届かなかった



 きっと、その銀に以前ほどの長さがあれば届いただろう手は空を掴んだ。
 逃げるように落ちていく体を見下ろし、叫ぶ。
 合わさった目には、感情はなかった。その銀らしい冷たい色が広がるばかり。

「俺を、」

 色のない唇がたった一人に向けて開かれる。
 祈るように、縋るように。

「殺してくれぇ……」

 あんたを殺す前に、どうか。


「殺してやる……」


 他の奴に殺されるくらいなら、俺が。





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