白い少年と、赤い瞳の少年ファーストコンタクトはそれはそれは最悪なものであった。
年上の(と言っても実際の年齢はわからない)筈の白い少年はひどく大人げなかったし、赤い瞳の少年は年の割に達観し、捻くれていた。
最初から大人顔負けの睨み合いを始めた直後、白い少年はあっさりと、以降赤い瞳の少年をむかつかせる原因たる言葉を吐く。
「チビ」
赤い瞳の少年は、白い少年を殴った。
身長の違いを生かし、無防備なみぞおちに年齢に不釣合いな程鍛えられた力で拳を叩き込む。
白い少年はしりもちをついて咳き込んだ。
殴った少年の体はひどく華奢で赤い瞳の少年は一瞬壊れてしまったかと錯覚した。
よく見てみれば、白い少年の腕は信じられない程細く、顔色も頬がこけていないだけで悪い方に入るだろう。
そんなことに気づかなかったのは、白い少年の瞳が妙にぎらぎらしていたからだ。
他の全てが気にならないほどぎらぎらした瞳。
赤い瞳の少年はそのギャップに多少戸惑った。
まだ咳き込む白い少年を見下ろしている。
いや、正確には咳き込んでなお痛みに表情を歪めてなお、睨み付けてくるその瞳を見ていた。
今はまだ、その瞳が何年も因縁がごとく尾を引くことになるとは、まだ2人は知らない。
「ぶっころしてやる、ちび」
赤い瞳の少年は、無言で蹴りを叩き込んだ。
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