少女は白いしなやかな体を惜しげもなくさらけ出し、こちらに近づいてきた。
 思わず逃げようとしたが、体は動かない。
 ただ、少女は征服者の笑みを浮かべ、足の間に座り込む。
 その薄い唇から覗く赤い舌がまるで別の生き物のようだと思う。

「じっとしてて下さい、貴方は何もしなくていいですから」

 にこりというよりもにやりという笑顔で少女は頬に触れる。
 白く小さな指。
 自分とは違う少女の指だ。
 虫すら殺せそうにないその指が頬を撫で、服を脱がせていく。
 目が、そらせない。
 むしろ、少女は目をそらさせる気がないのだろう、まるで見せ付けるように大気に触れた肌に唇を落とした。
 鎖骨をその赤い舌で何度も何度も舐めあげ、今度はズボンのジッパーに手をかけた。
 ゆるゆると下着の上から撫で上げられれば、鼓動が早くなる。
 精一杯の睨みで疑問を投げかければ、少女は答えた。

「子種がほしいんです」

 一瞬、何を言われたかわからなかった。

「きっと、貴方は愛がなければ子供を作ろうなんて思わないでしょう?」

 呆気に取られている間に下着が取り払われ、足の間に体が沈んでいく。
 ちゅっとわざとらしく音を立てたかと思えば、一気に飲み込まれる感覚。
 ぞくぞくと這い上がる感覚に自由にならない体は震えることすらままならない。
 響く高い水音。
 羞恥で染まる頬と荒い息だけが許された行為。
 指が、舌が体も心も追い上げていく。
 頭が白くなる一瞬。
 唇が離された。

「僕の体は普通の人よりもずっとずっと耐久年数が少ないんです」

 体液まみれの口元で笑い、少女は、唇を重ねる。

「そうすれば、すぐ次に移行されます……その時、誰もいなかったら寂しいと思いませんか?」

 苦い。
 そう思うのと同時少女はその裸身を寄せ、肌と肌を密着させた。

「だから、子供がほしいんです。僕の傍にいてくれる子供が」

 首元に顔を埋め、少女はそのまま体を下ろした。
 水音と共に少女の体が跳ねる。
 首に腕を絡め、甘い喘ぎ声が響く。
 その声と、内部の締め付けに頭が真っ白になっていく。
 絶頂が近いことはわかっていた。
 それでも必死に抵抗してみるがそれも空しく、意識は薄くなっていく。

「あっ」

 目の前が霞む感覚。
 同時に、笑い声が耳元で聞こえた。
 少女はさらりと自分の下腹部を撫でる。
 愛し気に、それでいて優しく。

「楽しみですね、僕たちの子供」

 体から、がくっと力が抜けた。
 自由になった体は更に酸素を求め、崩れていく。
 それでも、口は動いた。
 皮肉気に唇の端を吊り上げる。

「きっと、最悪なガキが生まれるぜえ」
「クフフ、もしかしたら悪魔が生まれるかもしれませんね」
「……シャレにならねえ」





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