罪と戦う 幕間



 泡になる前に、王子様たちを惨殺するの。


「正チャン、どう?」
「かなり、最悪の部類に入ると思いますが、大丈夫です」
「本当に?」
「ええ、確かにあのアルコバレーノの術は強力ですが、死ねばほどなくして消えます」
「あれ、しとめ損ねちゃったの?」
「死体は確認できませんでしたが、幹部二人の血液がその場と、あの子の服、そして剣に大量に、致死量ほど存在しました。もしもかろうじで生きてたとしてもアルコバレーノの方は確実に呪いの反動で死ぬでしょう」
「ふーん」
「それにしても、あのアルコバレーノがあの子にかけた術が自殺を促すようなものや精神を完全に壊すものでなくてよかったとも言えます」
「でも、あの状態も、困るよね。僕、拒絶されちゃった。チェルベッロの子たちも元気ないよね」
「……記憶の退行、および混乱……服も脱ごうとしないし、武器は取り上げておきましたが、近づけば怪我じゃすみまないところでした」


(「ここ、どこだよ!! ルッスは!? 師匠は!? なあ!! どこだあ!!」
「近寄るなあ! なあ、ベルは? ルッスは? マモは? なあ、俺は!?」
「知らねえ!! なんだよお!! 御曹司!! XUNXAS!? XUNXASどこにやりやがったあ!! XUNXAS!! XUNXAS!!」
「触るんじゃねえ!! これは………これはベルとマーモンの血だあ!!」)


「今は眠ってもらいます」
「部屋壊れなくてよかったね」
「はい、ですが……ヴァリアーの幹部を二人殺させたことは、戦力的にも、あの子のためにもよかったようでしょう」
「そうだね。もっと、もっともっともっと、未練を殺して、壊れてもらわないと……ね」


 人魚姫、海に帰っておいで。





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