額へのキスはなし。
だけど、眠る準備をしておいて。
棺桶ベットにつっこんでやるから。
「バカ鮫、あのさ、その服、真っ赤に染まる前に脱いだら?
白とか全然似合ってないし、お前が着ると真っ白けっけでどこにいるかわかんないし。そんな白いの雪とかジェラードだけでいいんだよ」
ナイフを弄びながら青年は軽く言う。
しかし、その言葉の端々からは怒りと、苛立ちが隠せない。
「知ってる? お前がいなくなってうちはボロボロのガッタガタ、これをチャンスに崩そうとする奴もいるし、ボスはベットからおきてこないし、ルッスーリアは無理して笑ってるしマーモンは全然元気ないし、最悪!! あのレヴィのやつもさ、最初は嬉しそうだったのに……今じゃたまにお前の名前口に出して部下叱るんだ!!
お前がいないだけなのにさ!! なんでだめなんだよ!!」
がちんっと、ナイフの刃がぶつかる。
闇に閃く鈍い色が、青年の苛立ちを伝えるように震えていた。
「なあ、スクアーロ、俺に殺されちゃえよ。じゃなきゃ今すぐ舌噛み切って死ねよ。
お前がそうやってそこで生きてると皆だめになんだよ。王子だってイライラする。イライラして最近眠れないし、お菓子だって酒だってルッスーリアのいれた紅茶だってなんにもおいしくない!!」
すうっと、目の前の白の目が細くなる。
哀れむような視線。
青年の苛立ちはついに限界を超えた。
手に持っていたナイフと、そしてどこからともなく現れたナイフたちが白めがけて飛来する。
それを紙一重の動きで避けながら、白は初めて口を開いた。
「だったら、」
せめて
「俺の手でぐっすり眠らしてやるぜえ、ベル、永遠にな」
「やめろよ!! 前みたいに王子を呼ぶなあああ!!」
それでは、おやすみなさいを合図に殺し合いを始めましょう。
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