任命



 スクアーロ、いや、スペルビ、頼みがある。

 (ああ、あんたにそんな風に言われて俺が断れるものか)

 息子を覚えているだろうか。
 たった数年だけど君に世話係を頼んだ息子の話なんだが。

 (ああ、覚えている。くそ生意気で乱暴者の捻くれた、あんたと似ても似つかないガキ)

 私は、息子を










 ヴァリアーのボスにしたいと思っている。











(ああ、そうかよ)

 前々からスペルビ、君をボスにという声があがっていることも、君がその座を望んでいる事も知っている。
 だけど、息子をそこに据えたい。
 そして、君に、補佐として幹部として頼みたい。

(そうだよな! あんたはあのガキがかわいいのだから!!)

 あれで息子は君を気に入っている。
 不器用なところもあるが、君が学校に入ってからはひどく寂しそうだった。

(まさか)

 息子を抑えられるのは君しかいないと思っている。

(まさかそんなことはないと言いてえが、言える訳がない。
 ああ、あんたにもわかってるんだろうが俺の考えも腹の底も)



 スペルビ、君にしか頼めないんだ。



「ドン・ボンゴレ」

 (いい、わかってる。どうせ俺はあんたに逆らえないんだ。逆らいたくないんだ。あの日あの時、拾われた時から俺はあんたに忠誠を誓ってるんだ。OK、ボス、ああ、わかってる。どうせ俺はあんたが死ねって言えば死ねるんだ。なんでも言うことをきこうじゃねえか、ちくしょう!)

「わかりました、ドン・ボンゴレ、貴方の為ならばなんだってやってさしあげましょう」
 (そう言って俺はあんたに跪くんだ。あんたにしか跪かないのだから。あんたが伸ばしたら似合うと言った髪が床を掃除する。あんたはあの時と同じ顔で俺に顔をあげるように言うんだ。ちくしょう。
















あのガキなんか大嫌いだ)



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