護者とちょっと話があるから……」





(ちょっと、うちの息子に何教えてるざまーす(違)前回のシャマルは気合で逃げました)






3、人の意見を聞きました。

 いきなりシャマルの腹を殴りつけたテュールは座りこむシャマルを見下ろしていた。
 その瞳は果てしなく冷たい。
 油断したとシャマルは心の中で舌打ち。
 最近、殴りかかったり蹴りかかったり切りかかったりするもの9代目の命令のせいか、比較的おとなしい部類に入っていたゆえに、油断していた。
 だいたい、最初の追いかけっこさえ乗り越えてしまえば後は楽なもの。だから、それなりに構えていたつもりだが、やはり、緩んでいたのは隠しようがない。
 まさか、追いかけっこが終わっても、殴られるとは思っていなかった。
 シャマルは手を腹部を抑えながらアバラ骨が1,2本折れているのを確かめる。
 この程度ならば逃げられるか思案してテュールを見上げれば、いつものような触れれば切れるような殺気を振りまき、微笑んでいた。
 そう、シャマルは少々長い付き合いになってもテュールの笑顔以外の表情を見たことがない。
 無表情ともいえそうな顔ですら、うっすら笑んでいるのだから。
 殺される。
 シャマルは逃げる手段を考えながら咄嗟に思った。
 簡単に殺されるつもりはないが、今は先ほどの一撃でシャマルの状態は圧倒的不利を強いられている。
 せめて、時間が稼げないものかと口を開こうとするが、痛みに言葉は出なかった。
 うなるシャマルに一歩だけ近づき、テュールは目の前にブーツを突きつけた。
 そして、その形のいい唇が動く。










「舐めろ」










 長い、長い沈黙が流れた。
 シャマルは何を言われたかわからず硬直し、テュールはじっとシャマルの反応を見ている。
 目の前にあるのは相変わらずブーツ。
 これが刃物ならば死ぬ前の儀式とでも思わせそうだが、ブーツだ。
 ぽかんっとするシャマルに、少しだけテュールは首をかしげた。
 おかしいなあっという表情だ。

「舐めないのか」
「な、んで……俺が舐めなきゃなんねえんだ!!」

 驚きに引いた痛みに任せて叫ぶ。
 しかし、相変わらずテュールは不思議そうだった。

「仲良くなるにはよ、相手の喜ぶことをするんだろ?」
「……まあ、そういう手もあるな」
「喜ばねえのか?」
「いや、なんでそこに思考が飛ぶんだ」
「……前に適当な隊員つかまえてよ」





『おい』
『はっははああいい!!』
『てめえ、何されたら喜ぶ?』
『よっよろこぶでありますかあ!?』
『おう』
『そっその!!』




















「『テュール様に跪いて靴を舐められたら最高であります!!』って……」






















 シャマルは頭痛を覚えて頭を抱えた。
 間違ってると。
 何もかも間違ってると。
 




(女王様と下僕(ではない))







5、プレゼントしましょう

『おいてゅうううるうううう!!』
「よう、久々だな。シャマル」
『てめ! この! ヤロ!!』
「意味わかんねえ言葉で喋んな、俺はまだてめえと違って脳みそ溶けてねえんだ」
『俺だって溶けてねえよ!!』
「で、予定もないのにてめえから電話とはどうしたんだ? あ? 家光の話だったら切るぞ?」
『ちげえよ!! お前ずいぶんなもの送ってくれやがったな!!』
「あぁ? なんかやったっけ?」
『おおよ!!!』
「おお、そうそう、思い出したぜ。じじいに誕生日プレゼントとか送れって言われたから送ったな。そういや」
『そういやじゃねえ!! つうか、俺の誕生日はまだまだ先だぞ!?』
「誕生日しらねえから適当に」
『ああ!! そんなこたあどうでもいいその肝心のプレゼントだけどな!!』
「ああ、晴の奴に言われてよ。何やっていいかわかんねえときは相手の好きなもんやったらいいんだよな。お前好きだろ、女」
『おおよ!! 女性は大好きだよ!! だがな!!』














『女の暗殺者5人に命を狙われる俺の身にもなれ!!』












「ああ、そういやてめえ前に女に殺されるなら本望って言ってたよな。喜べ、全員凄腕だぜ」
『喜べるかあ!! どわ!! 銃弾が!!』





(死体を送らなかっただけマシ)





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